今回は先進国株式のみのポートフォリオと、先進国株式90%にゴールドを10%加えたポートフォリオのパフォーマンスを比較します。
ポートフォリオに10%のゴールド(ドル建て・円ヘッジ問わず)を加えることで、運用成績が改善されるとの検証結果が多くあります。もちろん過去の成績と将来の成績は同じとは限りませんが、検討の余地はありそうだと思うところです。
そこで今回は先進国株式に投資する「インデックスファンド海外株式」と、ゴールド先物の円建ての2001年以降の価格を利用し、先進国株式のみで運用した場合と、それにゴールドを加えた場合での運用成績を比較しました。
その結果、6年以上長期保有でゴールドを加えたほうが運用成績が良くなった点と、なんらかの危機時にゴールドを加えたポートフォリオは値下がりが限定的で、運用成績が良くなりやすかった点を紹介します。
★使った投資信託とその保有比率
- インデックスファンド海外株式:90%
- ゴールド先物(円換算):10%
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検証してみた
先進国株式のみ運用した場合と、先進国株式9:ゴールド1で運用した場合のパフォーマンスの比較を紹介しましょう。
以下は先進国株式のみ(インデックスファンド海外株式のみ)運用した場合と、先進国株式9:ゴールド1で運用した場合の保有期間リターンを求め、その中央値を比較したものです。この比較は、6年以上保有する場合には先進国株式9:ゴールド1で運用したほうが成績が優れたことを表します。
以下はそれぞれの保有期間リターンを求めたものです。
先進国株式 | 先進国株式9 ゴールド1 | ゴールド | |
---|---|---|---|
標準偏差※ | 1.48 | 1.21 | 1.26 |
利回り (5年) | 7.4% | 7.4% | 2.7% |
元本割れ率 (5年) | 31.0% | 23.0% | 34.0% |
利回り (10年) | 5.6% | 6.4% | 5.9% |
元本割れ率 (10年) | 7.6% | 0.3% | 22.0% |
※1日の値動きの大きさ。数値が小さいほど穏やか。
この検証では、先進国株式のみのポートフォリオが短期的な利回りで優れたものの、長期的には先進国株式にゴールドを加えたほうが利回りも向上し、元本割れリスクも低く抑えられました。ゴールドを加えたほうが毎日の値動きも抑えられており、ポートフォリオに加えるメリットを感じます。
仮に2001年10月以降、先進国株式のみ運用した場合と、先進国株式9:ゴールド1で運用した場合でそれぞれどの程度下落を経験したかを示したものが下図です。ほぼすべての下落において、ゴールドを加えていたほうが損失の軽減につながっていることがわかります。
参考までに、2020年3月のコロナショックでは、先進国株式のポートフォリオが最大34%の損失を被ったのに対し、ゴールドを加えたポートフォリオは30%の損失で済みました。投資額の4%の軽減ですが、仮に1,000万円運用していたら、その金額は40万円にもなりますから、結構大きな違いだと感じます。
積立投資シミュレーション
先進国株式のみ運用した場合と、先進国株式9:ゴールド1で運用した場合にそれぞれ積立投資したらどうなったかも比較しましょう。なお、つみたてNISAを意識して、保有比率が3%以上ずれた場合には、積立額を変更して配分を調整するノーセルリバランスを行うものとして計算しました。
その資産推移が以下のグラフです。
リーマンショックやコロナショックなどの「危機」時には、ゴールドを加えたポートフォリオのほうが優れた成績になりました。一方、危機が去ったあとの株式の上昇相場では、その差が縮小し、先進国株式のみのポートフォリオが良い成績になりました。
つまり、(過去の相場に基づく限りは)将来も定期的に何らかの危機がやってくるならばゴールドを加えたほうが良く、楽観的な相場を想定するならば、ゴールドは不要であると判断できそうです。
以下の記事で紹介した、「ゴールドは危機ヘッジ」との言葉が端的に表れている気がします。
ちなみに今回の検証では、最終的に成績が良かったのはゴールドを加えたポートフォリオでした。が、コロナショックが無ければ違う結果になった気がしますね。
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まとめ
- 先進国株式のみのポートフォリオと、先進国株式90%にゴールドを10%加えたポートフォリオのパフォーマンスを比較した
- 保有期間リターンでは、5年以上保有した場合にゴールドを加えたポートフォリオのほうが良い成績になりやすかった
- 積み立てシミュレーションでは、なんらかの危機時にゴールドを加えたポートフォリオの成績が改善されやすい
「5年以上保有時に成績が改善しやすい」というのは、株価の下落の周期に影響を受けている気がします。定期的に暴落を経験する可能性を前提に運用するならば、ポートフォリオにゴールドを加えるのも一興ですね。
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