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つみたてNISAって途中で投資している銘柄を変更したくなったらどうなるの?

5. 運用中に悩むこと・リバランス




つみたてNISAを始めるにあたって、「途中で投資先を変更できるか」を疑問に感じていませんか?

変更できないなら最初の銘柄選びが超大切ですし、もし変更できるなら、何か注意すべきがあるか、など気になること多いですよね。

この記事では、もしもつみたてNISAで、積み立てている商品を変更したくなったら、を紹介。

つみたてNISA対象商品は、頻繁に信託報酬の引き下げも行っていますから、そのあたりも変更すべきか不要かをざっくり計算してみました。

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積み立てる商品の銘柄変更は可能

つみたてNISAは途中で積み立てている商品(ファンド)を変更できます

例えば、つみたてNISAが始まった2018年1月以降も、新しいファンドがいくつも登場しています。

その中には、「今までよりもめっちゃ優れてる」商品も出てきていますから、途中で乗り換えたくなることもあるはずです。

そのような場合にはいつでも積み立て先を変更できます。

が、ここで注意点。

つみたてNISAのデメリット:「スイッチング」はできない

つみたてNISAには、何か便利な銘柄変更のための制度・特典の類は一切なく、個人型確定拠出年金(iDeCo)でいう、スイッチングもありません

つみたてNISAの制度的には、

  • 今まで積み立てた銘柄を残し、別の銘柄を積み立てる
  • 今まで積み立てた銘柄を売却し、別の銘柄を積み立てる(売却相当額の非課税枠は回復しません

のいずれかを選ぶことになります。

一度投資信託を売却すると、その購入額に相当する非課税枠は二度と使えません。

例えば、40万円積み立てたのちに20万円分を売却しても、その20万円分の再利用はできないのです。

つみたてNISAの恩恵を最大限に享受するためには、利益もできるだけ大きく膨らませる必要がありますから、ささいな調整のために投資信託を売却できないのです。

ここがiDeCoに対しての、つみたてNISAのデメリットです。

参考:スイッチングとは

スイッチングとは投資信託への資産の預け替えのことを指します。

つみたてNISAとよく似た制度であるiDeCoでは、投資信託の売却代金に課税されることなく、他の投資信託に資産を預け替えることができます

例えば、

  • ファンドA:60%
  • ファンドB:40%

という比率で投資信託を保有しており、ファンドAの割合を減らしたい場合、

  • ファンドA:60%→50%(10%分を売却)
  • ファンドB:40%→50%(ファンドAの売却代金で購入)

といった運用が可能です。

例えば、現在運用しているアセットアロケーション(投資信託のポートフォリオ)を変更し、よりリスクを抑えたい場合(もしくはよりリターンを求めたい場合)には、スイッチングを使って、ポートフォリオのリバランス(バランス調整)を行います。

iDeCoには「得た利益に対する非課税枠」という概念がありませんので、この調整作業を税金の負担なしにできます。

しかも、スイッチングすることでなんらかの税制上の不都合が生じることもありません

唯一注意点としては、投資信託によっては信託財産留保額(しんたくざいさんりゅうほがく)という手数料が発生する場合がある点です。

これだけはiDeCoもつみたてNISAも回避できません。

スイッチングできないと何が不便なのか

一度決めたアセットアロケーションの変更が困難です。

アセットアロケーションは、ほぼ将来の損失額や利益額に直結しますから、「最初はローリスクな運用を、と思ってたけど、やっぱりハイリターンを目指したい!」と思ったときに、できることが限られているのです。

  • iDeCo:スイッチングでアセットアロケーションの自由自在な変更が可能です
  • つみたてNISA:アセットアロケーションを変更するためには、積み立て先を変えるか、今持っている商品を売るか(使った非課税枠は回復しない)、です

