
20代や30代が資産運用を始めようとした時、その最初の金額として100万円を挙げる方が多く見られます。
本当は、資産運用は毎月最低100円から開始できるのですが、どうしても資産運用は一定の大金を用意して始めるものとの固定観念が強いようにも感じますね。
100万円を運用しようとして不安に感じる点に、
- その100万円を何に投資するか
- 何に投資すれば損をしにくいか or たくさん利益を見込めるか
- 100万円まとめて投資すべきか or 小分けにして少しずつ投資すべきか
といったところがあるかと思います。
そこで以下では、投資信託の長期投資を例に、100万円を運用した時の将来成績を考えます。
でも、個人的には100万円貯める前に、毎月1万円の積立投資を始めてほしいなと思っています。
Contents
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100万円を投資信託に投資するのは適切な判断か?
先に触れたように、今回は投資信託(インデックス投信)を例題に扱います。投資信託には以下のようなメリットがあります。
- 投資信託は長期投資に向いている
- わざわざ売買する手間がかからない
- リスクやリターンを組み合わせ次第でコントロールできる(2つ以上の投資信託を買うことで実現)
投資信託なら誰もが勝者に!?
一般に投資信託は個人向け国債以上、株式投資以下の利益を見込めます。
株式では万人が利益を出すのは難しい一方で、投資信託なら万人が利益を出せる可能性を秘めています。
投資信託なら「市場を丸ごと買える」ためで、「これから儲かる株」を選ぶ実力が問われないからです。
投資信託なら「デイトレ」はしない
また、投資信託は1日か数日間といった短期間でのアクティブなトレードが不要である点もメリットです。
やはりこちらも、「ごく普通の人が日常的に行える資産運用」として、妥当な選択だと筆者は考えます。
もし、「100万円を資産運用したい」って相談されたら、個人的には投資信託を勧めるでしょうね。
計算:100万円を35年間運用すると考える
今回は30歳時点で100万円を投資し、以後一切追加投資しないまま、35年間運用し続けたと仮定し、その100万円は35年後にいくらになるかを乱数計算にて算出します。
計算方法は過去の記事でも利用してきた乱数シミュレーション(モンテカルロ法)です。
これらは理想的な計算であり、将来の成績を約束するものではありません(乱数計算参照時の注意点)。
ただの数字遊びです。
ケース1:積極運用派
投資条件:先進国株式に投資
MSCIコクサイインデックスに連動する先進国株式100%で考えます。
この運用は、アメリカとEUなどを中心に、日本を除いた先進国の株式に投資するものです。
具体的な商品名で言えば、投資信託「ニッセイ外国株式インデックスファンド」や投資信託「iFree外国株式インデックス」があります。
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myINDEXのデータ(2017年4月26日時点)によると、MSCIコクサイインデックスの過去30年間の実績は、
- リターン:7.9%
- リスク:18.9%
でした。これを元に、35年間運用したと仮定した計算した運用結果が下記です。
計算結果:35年後の推定成績
計算回数 | 1,000回 |
運用年数 | 35年 |
総投資金額 | 100万円 |
最高評価額 | 15,043万円 (+14,943万円) |
最低評価額 | 22万円 (-78万円) |
平均評価額 | 1,416万円 (+1316万円) |
元本割れ回数 | 25回 |
元本割れ確率 | 2.5% |
100万円を35年間運用し続けると、平均1,416万円、最小22万円〜最大1.5億円の範囲でばらつきました。
なんと最高評価額は1億円を超えました。大金持ちですよね!
