三菱UFJ国際投信といえば「eMAXIS slim」シリーズが有名ですが、ほかにも「つみたてんとう」シリーズという商品ラインナップがあります。本シリーズは特に銀行でつみたてNISAを始めたいときにお世話になる可能性の高い商品シリーズです。
SNS(Twitterやブログ)ではeMAXIS slimシリーズの話ばかり取り上げられる傾向にあるので、この記事では「つみたてんとう」シリーズのことを紹介したく思います。
結論から述べると、特に注目したいのは「つみたて8資産均等バランス」と「つみたて先進国株式」の2つです。
Contents
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つみたてんとうシリーズの商品一覧
つみたて日本株式(日経平均)
出典:ピザロ
つみたて日本株式(日経平均)は日経平均株価を構成する225銘柄に投資し、日経平均株価とほぼ同等の成績を目指しています。
投資先 | 日本株式 |
ベンチマーク | 日経平均株価 (日経225配当込み) |
購入手数料 | 0% (ノーロード) |
信託報酬 | 0.198% |
実質コスト | 0.201% |
信託財産留保額 | 0% |
換金手数料 | 0% |
運用期限 (償還日) | 無期限 (償還なし) |
純資産 | 約81億円 |
つみたてNISA | ○ |
iDeCo | ○ |
つみたて日本株式(日経平均)のマザーファンドはeMAXIS slim 国内株式(日経平均)などと共有しています。そのため、ベビーファンド(つみたて日本株式(日経平均))の信託報酬の違いを除けば、おおよそeMAXIS slim 国内株式(日経平均)に近い運用になることを期待できます。
つみたて日本株式(TOPIX)
出典:ピザロ
つみたて日本株式(TOPIX)は東証株価指数(TOPIX)を構成する東証一部銘柄に投資し、TOPIXとほぼ同等の成績を目指しています。
日経平均との違いは投資対象とする銘柄数の違いです。日経平均のほうが構成銘柄数が少ない(225銘柄)ため、1銘柄あたりの株価の変動(特にファーストリテイリング)を受けやすい傾向にあります。どちらかと言えば、TOPIXのほうが日本経済の実情を示すと言われています。
投資先 | 日本株式 |
ベンチマーク | TOPIX (TOPIX配当込み) |
購入手数料 | 0% (ノーロード) |
信託報酬 | 0.198% |
実質コスト | 0.198% |
信託財産留保額 | 0% |
換金手数料 | 0% |
運用期限 (償還日) | 無期限 (償還なし) |
純資産 | 約44億円 |
つみたてNISA | ○ |
iDeCo | ○ |
つみたて日本株式(TOPIX)のマザーファンドはeMAXIS slim 国内株式(TOPIX)などと共有しています。そのため、ベビーファンド(つみたて日本株式(TOPIX))の信託報酬の違いを除けば、おおよそeMAXIS slim 国内株式(TOPIX)に近い運用になることを期待できます。
つみたて先進国株式
つみたて先進国株式は日本を除く先進国株式に投資しています。
MSCIコクサイインデックスをベンチマークとしており、おおよそ米国株式 + 欧州株式から構成されています。株価次第ですが、米国の比率は約6割かそれ以上です。
投資対象国のイメージ
購入手数料 | 0% (ノーロード) |
信託報酬 実質コスト | 0.22% 0.285% |
信託財産留保額 | 0% |
換金手数料 | 0% |
運用期限 (償還日) | 無期限 (償還なし) |
基準価額 | 三菱UFJ国際投信公式 |
純資産(ベビー) 純資産(マザー) | 73億円 3,372億円 |
SBI証券ランキング つみたてNISA 設定件数 | ランク外 |
つみたてNISAの人気商品にeMAXIS slim 先進国株式インデックスがありますが、それの下位互換商品だとお考えください。eMAXIS slim 先進国株式インデックスは不定期的に信託報酬を引き下げていく傾向があるのに対し、本商品はおそらく20年後も0.216%のままで運用されると予想されます(そうでなければ、slimと分けた意味が無い)。
つみたて先進国株式(為替ヘッジ)
つみたて先進国株式(為替ヘッジ)は日本を除く先進国株式に投資しています。
つみたて先進国株式(為替ヘッジあり) | 三菱UFJ国際投信
基本的な商品の特徴はつみたて先進国株式と同じですが、本商品は為替ヘッジを行ない、為替の影響(円高や円安が基準価額に与える影響)を低減しています。
MSCIコクサイインデックスのパフォーマンス(厳密にはMSCIコクサイインデックスに連動する投信の成績)を、為替ヘッジの有無で比較したものが下記のグラフです。
出典:日興インデックスファンド海外株式より読み取った為替ヘッジあり/なしの年次リターン(SBI証券のCSVデータを利用)
基本的に為替ヘッジありのほうが上下の触れ幅が小さい傾向にあるのがわかると思います。このことから、つみたて先進国株式(為替ヘッジ)はつみたて先進国株式よりもやや値動きが抑えられた成績になると予想されます。
購入手数料 | 0% (ノーロード) |
信託報酬 実質コスト | 0.22% 0.284% |
信託財産留保額 | 0% |
換金手数料 | 0% |
運用期限 (償還日) | 無期限 (償還なし) |
基準価額 | 三菱UFJ国際投信公式 |
純資産(ベビー) 純資産(マザー) | 1.8億円 479億円 |
SBI証券ランキング つみたてNISA 設定件数 | ランク外 |
ベビーファンド(つみたて先進国株式(為替ヘッジ))の純資産は1.4億円と少ないものの、マザーファンドの純資産は479億円と潤沢です。そのため、本商品への投資を考えた際に「純資産少ないから大丈夫かな」と悩む必要はありません。