銘柄を変更したくなった場合の対処法

変更前に持っていた商品も売らずに保有し続ける

個人的には、今持っているファンドを売却せずに、別のファンドに積み立て先を変更するのが良いと思います。

上述のとおり、つみたてNISAでは今持ってる商品を売却すると、その分の非課税枠の消費につながってしまいます。

たとえ、1万円分しか購入しなかった商品でも、仮に年利3%で20年運用できれば約2万円と2倍になりますから、それなら売らずに最後まで持ち続けようというわけです。

信託報酬の引き下げに対する対応が難しい

つみたてNISAで投資した銘柄を変更したくなるきっかけの1つは、投資信託の信託報酬の引き下げがあります。

2019年は信託報酬引き下げを行なった投資信託が多く、おそらく少なくない方が銘柄変更を考えたのでは?と思います。

事実、2019年9月に発売が開始されたSBIバンガードS&P500インデックスファンドの際には、SBI証券でeMAXIS slim 米国株式(S&P500)を買っていた多くの方がSBIバンガードに切り換えてしまったようです。

こういう時にどうするかが悩ましいですね。

信託報酬がどの程度下がったら乗り換えても良いか

そこで、信託報酬の引き下げを想定し、ざっくり計算してみました。

計算条件

  • 毎月の積み立て額は1万円
  • 利回り3%の2つ商品があるとする
  • ケース1:信託報酬は0.3%の商品A、0.1%の商品B(実質利回りの差は0.2%)
  • ケース2:信託報酬は0.2%の商品A、0.1%の商品B(実質利回りの差は0.1%)
  • 10年後に商品Aから商品Bに乗り換えるパターンと、20年運用を続けるパターンを考える
  • 乗り換え後は商品Aへの積み立ては行わないが、運用は継続する

この条件下で、10年後に商品Aから商品Bに乗り換えるパターンと、20年運用を続けるパターンを考えた場合に、どちらが運用成績が良くなるかを求めます。

投資信託を乗り換えた時の運用成績差の試算
乗り換えなし10年目乗り換え
(A→B)
ケース1
(信託報酬差0.2%)
317万円319万円
ケース2
(信託報酬差0.1%)
321万円321万円

この結果では、信託報酬差が0.2%あった場合、同一の商品を運用し続けるよりも、より低コストの商品に乗り換えた方が、最終的な運用成績が良くなります。

一方、信託報酬差が0.1%だった場合には、同一の商品を継続運用しようが、乗り換えようが成績は一緒です。

また、この表には含めていませんが、信託報酬差が0.1%未満になると、同一の商品を継続運用したほうが成績が良くなります。

すなわち、信託報酬差が0.1%以上開く場合には、途中からでも、投資先を変更した方が良い結果になるかもしれません

ただ、実際には、「いつ変更するか」と「投資のリスク(リターンのブレ)」がありますから、ここまで綺麗な話にはならないと思います。

なお、あとで追記しますが、数字上は、低コスト商品への変更は早いほど有利な運用になります。

余談:銘柄変更ではなく、途中で運用を休みたくなったら

つみたてNISAはいつでも簡単に運用条件を変更できます。

  • 投資額を減額できます
  • 積み立てを休止・再開できます

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まとめ

  • つみたてNISAでは、運用途中で積み立てている銘柄を変更できる。ただし、iDeCoのスイッチングのように、有利な変更制度はない
  • 積み立てる銘柄を変更した後も、もともと投資してた商品は運用し続けよう。20年運用すれば2倍ぐらいには増えているかもしれない
  • 計算上は、信託報酬が0.1%以上開く場合は積み立てる商品を変更するとお得。ただ、リスク(リターンのブレ)もあるので、わずかな信託報酬の引き下げは無視してもよいかもしれない

途中で投資先を変えないように、最初からeMAXIS slimシリーズのような低コスト商品を選択し、20年付き合うつもりで始めるのが一番ですね。

なお、筆者個人は信託報酬の引き下げに合わせて動かすのが面倒くさいので、その分ぐらいは目をつむってもいいかなーと考えている派です。

追記:2020年は積み立てる銘柄を変えようかな

筆者のつみたてNISAも2020年は銘柄変更しようかなとちょっと考え中。