MSCIコクサイインデックスとは日本を除く先進22カ国の株式から構成される株価指数です。特に先進国株式へ投資を行うインデックスファンド(例えばニッセイ外国株式インデックスファンドやeMAXIS slim 先進国株式インデックス)にて、そのベンチマークとして良く利用されています。
個人投資家のブログでも先進国株式に投資される方って多いですよね。
ここではMSCIコクサイインデックスの特徴についてチェックしましょう。
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MSCIコクサイインデックスとは
MSCIコクサイインデックス(MSCI Kokusai Index)は、アメリカのMSCI社が定めた株価指数で、日本を除く先進22カ国の株式から構成されています。別名として「MSCI World ex Japan Index」と呼ばれることもあります。
日本向けに作られた指数のため、一般には日本円ベースで利用されることが多いです。
MSCIコクサイインデックスの構成国のイメージ(ピザロより)
アメリカ | カナダ | オーストラリア | ベルギー | デンマーク |
フィンランド | フランス | ドイツ | アイルランド | イスラエル |
イタリア | オランダ | ノルウェー | ポルトガル | スペイン |
スウェーデン | スイス | イギリス | オーストラリア | 香港 |
ニュージーランド | シンガポール | – | – | – |
MSCIコクサイインデックスの半分以上はアメリカ株式が占めています。
出典:https://www.msci.com/documents/10199/75637607-5053-4a11-bc59-30a604cab1fa
以下はMSCIコクサイインデックスに連動する投資信託の1つであるeMAXIS slim 先進国株式インデックスの主な投資先を示したものです。
出典:eMAXIS slim 先進国株式インデックスの月次レポートより
アップルやマイクロソフト、アマゾンなど、日本でも良く知られた著名企業が構成銘柄です。他の投資信託も比率こそ微妙に違いますが、おおよそアメリカの著名企業を中心に1000以上の銘柄が組み入れられています。
MSCIコクサイインデックスのパフォーマンス
過去50年(1970~2019)のチャート(ドル建て・プライス)
出典:https://app2.msci.com/products/indexes/performance/regional_chart.html(要Adobe Flash Player)
過去30年(1990~2019)のチャート(ドル建て・プライス)
出典:https://app2.msci.com/products/indexes/performance/regional_chart.html(要Adobe Flash Player)
もしも過去15年運用し続けていたら
出典:myINDEXで公開されているパフォーマンスを使ってアセロラで作図
MSCIコクサイインデックスの過去の年次リターンはmyINDEXをご覧ください。
MSCI コクサイ・インデックス (KOKUSAI) (円) | myINDEX
上記のグラフは2003年から2018年の年次リターンを利用し、1年間で12万円ずつ投資したときの、2018年末時点の運用成績を求めたものです。
参考までにこのケースの運用成績は、年平均で9.1%の利回りでした。過去のデータに基づく限り、20年運用するとおおよそ年平均で4%~9%程度のリターンが期待できます。
MSCIコクサイインデックスの構成銘柄は主にアメリカの株式ですから、過去アメリカの株価が上昇し続けたのが大きいです。
長期投資と元本割れの確率の関係
出典:myINDEXで公開されているデータを利用し、筆者作成。
これは過去のMSCIコクサイインデックスのデータを利用し、今後運用し続けたときの運用年数と元本割れの確率の関係を求めたものです。投資信託の運用成績は正規分布になると仮定しており、実際の投資信託の成績の再現には限界がありますので、この結果は必ずしもあなたの将来の運用結果を保証しません。
この計算結果によると、元本割れの確率は「S&P500(米国の主要500社からなる株価指数) < MSCIコクサイインデックス < TOPIX(日本の東証一部上場企業からなる株価指数)」の順番で高まっています。このことは、過去最も運用効率が良かった指数はS&P500インデックスであり、MSCIコクサイインデックスは米国以外の構成銘柄(ヨーロッパ等)の成績があまりよくなかったことを意味します。
