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【つみたてNISA】株式のみで運用するポートフォリオの見直しをシミュレーションする

5. 運用中に悩むこと・リバランス




こんにちは、みらい(@instockexnet )です。

昨日の記事で、「現在運用している商品がリーマンショック再来時にどのような損益になるかをチェックする方法」を紹介しました。

今回はその続きです。

例えば、つみたてNISAで株式のみに投資している投資家が運用方針を変えようとしたときに、どのようにポートフォリオを見直すかを考えてみたく思います。

前回の記事では以下の2つの選択肢を挙げました。

  • よりローリスクな資産(例えばバランスファンド)などに乗り換える
  • 積立額を減らし、現金資産を増やすことで、リスク資産の割り合いを減らす

今回の記事では、このどちらの選択が妥当なのかを考えようって話です。

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シミュレーションの前提と結果

前提条件:「株式のみのポートフォリオ」からどう変更する?

今回はつみたてNISAで先進国株式ファンド(例えば、eMAXIS slim 先進国株式インデックス)を運用しているポートフォリオを仮定します。

一般に「株式のみ」といっても、現金をまったく持ってない人はいないため、実際には「株式と現金(または類似の無リスク資産)」の組み合わせになっていることが多いはずです。

そこで、この計算では「現金資産(預金など)が50%、先進国株式(つみたてNISA)が50%」であると仮定し、この運用を行なう人がよりリスクを下げるならばどのような見直しをすれば良いかを検討しました。

改善策は以下の2つです。

  1. 「現金、先進国株式、国内債券(※)」として、現金とリスク資産比率を変えずにリスクを下げる(PF1)
  2. 「現金、先進国株式」として、リスク資産比率を下げて、資産全体に対する現金比率を高める(PF2)

※eMAXIS slim 国内債券インデックスのような、価格変動のある債券ファンドを指す。個人向け国債ではない

ここで国内債券を加えるのは、先進国株式と逆相関の関係にあるからです。

ケース1:「アセロラ」デフォルト値での比較

同じ条件で比較するために、PF1とPF2で目標利回りは同じ(1.35%)に設定しました(PF1を基準にしたため、PF2の配分が中途半端な数字になっています)。

PF1とPF2の運用パフォーマンスの比較(アセロラデフォルト値使用)
変更前PF1PF2
リターン2.001.351.35
リスク9.635.656.51
シャープレシオ0.210.240.21
先進国株50%30%33.8%
国内債券020%0
現金50%50%66.2%

この比較では、リスク資産比率を変えずに債券を加えるPF1のほうがリスクが低くなっています

ケース2:myINDEX資産配分ツールでの比較(2019年11月時点)

やはり同じ条件で比較するために、PF1とPF2で目標利回りは同じ(2.6%)に設定しました(PF1を基準にしたため、PF2の配分が中途半端な数字になっています)。

PF1とPF2の運用パフォーマンスの比較(myINDEX使用/2019年11月)
変更前PF1PF2
リターン3.42.62.6
リスク9.35.56.7
シャープレシオ0.370.460.38
先進国株50%30%36%
国内債券020%0
現金50%50%64%

この比較においても、リスク資産比率を変えずに債券を加えるPF1のほうがリスクが低くなっています

つまり、リスク資産比率を変えずに債券を加えたほうが良い

この2つの比較をみる限り、現金と株式の比率を調整するよりも、現在の現金とリスク資産の比率を変更せずに、新たにリスクの低い資産を加えたほうが良いことが分かります。

理由は国内債券の価格変動が株式の価格変動を打ち消す効果を持っているためで、より効率的にリターンだけを取り出せるようになるためです。

つまり、「株式のみのポートフォリオの値動きが大きいな、ちょっと配分を見直そう」と思ったときには、まずは逆相関関係にある商品がないかを検討することです。

国内債券はその筆頭候補ということですね。

でも、国内債券って利回りマイナスだよね

ただ、現実問題として、2019年11月21日時点の国内債券(日本債券10年)の利回りはマイナスです。

有名な国内債券インデックスファンドが保有する債券の最終利回りもマイナスになっているものも散見されるようになって来ました。

そこでここでは国内債券の利回りを-0.1%として、再びアセロラで計算してみました。

同じ条件で比較するために、PF1とPF2で目標利回りは同じ(1.18%)に設定しました(PF1を基準にしたため、PF2の配分が中途半端な数字になっています)。

PF1とPF2の運用パフォーマンスの比較(アセロラ使用/国内債券利回り-0.1%)
変更前PF1PF2
リターン2.001.181.18
リスク9.635.625.70
シャープレシオ0.210.210.21
先進国株50%30%29.6%
国内債券020%0
現金50%50%70.4%

この比較では、債券を加えるPF1のほうが優れている結果にはなったものの、ほとんど差異がありませんでした。

つまり、国内債券利回りがマイナスになっている現在では、資産配分に国内債券を加えるメリットに乏しく、PF2のように現金と株式の比率だけでコントロールしても問題ないとわかります。

結論としては

つみたてNISAで株式のみのファンドを運用している投資家が、ポートフォリオを見直そうとした場合、

  • 国内債券利回りがプラスならば、最初に国内債券ファンドを特定口座などで買うことを考えたほうが良い
  • 国内債券利回りがマイナスならば、どちらでも良いが、現金と株式ファンドの比率を調整するほうが簡単

という結論になります。

なお、個人的な秘策として、楽天・全世界債券インデックス(為替ヘッジ)ファンド(または類似の為替ヘッジつき債券ファンド)を特定口座で購入することを考えます(というか買ってます)。

為替ヘッジコストこそかかりますが、ポートフォリオの最終利回りはeMAXIS slim 国内債券インデックスのようなファンドよりやや高くなるような気がしています。

出典:モーニングスター

  • 橙:楽天・全世界債券インデックス(為替ヘッジ)ファンド
  • 赤:野村インデックスファンド・外国債券・為替ヘッジ型(Funds-i)
  • 緑:eMAXIS slim 国内債券インデックス

本記事の注意点

注意点として、資産のリスク・リターン・相関係数は絶えず変動するため、あるタイミングでは債券利回りがマイナスでも債券を加えたほうが好都合になる可能性もあります(もちろん逆も)。

本来、資産運用は絶えず変動する相場の中で最適な状況を見出す必要があり、最適解は常に流動的である点に留意ください。

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まとめ

  • 例えば、つみたてNISAで株式のみを運用する投資家がポートフォリオを見直す場合、リスク資産比率を変えずに一部を債券にする方法と、リスク資産比率を減らす考え方がある
  • 理論上は、リスク資産比率を変えずに一部を債券に変えたほうが、結果として良い運用成績を期待できそう
  • しかし、マイナス金利下ではあまり効果がなく、現金と株式ファンドの比率を調整するほうが楽。他の案としては、為替ヘッジ付きの海外債券を加える手もある

米国債券と違って、国内ではリスクの相殺に役立つ商品を見つけにくいのがネックですね。

為替ヘッジ付き商品は全体的に人気ないんですけど、個人的には「あり」だと思っています。

というか、この計算をして、楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)のバランスのよさに改めて驚きます。

あんまり人気ないけど、この記事で述べたことをたった1つの商品で実現している優れものですよ。