つみたて新興国株式
つみたて新興国株式は中国や台湾などに投資し、MSCIエマージングマーケットインデックスと同等の成績を目指しています。
投資対象国のイメージ
つみたて新興国株式は「新興国に投資する」という特徴から、つみたてんとうシリーズではもっともハイリスクハイリターンな成績を期待できる商品です。
投資先 | 新興国株式 |
ベンチマーク | MSCIエマージングマーケットインデックス |
購入手数料 | 0% (ノーロード) |
信託報酬 | 0.374% |
実質コスト | 0.559% |
信託財産留保額 | 0% |
換金手数料 | 0% |
運用期限 (償還日) | 無期限 (償還なし) |
純資産 | 約34億円 |
つみたてNISA | ○ |
iDeCo | ○ |
つみたて4資産均等バランス

つみたて4資産均等バランスはバランスファンドの1つです。
- 日本債券
- 日本株式
- 先進国債券
- 先進国株式
の4つの資産クラスに投資します。本商品は債券クラスの比率が50%と高いことから、つみたてんとうシリーズの中ではもっともローリスクローリターンな成績を期待できる商品です。
購入手数料 | 0% (ノーロード) |
信託報酬 実質コスト | 0.242% 0.245% |
信託財産留保額 | 0% |
換金手数料 | 0% |
運用期限 (償還日) | 無期限 (償還なし) |
基準価額 | 三菱UFJ国際投信公式 |
純資産(ベビー) 純資産(マザー) | 19億円 – |
SBI証券ランキング つみたてNISA 設定件数 | ランク外 |
純資産残高に基づくと、つみたて4資産均等バランスよりもつみたて8資産均等バランスのほうがよく選ばれていますね。4資産と8資産では、債券比率の低い8資産のほうが若干ハイリスクハイリターンです。
ただ、どちらの商品も、どちらかといえば初めて運用を行う初心者にとっては選びやすい商品ですので、普通は8資産を選び、どうしても損失への不安が強ければ4資産を選べば良いと思います。
ちなみに個人的にこの4資産均等バランスのような、日本と先進国の債券・株式に均等に投資する4資産配分型の商品は好きです。
つみたて8資産均等バランス
つみたて8資産均等バランスはバランスファンドの1つです。
- 日本債券
- 日本株式
- 日本REIT(不動産投資信託)
- 先進国債券
- 先進国株式
- 先進国REIT(不動産投資信託)
- 新興国債券
- 新興国株式
の8つの資産クラスに投資します。eMAXIS slim バランス(8資産均等型)という有名なバランスファンドがありますが、つみたて8資産均等バランスの運用の仕組みもまったく同じです。異なるのは信託報酬が違う点と、つみたて8資産均等バランスは信託報酬の引き下げを期待しがたい点です。
購入手数料 | 0% (ノーロード) |
信託報酬 実質コスト | 0.242% 0.283% |
信託財産留保額 | 0% |
換金手数料 | 0% |
運用期限 (償還日) | 無期限 (償還なし) |
基準価額 | 三菱UFJ国際投信公式 |
純資産(ベビー) 純資産(マザー) | 141億円 – |
SBI証券ランキング つみたてNISA 設定件数 | ランク外 |
つみたてんとうシリーズのオススメはどれか
個人的にはこう挙げておきます。
- ローリスクローリターン派:つみたて4資産均等バランス
- ミドルリスクミドルリターン派:つみたて8資産均等バランス
- ハイリスクハイリターン派:つみたて先進国株式(+ つみたて日本株式 + つみたて新興国株式)
つみたてんとうシリーズの商品は全て役割が異なっているので、全ての商品がある人にとっては最適な可能性もあれば、不適な可能性もあります。とはいえ、基本的には「つみたて8資産均等バランス」と「つみたて先進国株式」を中心に選ぶことになるのでは?と思います。
実際のところ、純資産ベースで人気がある商品は、
- つみたて8資産均等バランス
- つみたて先進国株式
- つみたて日本株式(日経平均)
の3つです。このうち、日本については、私たちは「日本円(定期預金や保険含む)」という財産を保有していますから、株式まで日本に集中させる必要はありません。ということで、「つみたて8資産均等バランス」と「つみたて先進国株式」を挙げたいと思ったわけです。
なお、2つ以上の商品を買うこともできますので、例えば「つみたて先進国株式」 + 「つみたて日本株式」といった組み合わせも問題ありません。
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まとめ
- つみたてんとうシリーズはeMAXIS slimシリーズで有名な三菱UFJ国際投信のインデックスファンドシリーズ。主に銀行向けの商品
- 純資産の少ない商品もあるが、マザーファンド部分はどの商品も潤沢な純資産を持つ(eMAXIS slimシリーズなど、同社の有名ファンドとマザーファンドを共有しているため)
- オススメは「つみたて8資産均等バランス」と「つみたて先進国株式」。純資産ベースでは「つみたて日本株式(日経平均)」も売れているが、投資先を日本に集中させないほうが良い
例えばSBI証券や楽天証券のようなネット証券を利用する場合には、つみたてんとうシリーズを選ぶことは無いと思います。一方、地方銀行などでは主な選択肢になるはずです。
純資産の少ない商品もありますが、マザーファンド部分はどれも巨大な資産を持っていますから、安心してお選びください。その際には「つみたて8資産均等バランス」と「つみたて先進国株式」を軸に選択すると良いと思います。
余談:イメージキャラは「つみたてんとうむし」
このイメージキャラは「つみたてんとうむし」というそうです。
つみたてんとう自体も「積み立て」と「店頭(銀行などの店頭)」をモチーフにしていて、なかなか上手いなと思いますねw