今日はESG系のアクティブファンドの話です。みずほ系列で販売している投資信託「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)(愛称:未来の世界ESG)」の話題を紹介します。
グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし) | アセットマネジメントOne
さて、この投資信託、筆者がぽちぽち遊びに使ってるPayPay証券で取り扱いが始まりました。
PayPay証券、初となる投資信託の取り扱いを9月21日から開始! | note
「いやいや、そこはたわらノーロードじゃないんかい!」とツッコミ入れたいところですが、PayPay証券の新サービスの商品選定はいつもちょっとアレなので、「PayPay証券らしいな」と言いつつ確認してみたといったところでした。
結論から述べると、本商品はESGの条件を満たすグロース株に偏ったポートフォリオを作っているので、相場環境次第で結構差が出るんじゃないかと思ったところです。ESGのストーリーに共感しないのであれば、積極的に選ぶ理由はないかなと考えています。
では、詳しく見ていきます。
最初にグローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)の商品性を、続いてパフォーマンスを見ていきます。
[スポンサーリンク]
未来の世界ESGの商品性
ESGの条件を満たす銘柄のうち、有力な成長株に投資
グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)(以下、「未来の世界ESG」と呼びます)は、日本や新興国の上場株を含む世界中の株式の中から、ESGの条件を満たし、さらに成長性や銘柄のクオリティの条件を満たした20~40銘柄に投資する投資信託です。
「ESG」とは環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance、以下ガバナンス)の頭文字を取ったもので、企業が果たすべき社会的な責任を3つの観点から示しており、具体的には次のような取り組みなどが挙げられます。(中略)
そして「ESG投資」とは、上記のような取り組みを企業の持続的な成長を促すファクターとして評価することで、投資の意思決定にESGの観点も取り入れる投資手法のことをいいます。
手っ取り早く言えば、ESG投資は人や社会に悪影響をもたらす企業への投資はやめようってお話です。わかりやすいところで言えば、化石燃料や軍事・兵器関連企業はESGの観点から除外されます。
銘柄選定は以下のような手順で行われます。ボトムアップ方式なので、「最初に個々の銘柄の評価から入り、投資対象になる銘柄を絞り込んでいく」といった流れです。
実際の組み入れ銘柄を見ると、主にアメリカのハイテクや一般消費財系の大型株が選ばれています。記事執筆でよく組み込まれている銘柄にアマゾンやアドビ、ショピファイ等が挙げられます。また新興国の銘柄としてインドのHDFC銀行なども含まれます。
財務健全性などもチェックしていることから、本商品は「ESGファクター」以外にも「クオリティ」などのファクターは持ってそうです。
ちなみに、保有銘柄が少ないので、パフォーマンスはハイリスクハイリターンになりやすいです。銘柄を絞り込んで運用する考え方自体は、個人的には好きです。
楽天証券やSBI証券の「未来の世界」とは別商品
ところでこの商品、SBI証券や楽天証券などで買える「未来の世界(グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし))」とは別の商品です(マザーファンドもしっかりわかれてます)。
わたし、最初「あれ?この商品SBI証券でも買えるんじゃないの?」ってちょっと混乱してました笑
ESGの付かないほう(SBI証券や楽天証券で買えるもの)も、多少はESG要素があるようですね。ですが、未来の世界ESGは銘柄選定のかなりの部分でESG要素が加わってる点で少し異なります。
肝心のパフォーマンスは?
さて、パフォーマンスのお話。未来の世界ESGは投資対象が全世界の株式なので、今回はオール・カントリーと成績を比較してみました。
まず、未来の世界ESGの設定来のパフォーマンスは以下の通り。途中までは良い勝負でしたが、ある時からオール・カントリーに負けています。
この成績差はどうしてついたんだろう?と思って、オルカンとの成績差をとったのが以下のグラフです。
たまたまかもしれませんが、2020年11月のワクチン開発前後までは未来の世界ESGが上回り、それ以後はオルカンが逆転しました。その後は2021年6月のFOMCの前後で再び両者が逆転し、その後はほぼ両者とも同等の成績で現在に至ります。
この2つのタイミングは相場の雰囲気が大きく変わった時期でしたよね。未来の世界ESGが劣り続けた期間は景気回復期待でバリューな銘柄や小型株が買われやすかった時期でした。それらの銘柄をポートフォリオに持ってなかった未来の世界ESGはパフォーマンスが伸び悩んだのだと個人的には思ってます。
ここから、おそらく将来も同様で、この商品が得意な時期はパフォーマンスが伸びるけども、あまり得意でない時期は一般的な時価総額インデックスに負けるのでは?と予想をしています。
もう1つのポイントとして、金利が上がってくると、未来の世界ESGは相対的にパフォーマンスが劣りやすいようにも見えます。一般的に言われるグロース株と金利は逆相関にあるという関係が見えるような気がします。
ちなみに下落率。
未来の世界ESGは、保有銘柄数が少ないので少し下落が大きくなりやすいです。クオリティファクター自体はこのようなボラティリティを抑えるんですが、さすがに保有銘柄が少ないとこういうリスクは大きくなりますよね。
というわけで、ESGのストーリーに関心が無く、ただお金を増やしたいのであれば、通常のインデックスファンドで十分かなというのがパフォーマンスを見て思ったところでした。
基本的なデータ
信託報酬など
購入手数料 | 販売会社に準じる |
信託報酬 実質コスト |
1.848% 1.86% |
信託財産留保額 | 0.3% |
換金手数料 | 販売会社に準じる |
運用期限 (償還日) |
2030年7月12日 |
基準価額 | アセマネ |
純資産 | 11366億円 |
信託報酬がなかなか厳しいです。せいぜい0.848%なら、多少パフォーマンスが悪くとも、オール・カントリーを上回って良い成績を出せていたかもしれませんね。
分配金は?
分配金は今のところ0円です。
[スポンサーリンク]
まとめ
- PayPay証券で取り扱いが始まった「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」についてチェックしてみた
- 銘柄選定の影響から、得意な状況と不得意な状況があり、現在のところは不得意な状況でオルカンに差を付けられてしまった
- ESGのストーリーに関心が無ければ別の商品を選ぼう
というわけで、今回は買いませんというお話でした。
銘柄を絞って運用するアクティブファンドはESGなどの縛りをつけないほうがいいのかも、って感じました。
にしても、販売機関がみずほ系列に限られるにもかかわらず、純資産が1兆円超えててすごいですね。商業的にはかなり成功した商品なんでしょうねと。