横山氏著書「3000円投資生活で本当に人生を変える」投資術解説での問題点

3000円投資生活で本当に人生を変える3000円投資生活




2017年に発行された「3000円投資生活で本当に人生を変える」という書籍を、最近になって購入しました。以前、以下の記事を書いたときは、まだ立ち読みレベルだったので、今回改めてしっかり読むことに。

「3000円投資生活」は本当に人生を変えるのか
最近、「3000円投資生活で本当に人生を変える!」という本が販売されているので、本記事ではそれに便乗してみます笑 3000円投資生活で本当に人生を変える! 一千万円貯める絶対セオリー ...

すると、そのまま参考にすると結構拙いんじゃないかな、と思ったので、ここに紹介したく思います。

問題点は58ページから紹介される投資術のカテゴリ(パート4:1000万円貯める絶対セオリー!)です。世の中には書籍とまったく同じ通りに行動したい人たちがいるので、将来金融危機が来る前に、読んで問題に感じた部分を明文化しておきます。

結論から言えば、冒頭にあるとおり、パート4は間違いなくおすすめ。

はっきりと理解できていなかったインデックスファンドや、今後の買い方が、超具体的に掲載されています。

こんなに明確に教えていただければ、誰でも実践できるというものです!

出典:3000円投資生活で本当に人生を変える(カスタマーレビューより)

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本を読んでいない人のために

問題のページには、投資信託の具体的な運用例が掲載されています。これから投資を始める人にとっては、かなり参考に、というか、ほぼ真似をして同じような運用を始める読者が多いと予想されるページです。

ネタバレも記載しますが、それを引用しないと記事を書けないので、引用しつつ問題点を挙げたいと思います。

「3000円投資生活で本当に人生を変える」のここが問題

書籍で解説する方法はリスクが高い。しかし、その高さが解説されていない

「リターンを高く狙いたい子育て世代向けの投資術」として、以下のような運用プランを紹介しています。なお、STEP1は貯金しよう、という話です。

STEP2

世界経済インデックスファンドを100万円!

世界経済インデックスファンドを投資総額100万円になるまで買いましょう!

出典:3000円投資生活で本当に人生を変える(P65)

STEP3

この2本のインデックスファンドを投資総額300万円になるまで買いましょう!

ただし、世界経済インデックスファンドは買い続けてください!

それぞれの投資額が少なくなってもいいので、この3本を同時に買います!

出典:3000円投資生活で本当に人生を変える(P65)

世界経済インデックスファンドに国内外の株式(ニッセイTOPIXインデックスファンドとニッセイ外国株式インデックスファンド)を追加すると、アセットアロケーションは少しずつハイリスク・ハイリターンな方へ傾きます。

リターンを高く狙うことは、同時に金融危機や暴落相場での損失見込み額も大きくなることです。

ニッセイTOPIXインデックスファンドもニッセイ外国株式インデックスファンドも、金融危機が来ると、1年間で投資額の50%近くを失う可能性があります。そして、一度暴落に巻き込まれると、その後暴落前の評価額に戻るまでには数年かかる可能性があります。

このアセットアロケーションは、これから学費を必要とする子育て世代(しかも、本書を参考に投資を始めようと思うレベルの人)にとってはリスクが高すぎるのでは、と感じます。

残念ながら、このあたりは危険性はまったく解説されておらず、ただ「世界経済インデックスファンドとニッセイのインデックスファンド買っておけばいい」レベルの説明に終始します。

これでは、この運用にどのような問題点(リスク)があるかは、読者にはわかりません。

なお、世界経済インデックスファンドは、その30%を新興国に投資することもあって、バランスファンドの中ではリスクの高い部類に属します。

myINDEXのデータによると、世界経済インデックスファンドと同じアセットアロケーションのポートフォリオは、リーマンショックで35.5%の損失を抱えます。

そこに国内外の株式を追加するわけですから、紹介されている投資術は結構攻撃的な組み合わせです。

アセットアロケーション(資産配分)がほぼ考慮されていない

「手堅く、老後資金を貯めたい人」向けとして、以下のような運用プランを紹介しています。なお、STEP1は先ほどと同じく貯金しよう、という話です。

STEP2

この2本のバランス型ファンドを投資総額100万円になるまで買いましょう!

出典:3000円投資生活で本当に人生を変える(P67)

と紹介されています。

しかし、これを実際にやると、バランスファンドを複数買うことになってしまい、投資家が今どのような資産にどのような比率で投資しているのかがわかりにくくなります。世界経済インデックスファンドとeMAXIS slim バランス(8資産均等型)だけで終われば良いのですが、この話にはさらに続きがあります。

バランスファンドの複数買いにさらにインデックスファンドを追加

STEP3

  • eMAXIS slim 国内株式・債券インデックス
  • eMAXIS slim 先進国株式・債券インデックス

の4本を債券7:株式3の割り合いで買いましょう!

ただし、世界経済インデックスファンドとeMAXIS slim バランス(8資産均等型)は買い続けてください!

それぞれへの投資額が少なくなってもいいので、この6本を同時に購入し、1000万円になるまで積立を続けます!

