2019年の年末に「SRET」という、分配金利回り10%近い海外ETFの記事を書きました。
グローバル・X・スーパーディビィデンド・REIT・ETF(ティッカー:SRET) | Global X
それから3か月経って、2020年3月末時点の価格をチェックすると、なんとたった3分の1に!ネタで1口だけ買ってたのですが、もっと大人買いしていたら酷い目に合うところでしたw
SRETに投資して分配金でぼろ儲けしなきゃ😇
— みらいあせっと@東北投信🇨🇦🌴🇹🇭 (@instockexnet) December 27, 2019
いやー、ほんと激落ちくんですね(違
結論を述べると、今回の相場はSRETにとってかなり不利な状況でした。
★2020年3月の相場がSRETにとって不利だった理由
- そもそも何でも売却される相場だった
- コロナウイルスの感染拡大でREITの収益性に懸念を持たれた
- レバレッジをかけて運用するモーゲージREITの存在
この記事では、このあたりを解説しようと思います。
決して、利回りだけで銘柄を選んではいけないのです(押すなよ、押すなよ。
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価格急落は、今回の下落に弱い銘柄を多数組み込んでいたから
2020年3月の相場で米国不動産(REIT)自体が大きく値を下げています。以下は米国不動産ETF「IYR(iシェアーズ米国不動産ETF)」とSRETの価格を比較したものです。
出典:yahoo finance (us)
★2020年年初来からの下落率
- IYR:29.9%
- SRET:64.8%
※日本のREITも30%~40%ぐらい値を下げましたね。
REITそのものも値下がりしていますけども、SRETはそれ以上にとんでもなく下げていることがわかりますね。これはSRETがただのREITではないことに起因しています。
この図を思い出してください。
SRETの2019年末時点の投資先(出典:https://globalxetfs.co.jp/content/files/SRET-factsheet-JPN-2.pdf)
そう、SRETはモーゲージREITやホテル/リゾートREITと、まさに今「旬」のものばかりをポートフォリオに組み込んでいたのです。これでは大ダメージを受けても当然です。
モーゲージREITはどこに行ったの?
2020年3月の暴落で保有比率が大幅に下がった?
ところで、2020年3月25日現在のSRETの上位構成銘柄は以下のようになっています。なんだかカナダ籍企業の名前もちらほら見えますが、実は昨年末の記事にした時点の構成銘柄とかなり異なるようです。
SRETの2020年3月25日時点の投資先(出典:https://globalxetfs.co.jp/funds/sret/)
SRETの2019年末時点の主な投資先(出典:https://globalxetfs.co.jp/funds/sret/)
これ、実は2020年1月時点で一度指数の「リバランス(構成銘柄の変更)」が行われているのも理由になっているんですが、現在の主な上位銘柄は店舗などを保有する、いわゆる普通のREITが占めているようです。しっかりは見てないんですけど、おそらくモーゲージREITの比率は下がっています。
AGNC INVESTMENT CORPはモーゲージREITですが、2位のMANULIFE US REALはオフィスなどを主体にする普通のREITでした。
例えば、リバランス後も採用されていたPennyMac MortgageやBlackstone MortgageなどのモーゲージREITは、25日時点で構成比率がかなり下がっています。
想像ですが、今回の株価下落で、モーゲージREITの価格は大幅に下がってしまったため、保有比率も小さくなった可能性があります。
参考までに、PennyMac Mortgageの価格推移はこちら。見事な断崖絶壁です。
まさかの話題の銘柄が見つかるw
ところで、SRETには「INVESCO MORTGAGE CAPITAL(インベスコ・モーゲージ・キャピタル)」というモーゲージREITが含まれています。この銘柄が話題になりました。
住宅ローン担保証券(MBS)に投資する米不動産投資信託(REIT)のインベスコ・モーゲージ・キャピタルは、追加証拠金(追い証)の請求に応じられなくなったと明らかにした。
インベスコ・モーゲージは24日の発表資料で、前日受けた追い証請求に応じられなかったほか、近い将来に見込まれる追い証請求にも対応できない可能性が高いと説明した。関係先と支払い猶予について交渉しているという。
先に述べたように、モーゲージREITは「モーゲージ債を担保にモーゲージ債を買う」商品なので、担保としているモーゲージ債の価格が下がると、その分だけ追加でお金が必要になるのが原因です。
株の信用取引やFXで有り金溶かしちゃう人と同じ話です。
モーゲージ債の価格の下落は、新型肺炎で労働者の雇用が失われ、住宅ローンの返済が滞るのでは?という懸念から来ています。加えて、3月現半の下落では、「すべての金融商品が売られる」という激しい状況だったため、その時にモーゲージ債の価格が下落したのも原因です。
SRETの今後はどう?
基本的にモーゲージREITを組み入れている点や、マイナーなREITを組み入れている時点で、今後も今回と同じようなことは起こりえると思います。
上述のとおりに、モーゲージREITには「モーゲージ債の価格が下がったり、デフォルト(債務不履行)したりすると運営できなくなる」という弱点があるため、現在の「労働者が収入を得られない状況が続く」というのは危機的状況を招く可能性があります。
幸い、景気刺激策が行われるため、すぐダメになる可能性は低いものの、コロナウイルスがどこまで感染拡大し、景気にどこまで影響を与えるかが問題になると思ってます。
少なくとも、「やったぜ、利回り19%だぜ」と安易に飛びつく銘柄ではないです。今はあまりにもタイミングが悪すぎますし、どうせREITの経営不振から利回りが減ってしまうのがオチだと思ってます。
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まとめ
- 2020年3月の暴落相場でSRETの価格が急落。年初から約70%近い大暴落に
- 暴落の原因は構成銘柄が今回の環境に弱かったこと。加えて、モーゲージREITのレバレッジ運用が裏目に
- 今後もさらにモーゲージREITの破綻などがあり得るので、利回りだけで迂闊に買わないように
昔記事書いたときに、
ですが、金融危機にともない、価格は半分かそれ以下に下がってしまう可能性も忘れないようにしてください。
と書いたのですが、まさかわずか3か月後で予言があたるとは思ってませんでした。。
冒頭の激落ちくんの画像はこちらから。