個人投資家の中にはMSCIコクサイインデックスよりもS&P500インデックスを選ぶ方もいらっしゃいますが、その背景には過去米国株式の運用成績が良かったことも影響しています。
それでもS&P500ではなく、MSCIコクサイインデックスを選ぶメリット
- S&P500:米国企業から構成されるので、米国が没落したら株価も下がる可能性
- MSCIコクサイインデックス:先進国株式から銘柄が選ばれるので、その時点で最良の株式が選ばれ続ける
MSCIコクサイインデックスは定期的に構成銘柄や株式の構成比率などが見直されていますので、一国の事情に左右されず、その時点で最良の株式が選ばれ続けるメリットがあります。もしかしたら10年後ぐらいには中国株式が含まれるかもしれませんし、そのような市場の変化に対応するならばMSCIコクサイインデックスのほうが適していると筆者は考えます。
よくある質問
MSCIコクサイインデックスという「商品」はどこで売ってますか
MSCIコクサイインデックスは商品ではない(日経平均株価やTOPIX等と同じ「指数」)なので、商品として購入することはできません。上表「MSCIコクサイインデックスに連動する主な投資信託」を参考に、それをベンチマークにする投資信託やETFをお選びください。
よく分からなければ、ニッセイ外国株式インデックスファンドやeMAXIS slim 先進国株式インデックスなどをお選びください。
この指数のリスク(値動きの大きさ)はどのくらいですか?
過去20年の成績に基づくと、1年間で投資額の最大±50%程度は値が動く可能性があります。参考までにリーマンショックのときには円高も相まって約50%の値下がりとなりましたが、逆に2013年には逆に円安効果もあって50%超の値上がりを経験しています。
iDeCoで購入するならオススメはどれですか?
eMAXIS slim 先進国株式インデックスが無難だと思います。SBI証券、マネックス証券、松井証券のiDeCoで扱っています。
筆者の利用法
筆者はiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用して、MSCIコクサイインデックスに連動する「DCニッセイ外国株式インデックス」に投資しています。
これは筆者のアセットアロケーションですが、ご覧の通り、先進国株式への投資比率は約70%近くにも達しています。その中核をなすのがMSCIコクサイインデックスをベンチマークにする「DCニッセイ外国株式インデックス」といった状況です。
なお、筆者のiDeCoはSBI証券のオリジナルプランを利用しています。SBI証券のプランの場合、オリジナルならば「DCニッセイ外国株式インデックス」を、セレクトならば「eMAXIS slim 先進国株式インデックス」と、どちらのプランを利用しても先進国株式に投資できます。ファンドの知名度などを考慮すると、今なら後者のセレクトプランでeMAXIS slim 先進国株式インデックスを選んだほうが良いかもしれませんね。
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まとめ
- MSCIコクサイインデックスは日本を除く先進国株式の株価から算出。その比率の約65%は米国株式に依存
- 過去15年間の利回りは9.1%。どのタイミングで切り出すか、にもよるが、きちんと長期投資を行なえば年平均で4~8%程度の利回りになる(毎年この比率で増えるわけではないので注意)
- MSCIコクサイインデックスに連動する投資信託は多い。一般的には低信託報酬で純資産の多いニッセイ外国株式インデックスファンドやeMAXIS slim 先進国株式インデックスが選ばれやすい
MSCIコクサイインデックスを利用するかS&P500(もしくは他の類似指数)を利用するかは、今のところ決まった答えがなく、「何を信じるか」にかかっています。筆者は先進国株式派なので、MSCIコクサイインデックスに連動する投資信託を利用しています。
余談:MSCIコクサイインデックスのデータを閲覧・ダウンロードできる場所
MSCI コクサイ・インデックス (KOKUSAI) (円) | myINDEX(日本語・円建て/ドル建てもあり)
MSCI International Kokusai World ex Japan Net Real time リアルタイムチャート | Investing.com(日本語・ドル建て)
https://app2.msci.com/(英語・ドル建て・ヒストリカルデータのダウンロード対応・要Adobe Flash Player)
REAL TIME INDEX DATA SEARCH | MSCI(英語・ドル建て・リアルタイムデータ(20分ディレイ))