出典:3000円投資生活で本当に人生を変える(P67)

とあります。これでは、投資額が500万円ぐらいになったときに、どんなアセットアロケーションになっているかがイメージつきません。人によっては債券偏重になっているかもしれませんし、他の人にとっては株式偏重になっているかもしれません。

簡単にわかることを重視したのでしょうが、本当に初心者にとって役立つアドバイスなのかは疑問に感じます

投資総額「1,000万円」なのであって、運用で利益を得ているかは別

「3000円投資生活」でも1,000万円はキーワードとして使われていましたが、本書でも1,000万円はキーワードとして使われます。

Amazonレビュアーに指摘された、3000円投資生活の「8年で1000万円」のカラクリを解説する
今日は書籍「3000円投資生活」の話題です。この本では、とある夫妻が「8年間で1000万円」の資産を作った事例が冒頭で紹介されるところから始まります。 が、この具体的な方法は本文中では解説されて...

「1000万円貯める絶対セオリー」というカテゴリで、これまで述べてきた投資の話を解説するのです。

しかし、本章の図をよくよく見ると、「投資総額1,000万円達成」なのであって、「運用で1,000万円得た」という意味では使われていません。

(もしも、運用中に金融危機が来て、現在の評価額が500万円であっても)1,000万円を投資していれば目的達成、という意味で使われています。

この表現、読者の誤認を誘うと思うのですが・・・。

なお、1,000万円貯めるとの章題で、解説するのは投資の話だけです。

運用上のリスクの説明もありませんので、このままの記述では「投資信託 = 利回りの良い預金」と誤認されそうです。

金融商品取引法から見ると危うい言葉の羅列

断定的な言葉の多用

投資術を紹介するカテゴリ(1000万円貯める絶対セオリー)では

★法的にアウトになりそうな言葉遣いが・・・

  • 「1000万円を貯める絶対セオリー」
  • 安全性が高く手数料が安い」
  • 「手堅く、安全に資産を運用しよう」

などと、断定的とも思われる言葉が使われています。金融商品取引法では「断定的判断の提供」と呼ばれ、扱いの難しい言葉です。

断定的判断の提供とは、有価証券等の勧誘行為において、販売会社である証券会社等(金融商品取引業者等)が、価格の値上がり、値下がりなどに関して、「絶対大丈夫です」「必ず上がります」というような発言等によって、勧誘行為をすることです。有価証券等の価格などの、将来の動きを正確に予測することは不可能であるため、証券会社等が顧客に強い期待を抱かせるような断定的判断の提供による勧誘は、売買のどちらに関わらず金融商品取引法上、禁止されています。

出典:断定的判断の提供 | マネー百科

これが問題になるのは、主に投資の勧誘行為なので、書籍に対してはどう適応されるかはわかりません。が、影響力ある、投資をアドバイスする書籍で安易に使う言葉ではないと思います。

運用上のリスクに関する説明がない

上述のとおり、本書ではもしも損失が生じたときに、どの程度の損失が生じるか、といった説明が欠けています

もともと、前著「3000円投資生活」の時点でもうまくいかなかった場合にどうなるか、はほとんど語られていないので、そのあたりは不安に思います。

「貯める」「安全に」という言葉を見て、預貯金と投資信託を混同する読者がいないか心配です。

対案:インデックスファンドの運用を知りたいなら、「お金は寝かせて増やしなさい」を読めばいい

「パート4:1000万円貯める絶対セオリー!」は、一言で言えば、「インデックスファンドを買え」に要約できます。問題は、その運用プランが本当に妥当かどうか、というところです(妥当ではないと感じたから記事にしているのであって)。

なので、本章の投資術は参考にせず、「お金は寝かせて増やしなさい」等、他の投資本を読んだほうが役に立ちます。

すでに「3000円投資生活で本当に人生を変える」を読んでいたとしても

仮に、あなたがすでに「3000円投資生活で本当に人生を変える」を読み、投資術を参考にしていたとしても、「お金は寝かせて増やしなさい」等を読んで、自身がどのくらいのリスクを取っているのか、チェックしたほうが良いと思います。

金融危機が来てから、運用状況をチェックしても手遅れですが、今ならまだ間に合います。

少なくとも、現在のアセットアロケーションがどの程度、損失が見込まれるのかは確認したほうが良いです。

そのための手順や方法論などが「お金は寝かせて増やしなさい」では解説されていますから。

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まとめ

  • 「3000円投資生活で本当に人生を変える」のパート4:1000万円貯める絶対セオリー!で紹介される運用は、運用者にとってリスクが高い可能性(将来、大きな損失を抱える可能性あり)
  • バランスファンドとインデックスファンドをそれぞれ複数購入すると、しっかりポートフォリオを管理しない限り、どの程度のリスクを取った運用なのかがわかりにくくなる
  • 既に書籍を参考に運用しているのならば、別のインデックス投資本を参考に、自身のポートフォリオをチェックしてみよう

筆者もこういうブログを長らくやっているので、リスクや損失の話を強調すると多くの読者が「投資はやめようかな」と思うのも知っています。

そういう中で「3000円投資生活」は、多くの個人を投資に目を向けさせた、すばらしい書籍だとも思っています。

いろいろ言葉や構成は考えられた、と思うのですが、個人的には少し「どうかな?」と思ったので、今回は記事にした次第です。

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