「難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!」は、もう誰もが知ってる名著の一冊ですね。発売から6年も経ちますが、今でも本書の話題を見かけることがあります。
難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください! | Amazon
そこで、今回は今更ながら本書の感想等を、最近思ったことと含めて書いてみようと思いました。
一冊の書籍を長く読んでると、最初に感じたことと、あとから読み直した時に感じることって結構変わりますよね。今回はそういう話になりました。
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書籍の概要
本書は成人が社会で直面するお金の問題(保険や投資の勧誘、家を買うかどうかなど)をどう考えるかを指南する書籍です。主なテーマとして
★書籍中の主なテーマ
- 投資
- 年金
- 保険
- 住宅
などが扱われています。ただ、全体的には投資手法と非課税制度(NISA、確定拠出年金)の話題が多めです。
5年以上前に出版されたため、つみたてNISAやeMAXIS slimシリーズといった、現在の定番的な非課税制度・金融商品の話題はありません。書籍で紹介されている投資信託は、ニッセイ外国株式インデックスファンドと上場インデックスファンドTOPIXの2つで、2021年現在では話題が少ない点には時間の流れを感じます。
書籍の主張は「余計な金融商品は買わず(契約せず)に、低コストのインデックスファンドに積み立てる」という至ってシンプルな物です。「保険は不要、住宅は賃貸で十分、運用は株式ファンドだけ」という、現在のSNSでよく見かける主張は、おそらく本書あたりから出てるんじゃないかと思ってます。
余談ですが、山崎さんは楽天証券の人なのに、書籍中ではSBI証券に口座を開くあたりがちょっと面白いです。
全体的に、対話方式で進むのが特徴です。このあたりは人によって評価が分かれるように思います。
さて、感想など
本書に対する感想は、昔読んだときと、いま改めて読んだときとで、感じる物が変わっています。昔は好意的でしたが、現在はそこまで好意的ではないイメージです。
この変化は、わたし個人の投資や保険を含むお金への考え方の変化が影響していると思っています。
本書はわかりやすいと評判ですが、その根拠の1つは、内容が全体的に断言的な点にあると思っています。以下の一文に集約されるように、読者に考えさせるのではなく、あたかもそうするのが正解であるかのように解説されています。
家も買わなくていい、保険も入らなくていい。しかも、覚える金融商品は個人向け国債と投資信託の2つだけだから、かなりシンプルなんですね
ここで言う投資信託は、上述の国内外株式の2つですね。著者はオンラインでも債券(個人向け国債を除く)は不要との主張を行ってますので、「株と債券を組み合わせて、リスク選好度に合わせたアセットアロケーションを組む」という話は出てきません。
ここまで明確に書かれると、「資産形成で何をすべきか」と考えた時に、何も迷うことが無いように思います。ですが、「全ての人が本当に家も保険も不要で、株式だけ買っておけばいいのか」は疑問です。
例えば、SNSで「米国株インデックスに投資してFIREを目指します」と意気揚々にデビューした初心者の投資家さんが、株価の下落の中でSNSをやめてしまうみたいなことがしばしばあります。この方にとっては、米国株インデックスへの集中投資は不適切で、本当はもっとリスク選好度に合った商品を選ぶべきのが正解だったわけです。
お金のアドバイスを考えた時、どうしても断定的な物言いは難しいです。金商法で「断定的判断の提供」が禁じられているように、アドバイスする側はどうしてもあるともないとも言えないような、煮え切らない言い方になるのが普通です。
そこをどう受け止めるかが、投資を始めた時と現在では変わってきたから、本書に対する評価も変わってきたのだと、個人的には思ってます。
今のわたしの視点は少しFP寄りなんでしょうね。
と、ちょっと否定的な目線になりましたが、運用に限らず、保険やローンなど様々な分野に切り込んでいる点で、やはり本書は名著だと思っています。山崎さんだからこそ書けるというか、そんな感じがします。
個人的にも、現金とリスク資産を分ける考え方とか参考になった点もあります。本書から始めて、自分なりに情報を取捨選択してカスタマイズしていくのがベストなんじゃないでしょうか。
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まとめ
- 「難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!」は今まで当たり前だったお金の使い方に異を唱える名著
- 書籍の主張はシンプルで、「余計な金融商品は買わず(契約せず)に、低コストのインデックスファンドに積み立てる」
- 書籍通りにするのが正解のようにも読めるが、実際には個人の状況に合わせてもっと考えたほうが良いと思う
というわけで、結論としては「最初の1冊には良いが、本書の内容にとどまらずに情報をアップデートしていこう」という点が一番言いたいところです。
ちなみに、書籍中で提示した「国内株1:先進国株1」のアセットアロケーションは、2021年現在も主張されているみたいです。この配分については、アセットアロケーションの議論が好きな人達からいろいろ見解を聞きたいところです。
もし、書籍に関心ありましたら、ご覧になってみてください。
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あなたももう持ってるかな?