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暴落相場ではアセットアロケーションの分散よりも現金比率の重要度が高い

2020年2月20日からの各資産クラスのパフォーマンス(2020年の株式市場クラッシュ)3. 商品選択と組み合わせ




結論から述べると、現在の相場は「キャッシュイズキング(Cash is king。現金こそ最強)」を実感させられる状況が続いています。「いくらアセットアロケーションをこねこねしても、現金を持っている人には敵わない」と正直感じています。

毎日お金が減っていくわけですが、正直学ぶことも多いなぁと。

というわけで、日経にこんな記事が出てたので、ちょっと記事にしたいと思いました。

世界の金融市場の大混乱はまだ収束するとは思えないが、投資信託業界は早くも投資家の信頼を失い、向こう何年も後遺症に悩むのではないか。運用成績が悪化したからだけではない。株価急落で投資家は状況を知りたがっているのに、主な国内株アクティブ投信の約半分は2月の月次リポートの公表が3月第2週以降になっていた。「老後の資産形成に最適」と金融庁もお墨付きを与えていたバランス型投信が多額の損失を抱えたことも、痛い

出典:責務忘れた運用会社 バランス型投信に打撃も | 日本経済新聞

では、一緒に見ていきましょう!

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暴落相場では現金が重要

日経の記事は「バランスファンドの分散投資が効果的ではない」と言いたいようです。

バランス型投信は株式、債券、不動産投信などを組み入れているため、全額を株式に振り向ける国内株投信や外国株投信に比べれば、基準価格の下落率が小さく、その意味で「分散投資効果があった」といえないことはない。しかし、3月16日までの各資産のベンチマーク騰落率をみると、国内株が年初来で28.1%安、外国株が28.7%安と大きいだけでなく、国内債も0.2%安、外国債も0.3%安と軟調だった。現段階では一方の値下がりを他方が相殺する効果は得られていない

ですが、今回の相場は今までの調整とは少し状況が異なることは考慮したほうがいいと思います。

2020年2月20日からの各資産のパフォーマンスをチェック

今回のクラッシュが始まった2020年2月20日を基点としたパフォーマンスを見てみましょう。100を下回ると損失が出ていることを意味します。

2020年2月20日からの各資産クラスのパフォーマンス(2020年の株式市場クラッシュ)

出典:SBI証券の基準価額をもとに筆者作成

今回の下落で厳しい状況になっているのが、以下の3つの資産です。

★2020年の株式市場クラッシュで大幅な下落

  • 先進国株式
  • 国内REIT(不動産投資信託)
  • 先進国REIT(不動産投資信託)

コロナウイルスは中国よりも欧州や北米での感染拡大が目立っています。この「先進国市場で流行している」という点が、先進国株式のパフォーマンスを悪くしている要因の1つにありそうです。

つみたてNISAでは米国株式や先進国株式に投資するファンドが人気でしたから、この相場でつらい思いをしている方は多いのでは?と思います。

一方、この手の相場ではいつも最弱(笑)になりやすい日本株式は意外と持ちこたえていますね。流行が抑えられている点と、為替が円安ドル高に進んでいる点、そして日銀が株式を買ってる影響もあると思います。

REITは世界的な観光業へのダメージが懸念されるほか、地銀が「国内REITを債券代わり」にしていたために、かなり投げ売りに近くなってます。

一方、債券や純金も値を下げているのが今回のクラッシュの特徴です。特に純金は10%近く値を下げていて「有事の金」とは思えない状況になってます。

「本当にマジでお金が必要になったときは、株式も債券も純金も投げられる」というのが今回身をもって学んだことです。こういう時に物を言うのはアセットアロケーションではなく、リスク資産と現金との比率なのだと未来永劫、心に刻み込んでおきたいです。

以下は2020年3月16日の記事です。

封じ込めゾーン設定や外出禁止が囁かれるなか、米国人の富裕層は静かに、そして着実に外出自粛に備えています。備えとは、現金引き出しです。結果、マンハッタンは52丁目とパークアベニューに建つバンク・オブ・アメリカの支店で100ドル紙幣が不足する事態が発生。JPモルガン・チェースでも13日までに顧客から数多くの現金引き出しのリクエストを受け、パンク状態だったといいます。しかも、彼らの引き出し希望額は数万ドル=数百万円単位だったのですよ。

出典:富裕層のアメリカ人、現金引き出しに奔走 | Blogos

ちなみに比較には載せてませんが「ビットコイン」も投げ売りされてますね。もともとリスキーな商品ですが、「デジタルゴールド」なんて言葉はただのセールストークだったのかもしれません。

とはいえ、分散投資の効果は出ている

たしかに株も債券も売られる相場とはいえ、それでも分散投資の効果は出ています。先のグラフを見ると、債券の下落率は5%ほどで、分散投資することで大きな下落をカバーできているとは感じます

インデックスファンドの運用は、商品の特徴上、こういった相場では身を任せるしかありません。だからこそ、日頃から現金の比率をコントロールすることが重要なわけです。

それでも「航路」は直進のまま

こういう状況だからこそ、改めて長期投資の原理原則を確認したいところですよね。

1つ目は、「航路を守る」という大原則に従うということです。

市場が安定している時に構築した投資計画は、市場が下落局面の只中にあっても、放棄すべきではありません。分散投資のメリットをこの時こそ発揮させましょう。

苦労して築き上げた貯蓄が減少していくのを見るのは、大変辛いものです。ですが、市場のタイミングを見計らおうとする気持ちに負けてはなりません。それは負けの戦略です。バンガードの調査では、リターンを追い求めると、航路を守った時に比べて年間1.5%の損失を出すことが、過去の事例からわかっています。

出典:バンガードCEOからのメッセージ:新型コロナウイルス感染症に関して | バンガード

下がってしまったものをどうこねこねしても、失われたお金は「当分戻ってきません」。感情的に投信を手放したりせずに、そのまままっすぐ進みましょう。

個人的には「怖い」と感じたら、アセットアロケーションを見直してもいいと思いますが、それでも今まで買ったものは売却しない(売らずに配分を変えていく)ほうがいいですね。

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まとめ

  • 2020年3月のクラッシュ相場での各資産のパフォーマンスを紹介。特に先進国株式とREITの下落が大きい
  • 債券や金も売られており、市場からお金が抜けつつある状態。「キャッシュイズキング」とはまさに現状のこと
  • とはいえ、価格の下落率は債券のほうが抑えられており、分散投資の効果も得られている

いまさら嘆いてもしょうがないですけど、ほんとどんな相場でも信じて抱えていられる商品だけをポートフォリオに組み込むべきなんでしょうね。そして、現金との比率をコントロールすることが大切なんだと、改めて感じた次第です。