8資産均等型のアセットアロケーションが「8資産均等配分」である理由

eMAXIS slim バランス(8資産均等型)のマザーファンド3. 商品選択と組み合わせ




2020年3月の相場以降、8資産均等型に関するツイートを見かけることが多いので、ちょっと記事にすることにしました。説明不要、eMAXIS slim バランス(8資産均等型)などのことですね。

基本的には、3月の相場で8資産均等型が大きく下がってから、他のリスク資産に比べて基準価額の戻りが悪いことに対する話が多いようです。

というわけで、この記事では「8資産均等型はなぜ8資産均等というアセットアロケーションなのか」を解説し、基準価額の戻りが悪い理由についても考えてみたく思います。

話の結論は以下のようなところに持っていきます。

★この記事の結論

  • 8資産均等型は「将来のすべてが未知である」との前提で組まれている商品
  • 「売りやすさ」はおそらく意識されていないが、「売りやすい商品」になっているのは事実
  • 「上昇する資産を売却し、低迷下の資産を買い増す」という逆張りのため、株式だけで運用するケースと比較すると戻りが悪いのは仕方ない

では、一緒に見ていきましょう!

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「8資産均等型」というアセットアロケーションの意味

すべてがわからない前提で組む配分

8資産均等型に限りませんが、均等配分型の資産配分は将来のすべてを予想できないことを前提に最適化されたアセットアロケーションです。

例えば、すべての資産の将来の利回りがわかっているならば、その利回りが最大になるアセットアロケーションを組むのが合理的です。高い利回りを期待できるとわかっているのに、わざわざ低利回りな債券を選ぶ必要がありません。

一方、すべての資産の将来のリスク(価格変動の大きさ)がわかっているならば、価格変動が小さくなるアセットアロケーションを組めます。これは「最小分散ポートフォリオ」ですね。

では、もし、将来の利回りも価格変動の大きさもすべて予想できないとしたら?

その際に選ぶのが均等配分の組み合わせです。

例えば、以下は2つの資産のリスクとリターンを乱数化(0~1)し、この2資産の相関係数も乱数化(-1~1)したときに、この2つの資産をどの比率で保有するのがベストかを求めたものです。この計算では、2つの資産を同じ比率(50%:50%)で保有することで、もっともリターンを保持したままリスクを低減できる可能性が高まります。

リスク・リターン・相関のすべてを乱数化したときの2資産のポートフォリオ

出典:筆者作成

実際には、株式のほうが債券よりも大きく値動きするなど、ある程度の「傾斜」はつくはずです。ですが、その傾斜が正しいと思うなら、8資産ではなくそれに応じたアセットアロケーションが最適になります(例えば、「リスクパリティ」は債券と株式の価格変動の大きさに注目していますね)。

8資産均等型は、この2資産の話を8つの資産に拡大したものです。

8つすべての資産において、「リスクもリターンも相関もまったく未知である」という前提でアセットアロケーションを組むと、それぞれ12.5%ずつの保有することで、もっともリスクを低減し、リターンを最大化できる可能性が高まります

だから、特に投資初心者が8資産均等型の投資信託を選ぶのは、それはそれで理に適っています。繰り返すように、なんらかの判断・予測ができるならば、それに応じた資産配分を作ればいいので、8資産均等を選ぶ理由がなくなるからです。

厳密には、8資産均等の各資産クラスの中身は時価総額比率で決まっているので、「株価やREITの現在の価格は正しいが、株や債券の将来性やお互いの関係は全く想像できない」というが正しいですね。

【他のx資産均等型との違い】
4資産や6資産との違いは「新興国やREIT(不動産投資信託)を組み入れる価値があるか」の違いです。つまり、8資産均等型は「新興国やREIT(不動産投資信託)を組み入れる価値はある、と判断した上で、それぞれの関係性や将来性についてはわからない」というスタンスを取っていることになります。

8資産均等型は売りやすい配分?

8資産均等型が8資産均等である理由の1つに「売りやすさ」を挙げる方がいらっしゃいます。

個人的に、これはこれで正しいと思っています。

実際には、均等配分ではないバランスファンドは、なんらかの投資判断に基づいて決められているはずなのですが、残念ながらその意図が多くの買い手(個人)に伝わってないと感じます。その点で、均等配分は「(内容はともかく、見た目的に)わかりやすく」、実際パフォーマンスもわるくないので消去法的にも買われるのかなと思ってます。

おそらく「当初は売りやすさは意識されていなかったと思うが、結果的にはよく売れてしまった」みたいなイメージです。

均等型ポートフォリオは逆張り的な性質をもつ

ところで、均等配分のポートフォリオは逆張り的な性質を有します

例えば、2020年6月現在では、大きく価格を戻してきた先進国株式(特に米国株)と、未だ低迷下にあるREIT(不動産投資信託)と、資産クラスによって明暗が分かれています。以下はeMAXIS slim バランス(8資産均等型)の4月の基準価額変化要因で、株式は大きく値を上げた一方で、特に国内REITは足を引っ張りました。

2020年4月の8資産の基準価額変化要因

出典:https://emaxis.jp/fund/252760.html

説明不要でしょうが、コロナウイルスの感染拡大によってホテルREITやオフィスREITの収益性悪化が原因です。

8資産均等型は1つの資産クラスはわずか12.5%しか保有しないので、この状況では大きく価格を戻してきた先進国株式を売り、低迷下にあるREITを買うことで、バランスを取ることになります。

これが現在の8資産均等型の値の戻りが悪い理由の1つです。

バランスファンドの成績が、eMAXIS slim 米国株式などの100%株式資産から成る商品をバイアンドホールドした時の成績に比べて悪くなりやすいことは想像にたやすいと思います。だからといって、よりハイリスクな商品への安易な乗り換えは注意すべきだと思います。

【もし事前にREITの低迷を想像できていたら】
もし事前にREITの低迷を想像できていたら、いうまでもなくREITの比率を下げますよね。そういった不確実性を予想しきれないからこそ、すべてに12.5%ずつ投資するわけで、たった1つのイベントだけを見て投資判断を変えるのはリスキーだと思うんです。

ちなみに筆者は現在、iDeCoで8資産均等型(iFree 8資産バランス)を買っています。3月以降の相場を見ても、この商品の運用を考え直すことはありません。

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まとめ

  • 8資産均等型は「将来のすべてが未知である」との前提で組まれている商品
  • 「売りやすさ」はおそらく意識されていないが、実際には「売りやすい商品」になっているのは事実
  • 「上昇する資産を売却し、低迷下の資産を買い増す」という逆張りのため、株式だけで運用するケースと比較すると戻りが悪いのは仕方ない

今回の相場ではREITの予想外の下落が、いつもの相場とは違うところでしたね。しかし、個人的には8資産均等型はそれでも良い商品だと思っています。

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