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フィデリティ欧州株ファンドのパフォーマンスを見てみる

3. 商品選択と組み合わせ




欧州株式に投資するアクティブファンド「フィデリティ・欧州株・ファンド」の最近のパフォーマンスをチェックしてみました。

欧州株式は低成長や高齢化のイメージが強く、加えて日本から投資できる商品が限られていることもあって、あんまり人気がありません。前にちょっとまとめたんですが、ほんと数がないですね。。

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といった中で、実はベンチマーク以上の実績を残す「フィデリティ・欧州株・ファンド」は貴重な存在です。「アクティブ運用だからダメ」と言わないでくださいね。

それでは一緒に見ていきましょう!

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パフォーマンスをチェック

欧州株市場のインデックスとの比較

フィデリティ・欧州株・ファンドのパフォーマンスは以下の図に示されています。MSCI Europe Index(MSCIヨーロッパインデックス)の税引前配当再投資後の運用成績と比較しています。

MSCI Europe Index | MSCI(pdf)

フィデリティ欧州株ファンドのパフォーマンス

出典:https://doc.wam.abic.co.jp/ap02rs/contents/pdf/32313984_m.pdf

フィデリティ・欧州株・ファンドは2014年頃からベンチマークを上回り続けています。2018年以降は世界的にも株価が伸び悩んでいますが、それでもフィデリティ・欧州株・ファンドはまるで米国市場のように高いパフォーマンスを出し続けています。

以下は海外ETFのIEV(iシェアーズヨーロッパETF。調整後終値・円換算)との成績を比較したものです。こちらはどちらも運用時のコストが反映されたものです。

フィデリティ欧州株ファンドの運用成績の推移。比較対象はIEV(ヨーロッパETF)

フィデリティ・欧州株・ファンドとIEVの運用成績差を取ると以下の通り。フィデリティ・欧州株・ファンドは失速することなく、順調にIEVをアウトパフォームし続けています。

フィデリティ欧州株ファンドとIEV(ヨーロッパETF)の運用成績差の推移

以下はフィデリティ・欧州株・ファンドの基準価額の下落だけを取り出したものです。全体的にIEVよりも下落を抑えられているのが好印象です。

※IEVはドル→円で換算しているので、もしかしたら為替の違いが影響しているかもしれません。

フィデリティ欧州株ファンドの運用成績の推移(下落率)

米国市場の成績と比較してみると

市場が異なるものの、S&P500連動の投資信託と比較したものが以下です。フィデリティ欧州株ファンドはしばしば米国株以上のパフォーマンスを出しています。

フィデリティ欧州株ファンドと米国株インデックスとの比較

ちなみに、フィデリティ・欧州株・ファンドは1998年の設定から現在までに基準価額が3倍になっています。この間の年平均利回りは約5.6%でした。悪くないですね。

なんでパフォーマンスが良いんだろ?

フィデリティ・欧州株・ファンドのパフォーマンスの良さは、この投資信託が「アクティブ運用だから」という点が理由になります。というのも、ファンドの投資先と、ベンチマークの特徴を比較するとわかります。

ファンドとベンチマークのセクター比率の違い(2020年7月現在)
セクターファンドベンチマーク
情報通信16.47.45
ヘルスケア13.516.51
資本財12.213.42
一般消費財11.29.86
生活必需品8.914.77

フィデリティ欧州株ファンドの投資国と投資セクター

出典:https://doc.wam.abic.co.jp/ap02rs/contents/pdf/32313984_m.pdf

世界的に最近の株価をけん引しているのは主に情報通信セクターや一般消費財セクターです(特にコロナ以降はその傾向が強いですね)。フィデリティ欧州株ファンドの上位銘柄を見ると、例えばドイツ最大のソフトウェア企業である「SAP」が含まれています。

フィデリティ欧州株ファンドのポートフォリオ

SAPの株価(以下)を見ると、2020年7月現在も最高値付近にあり、「高齢化で低迷する欧州」みたいなものはまったく感じません(よね?)。

SAPの株価

出典:Google Finance

こういった成長企業をうまくポートフォリオに組み込んだ結果、フィデリティ欧州株ファンドはベンチマークを上回るパフォーマンスを出せています

逆に、MSCIヨーロッパインデックスの上位構成銘柄は、すでに成長しきった安定企業がほとんどを占めています(いわゆるバリューな銘柄)。時価総額的には正しいのでしょうが、どうしても株価の伸び悩みを感じてしまいます。

その他、ファンドのポートフォリオの構成銘柄を49と、比較的少数の銘柄に抑えている点もパフォーマンスを高めている理由に挙げることができると思います。

基本的なデータ

信託報酬など

フィデリティ・欧州株・ファンドの主な特徴(2021年8月20日現在)
購入手数料0%
(ノーロード)
信託報酬
実質コスト
1.65%
1.792%
信託財産留保額0%
換金手数料0%
運用期限
(償還日)
無期限
(償還なし)
基準価額フィデリティ投信
純資産304億円

フィデリティ・欧州株・ファンドの信託報酬は一般的なアクティブファンドレベルです。ですが、低コストの欧州株インデックス(IEV)を上回る成績を出せている点で、検討の余地はあるように思います。

分配金は?

今のところ、フィデリティ・欧州株・ファンドは分配金を出していません。過去の運用で1回も出してないので、今後も分配金なしでやってくんじゃないでしょうか。

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まとめ

  • 近年のフィデリティ欧州株ファンドのパフォーマンスはベンチマークを上回る。20年間で年5.6%の成長
  • ポートフォリオに成長企業をうまく組み入れ、アクティブ運用の良さを発揮
  • ベンチマークであるMSCIヨーロッパインデックスは成熟した低成長銘柄の影響が強い

フィデリティ欧州株ファンドを見ると「アクティブファンドだからダメ」とか「欧州株は儲からない」などとイメージで語っちゃダメと感じますね。将来もまったく同じとは限りませんが、これからも気になるファンドです。

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