よく、他人の投資額を気にする方がいらっしゃいます。
彼らは周囲の投資家の動向を見て、運用額を決め、さらには運用する商品まで決めてしまいます。
個人的に、このような他人に合わせた運用は失敗する原因だと思っています。
「他人がいくら投資しているから、自分もいくら投資すべき」みたいな比較は意味がありません。
大切なのは自分の現状を冷静に振り返ることです。
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他人の投資額が参考にならない理由
個人のリスク許容度までは参考にできないからです。
リスク許容度とは
一般には、「何円まで損をしてもよいか」という計算上の損失許容額のことを言います。
「リスク許容度を考慮して資産配分(ポートフォリオ)を決めましょう」なんて本に書いてることもあります。
しかし、ここで言いたいのは計算上の損失許容額ではなく、感情的な許容度です。
投資に不慣れな私たちは、扱える金額に上限があることが多いです。
その上限を超えて運用を行うと、感情的な不安や恐怖が強くなり、資産運用を継続するのが怖くなることがあります。
これが感情面でのリスク許容度です。
例えばインデックス投資で損をする前に知っておきたいことで紹介した事例では、わずか数万円の損失とはいえ、投資者の焦りが文章に表れています。
筆者も、投資を始めた頃は数万の損失で昼飯がのどを通らなかった、ほろ苦い経験があります。
リスク許容度は個人差がある
このリスク許容度は、投資を行う個人ごとに上限値が異なります。
残念ながら、この限界は体験してみないとわかりません。
例えば、ある人は数百万を気にせず運用しているのに対し、ある人は数万円の投資額でも心臓がドキドキすることもあります。
これが各個人でリスク許容度が異なる所以です。
故に、
- 他人の投資額を見て真似をしようとしても失敗する
- 本だけ読んでわかった気になっても失敗する
と言えます。
投資を志す方にこれをものすごく伝えたいのですが、ネットには「まだ投資経験はないけど資産運用の勉強をしています」みたいな人がすごく多いです。
本を読む暇があったら証券口座を開いて、10万円でも投資してみりゃいいのに、と思うのですが。
リスク許容度はなぜ個人差があるのか
個人的に、これは両親や学校の教育と経験の差だと思っています。
そもそも私たちは、私たちが考えている以上に両親の価値観を受け継いでいます。
例えば、プレジデント社が発行した「金持ち老後 超入門」では、親がリッチな若者は普通の若者に比べて、投資商品保有率が3倍高いことが示されています。
親がリッチな若者は普通の若者に比べて金融情報への意識が向きやすく、管理する金融資産の額も多く、そして年収も高いとされています。
こんな話もあります。
社会的相続とは、明確に定義されていないが、「『自立する力』の伝達行為」と理解していただくのが良いと思う。(中略)子どもはこれらを通じて、自立に必要な力を適正に、または歪んだ形で引き継ぐ。この社会的相続は、家庭の経済状況等によって差が生じる
「自立する力」を相続できない子が貧困になる
この引用は、いわゆる貧困の連鎖の原因に、親が子供に生きる力を「相続」できなかったことを挙げています。
これらを勘案すると、私たちは両親の元から巣立った時点で、既に大金を自由に動かせる人とそうでない人の差はできていると考えたほうが自然です。
そして、もしあなたが安定を良しとする会社員の父を持つ家庭で育ったなら、リスク許容度はさほど高くないと考えて資産運用のプランを考えるのが良いです。
リスク許容度を高めるには
経験を積むのが一番だと思います。
この話は投資で損をすることへの不安を克服するためにはどうすればよいかで述べました。
リスク許容度は経験とともに変化します。少なくとも筆者は経験ともに運用額を増やし、損失への精神的な耐性も身についてきました。
一方、いくら本を読んでも、あなたの感情の「限界点」はどこにも書いていない点に注意です。
少額からはじめる投資家を見習う
株式投資はいくらから始める?でも紹介した、日本証券業協会のアンケート結果を見ると、20~40代の各年代で50万未満の少額投資を行っている人たちが一定数いることがわかります。

特に30~40代で少額投資(黄色や水色の領域)をしている人は注目に値します。
いろんな解釈ができますが、初めての投資なので、少額で始めようと運用している人たちも含まれていると思います。
投資は運用額が大きいほうが優れているイメージもありますが、個人にとってはとにかく長く生き残り、利益を生み出すことのほうが大切です。
少額から始めて、少しずつ経験を積んでいくほうが長く生き残れるように感じますが、あなたはいかが感じるでしょうか。
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まとめ
以上をまとめると、
- 他人の投資額は参考にならない。他人の感情まで真似することはできないから
- リスク許容度は損失許容額よりも感情的にどこまで安定して運用できるかのほうが大切
- 感情的なリスク許容度は鍛えられる
です。
投資本では単に「金銭の何%まで損失を許容できるか」みたいにさらっと書かれることが多いのですが、実際には金銭云々の前に感情的な限界が来ることが多いです。
そのような経験をしてからが資産運用の本番かもしれませんね。