リート(REIT / 不動産投資信託)の長期チャートってあまり見たことが無いよね?ということで調べてみました。今回は米国リートのベンチマークの1つである「FTSE Nareit Equity REITs」を使いました。このリート指数は「iシェアーズ米国リートETF(1659))のベンチマークに使われるものです。
FTSE Nareit US Real Estate Indexes | FTSE Russell
数年前まで、海外リートは分配金目的の投資(例えば毎月分配型の投資信託)で選好される傾向にありました。しかし、2020年現在では3月の暴落のイメージが強すぎて、好まない方のほうが多いかもですね。
以下、過去30年の米国リートのパフォーマンスを一緒に見ていきましょう!
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1990年以降の推移
1990年以降の米国REIT(不動産投資信託)の価格推移は以下の通りです。ここで掲載したEquity REITとは、日本国内にも存在するようなオフィスリートや住宅リート等ほか、通信設備やデータセンターなどの実物資産を保有するリートから成る指数です。
実物資産を含まないモーゲージリートが除外されています。
なお、参考指標として全世界株式を掲載しました。どちらもプライスリターンなので、配当は考慮されていません。リートは配当利回り(分配金利回り)が高いため、トータルリターンでは全世界株式以上のリターンになりそうです。
ところどころ違うところがあるけども、大局的には米国リートと株は似ているように見えますね。この期間の米国リートと株の相関係数を求めると0.91と高い正相関の関係にあります。
米国リートの最高値からの下落率も見てみましょう。
このグラフによると米国リートが大きく下落したのは1999~2000年(-30%超)、2007~2008年(-70%)、そして2020年(-30%)の3つの期間です(月次データなので、日次では少し異なる可能性があります)。
2000年頃と2008年の下落は、不動産の供給が需要を上回った可能性があります。特にリーマンショック直前は米国で「不動産バブル」が生じており、金融危機で投げ売られました。
2004年から2007年にかけての米国では、政策金利が段階的に引き上げられていたにも関わらず、不動産供給は過剰な状況にあった。
出典:米国不動産の投資機会③:普通リートでは米国をコアとするグローバル・リート投資に妙味 | アライアンス・バーンスタイン株式会社
2020年の下落は感染症に伴い、オフィスリートや商業リートの収益性悪化が原因です。
以上ををまとめると、「リートは株式との分散投資にも役立ちそうだが、落ちる時は一緒に落ちる」と述べることができると思います。
保有期間リターン
引き続き、米国リートの1990年以降のパフォーマンスを統計的に処理したものを紹介します。なお、引き続きプライスリターンなので、配当を再投資した場合には以下の図よりも運用成績が少し底上げされます。
中央値で見ると、米国リートは長期的に(全世界)株式以上の高い利回りになります。例えば20年保有した時の利回りは4.69%でしたので、ここにリートの高い配当(分配金)利回りを加算すると年利9~10%ぐらいになるかもしれませんね。
一方、米国リートは利回りのブレも大きくなっています。特に利回りの最小値・最大値のばらつきが大きいので、株式よりも大きく儲かることもあれば、それ以上に損をすることもありました。ここからもポートフォリオに組み込む際にはハイリスクハイリターンな特徴を理解した上で投資すべきだとわかります。
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まとめ
- 1990年以降の米国リート指数(FTSE Nareit Equity REITs)のパフォーマンスを紹介
- 普段の米国リートは株と異なる値動きをする場合もあるが、金融危機などで落ちる時は株と同じように落ちる
- 米国リートは利回りが高いものの、利回りのばらつきも大きい
リートを他の資産と組み合わせた時の詳しい解析はまた別の記事で紹介しましょう。
なお、大昔にこんな記事を書いてました。
個人的にリートはどうしても「落ちる時は株と同じかそれ以上に落ちる」という値動きの大きさから、ポートフォリオに必須ではないと思ってます。8資産均等型など、バランスファンドを選ぶと含まれていることがほとんどですけどもね。