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東証再編に伴いTOPIX連動投信をどのように扱うのが良いですか?

4. 始めた後の応用知識




「東証再編に伴いTOPIX連動投信をどのように扱うか」という質問をいただきました。

楽しく拝見しております。東証再編についてお聞きしたいです。投信にも影響が出ると思いますが、どのようにお考えでしょうか?個人的にはつみたてnisaでemaxis slim topix を入れています。将来が見込めないなら、topixに関しましてはスイッチングか解約しようかなと思っています。どのような形がベターでしょうか?

東証再編とは、現在の一部市場・二部市場・マザーズ市場・ジャスダック市場の4市場を再編し、プライム・スタンダード・グロースの3市場に変更しようという動きのことです。

東証「プライム」など3市場に再編 企業の質向上狙う | 日本経済新聞

これに伴い、今まで「TOPIX = 東証一部上場銘柄」だったものが、そうではなくなる可能性があります。個人投資家はこれにどう対応しましょうか?というお話です。

結論から述べると、個人的には今TOPIXを買っているなら、売らなくて良い(そのまま運用し続けるのが良い)と思ってます。が、何分将来はどう変わるかわからないので、話半分でご覧ください。記事執筆時点(2020年12月)において、新TOPIXの算出ルールはまだ確定していませんので。

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市場再編後の「TOPIX」はどうなる?

見直しから移行までの大まかな流れ

市場再編後にTOPIXはどのような指数になっているか。調べたところによると、以下のような経過措置をたどって、新指数へ移行していくようです。

★新しいTOPIXへの移行の流れ

  • 2021年3月頃:TOPIX等の新算出ルールの決定と公表
  • 2022年4月以降:新算出ルールへの変更開始
  • 2022年~2025年:段階的な見直し

出典:TOPIX算出ルールの見直しの概要 | JPX(pdf)

TOPIXは年金や機関投資家含め、多くの投資家が利用している指数の1つです。そのため、上記資料にも「多額のパッシブ連動資産や市場への影響を考慮し段階的に移行」と書かれており、連続性は保たれるものと予想されます。

投資家にとって大切なポイント

また、この見直しの概要資料には(現在の案ですが)割と大切なことが書かれています。

★現在の見直し案で大切な記載

  • TOPIXは市場区分と切り離し、市場代表性に加え投資対象としての機能性の更なる向上を目指す
  • 流通株式時価総額100億円以上か否かを確認(※)
  • 整理銘柄指定、上場廃止、特設注意市場銘柄はTOPIXから除外

※市場に出回りやすい株式の総額。大株主や企業に持ち合いで市場に出にくい固定株は除外される。浮動株の多さは流動性(いつでも売れる・買えること)の高さにつながる

ここから、プライム市場上場銘柄でなくとも、時価総額が大きく、流動性の高い銘柄であれば、新TOPIXに採用される可能性があると予想されます。一方、流動性の低い銘柄や時価総額が100億円を下回る銘柄は、現在TOPIX採用銘柄であっても、将来的には外される可能性が出てきます。

原稿のアイディア通りに移行する場合、新TOPIXは米国のラッセル1000(大型株約1000銘柄を対象とする指数)のような大型株主体の指数になるのかもしれません。

従来のTOPIXから新TOPIXへの移行

余談ですが、指数から小型株を取り除くことで、小型株効果(スマートベータで言うサイズファクター)が失われます。新TOPIXは現在よりもほんのわずかに(誤差程度に)ローリスクローリターンな指数になる気がします。

新TOPIXへの移行時に生じること

これはどちらかと言えば、個別株の投資に大きな影響を与える話です。新TOPIXへ移行する過程で、段階的に銘柄の組み換えが行われていきます

★新しいTOPIXへ移行する中で銘柄の組み換えが行われる

  • 新規採用銘柄の組み入れ
  • 採用基準を満たさない銘柄の除外

新TOPIXへの新規採用銘柄は、インデックスファンドを運用する年金や機関投資家に買われます。一方、除外銘柄はインデックスファンドを運用する年金や機関投資家にとって売りの材料となります。

例えば、テスラのS&P500採用時に様々な思惑が働いたように、今時価総額が大きいけどもTOPIXに採用されていない銘柄や、逆に時価総額が小さいけどもTOPIXに採用されている銘柄は、今後様々な思惑の対象になりえます。

しかし、インデックス投資家は、その流れに身を任せるのみですね。それが時価総額型のインデックスファンドのメリットであり、デメリットでもあります。

売らなくて良いと判断した理由

以上の変更案や影響を見て、個人的にはそのまま運用し続けるのが良いと考えています。新TOPIXは指数の連続性が途絶えるほどに劇的な変更にはならないと感じるからです。

もう1つ大切な点を挙げると、TOPIXのような時価総額インデックスファンドは上位構成銘柄のパフォーマンスに大きな影響を受ける傾向にあります。

2020年10月末のTOPIX上位構成銘柄はトヨタ自動車やソニー、ソフトバンクなど、100億円よりも圧倒的に大きな時価総額を持つ企業ばかりです。新TOPIXは当然、これらの銘柄を時価総額に応じて採用するでしょうから、やはり将来のパフォーマンスは現在とさほど変わらない延長にあると思うのです。

2020年12月現在の日本の時価総額上位銘柄はすべてTOPIXの採用銘柄ですね。現在の一部上場銘柄以外から採用されるにしても、ワークマンやメルカリといった企業に限定されるのではないでしょうか。

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まとめ

  • 東証再編に伴い、現在の4市場制から3市場制に変わる見込み。その際、TOPIXの算出ルールも変更される
  • 新TOPIXでは時価総額の小さな銘柄が除外され、市場を問わず優良な銘柄が採用されるようになる見込み
  • 新TOPIX採用後も、おそらく上位構成銘柄の顔ぶれは変わらず、運用成績も現在の延長上にあると予想される

なお、新TOPIXでは浮動株の算定方法が少し変わる予定なので、その点で構成銘柄の前後はあるかもですね。日本企業に多い政策保有株(株式の相互持合い)が浮動株から除外されるためです。1年前のデータによるとトヨタ自動車やKDDI等が多くなっています。

「政策保有されている銘柄」上位は?GS証がアップデート | モーニングスター

ただ、それを考慮しても、劇的な変化にはつながらない気がしています。

だから、今TOPIXを買っている(日本株に投資しようと思っている)なら、気にせず投資し続けるのが良いと個人的には考えています。