ただ、もちろんこれはぶっとんだ成績で、平均的な成績は1,416万円と計算されました。
これでも老後の生活には足りない可能性があるものの、他に貯蓄を重ねていけば備えは万全そうです。
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なお、運用に失敗した場合には、35年後に22万円まで減少している可能性があります。
これは厳しい結果ですね。
2年で運用をやめると
金融庁の統計によると、個人投資家の投資信託平均保有年数は約2〜3年だそうです。
そこで、2年で運用をやめてしまったケースも計算してみました。
その結果、31.1%(1,000回中311回)の確率で元本が割れました。
わずか2年かそこらで運用をやめてしまうのは、ほとんどギャンブル的です。
ケース2:慎重運用派
投資条件:国内債券と海外債券に投資
先ほどは積極的に利益を取りに行く運用を考えたので、次はもっと保守的で慎重な運用を考えます。
保守的な運用を行う場合、債券へ投資するのが一般的。ここでは日本債券50%、先進国債券50%で考えます。
- 50万円を投資信託「ニッセイ国内債券インデックスファンド」へ投資
- 50万円を投資信託「ニッセイ外国債券インデックスファンド」へ投資
この時のリスクとリターンは、
- リターン:2.9%
- リスク:4.9%
です(詳しくはリンク先記事を参照)。
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計算結果:35年後の推定成績
計算回数 | 1,000回 |
運用年数 | 35年 |
総投資金額 | 100万円 |
最高評価額 | 611万円 (+511万円) |
最低評価額 | 95万円 (-5万円) |
平均評価額 | 272万円 (+172万円) |
元本割れ回数 | 1回 |
元本割れ確率 | 0.1% |
100万円を35年間運用し続けると、平均272万円、最小95万円〜最大611万円の範囲でばらつきました。
平均的にはおおよそ272万円前後の成績が期待できる結果になりました。
1000回の計算上で元本が割れたのは1回だけ。ちょうど最低評価額の95万円になったケースのみです。
次点は103万円なので、運用に失敗しても大幅に元本を割り込むことはなさそうです。
2年で運用をやめると
慎重な運用とはいえ、2年間で運用をやめると21.2%(1,000回中212回)の確率で元本が割れます。
せめて短くとも10年以上は保有することを目標に運用したほうが良いと思います。
資産運用は100万円貯めてから?
最後に、これから100万円をためて資産運用を始めたいと考えるあなたに、今すぐ始めるべき理由をご紹介。
お金を貯めるだけの時間は無駄
計算上、資産運用を始めるためにお金を貯めるだけの時間がもったいないです。
例えば、ケース2(日本債券50%・先進国債券50%)の条件を用いて、
- 毎年10万円を20年間積立投資する(運用期間は20年)
- 最初の10年で100万円を貯めて一括投資 + 以後毎年10万円の投資(運用期間は10年)
で両者の運用成績を比較すると、より少ない金額で始めた前者が有利だと算出されました。
20年間積立 | 100万円一括 + 10年間積立 | |
---|---|---|
計算回数 | 1,000回 | 1,000回 |
運用年数 | 20年 | 10年 |
初期投資額 | 0円 | 100万円 |
毎年の積立額 | 10万円 | 10万円 |
総投資金額 | 200万円 | 200万円 |
最高評価額 | 402万円 (+202万円) |
364万円 (+164万円) |
最低評価額 | 179万円 (-21万円) |
171万円 (-29万円) |
平均評価額 | 275万円 (+75万円) |
250万円 (+50万円) |
元本割れ回数 | 13回 | 40回 |
元本割れ確率 | 1.3% | 4.0% |
この結果は、資産運用目的のお金をためている暇があったら、さっさと投資を開始すべきであることを示します。
理想的には、とにかく早く運用を開始し、とにかく長く運用し続けるのが有利です。
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まとめ
- あなたが100万円を積極的にリスクを取って運用数と、35年後に1,416万円程度
- 100万円をあまりリスクを取らずに運用すると、35年後に272万円程度
- お金を貯める時間があったら、さっさと運用を始めたほうが良い
これらは全て計算上の理想的な話なので、現実にはもう少し成績が変わってくるはずです(普通は投資信託の税金がかかるので、もっと成績が悪くなります)。
そのため、この結果を鵜呑みにはしないでください。
それでもなるべく早く、そして長く運用すべきだと筆者は思いますけどね。
毎月1万円とかでいいので。
この記事の話を実行するには
積立投信のできる証券会社に口座を開設し、以下の投資信託を探してください。
積極運用派なら「ニッセイ外国株式インデックスファンド」や「iFree外国株式インデックス」など。
慎重運用派なら「ニッセイ国内債券インデックスファンド」や「ニッセイ外国債券インデックスファンド」など。
記事をご覧の通り、どの投資信託をを選ぶかによってあなたの将来の運用成績は変わってきます。
なお、筆者はSBI証券で投資信託の積み立てを行っています(SBI証券、筆者はこう使っています)。
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