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アセットアロケーションに金(ゴールド)を入れるべき理由を解説する

アセットアロケーション(資産配分)

先日「暗黒時代に備えるアセットアロケーション」の記事を書いた時に、ケンズさん(@kenz08)よりこんなリプライをいただきました。

金と商品(コモディティ)は為替リスクはもちろん、長期保有で価値生まないのにコスト高めなのと、後者はコンタンゴ or 信用リスクを食らうのは皆さんどう考えておられるのだろうと疑問に思ってます。

「暗黒時代」を短くする暴落前提のアセットアロケーションの魅力を考える
昨日のこのツイートについて、少し詳しく紹介したいと思います。 定期的に暴落が発生することを前提とする場合、「株式100%で一括投資」よりも「バランスファンドで毎月積み立て」のほうが利益を出しやす...

というわけで、今回は金(ゴールド)の話を紹介します。

いろいろ調べた結果、現在の筆者は金投資に結構好意的な印象を抱きました。

その考えに至った理由をこの記事で紹介しようと思うわけです。

ちなみに投資家が金投資を行なわない理由の1つに「金は配当などの価値を生まない」という点はよく知られていますので、その話に関する議論は避けたいと思います。

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では、一緒に見ていきましょう!

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理由1:金(ゴールド)は最強のインフレ対策ツールである

言いたいのはこれですね。

「インフレ」「インフレ」言うなら、株よりも金を買うべきです。

「インフレ対策のために株式投資」は半分うそ

一般に、個人に投資を勧める文句の1つに「インフレ対策のための株を買おう」と言う話があります。

というか、筆者も昔はそうだと思っていて、どこかで記事に書いてた記憶がありますw

しかし、この話は半分正解で半分うそです。

推定誤差は大きいのでマイナスであることが統計的に優位とまでは言い切れないものの、少なくとも先進国ではインフレと株式のリターンに相関はないことが見て取れます。つまり株式はインフレヘッジの役には立たないのです。(中略)

インフレヘッジに最も適した資産はコモデティ(筆者注:金や原油などの「商品」のこと)で、次点が短期国債(ないしは預金)になります。

出典:株式はインフレ対策にならないという不都合な事実 | 打倒インデックス投資

「まじか!騙された!!」って感じですよねw

そこで、いくつかのデータを当たってみました。

以下は三菱UFJ信託銀行が2014年9月にリリースしたレポート「インフレに対応した運用戦略」から、物価と株価、および物価と商品(金や原油などのコモディティ)の相関の図を引用したものです。

物価と株式の関係

物価と株価の相関(出典:インフレに対応した運用戦略 | 三菱UFJ信託銀行(2014.9))

物価とコモディティの関係

物価と商品(コモディティ)の相関(出典:インフレに対応した運用戦略 | 三菱UFJ信託銀行(2014.9))

これによると、物価と株価の相関はほとんど0で、相関無しとの結果が示されています。

一方、従来からインフレ対策に有効と語られる商品(金や原油など)は相関係数が0.5を超えており、正の相関(物価が上がれば、価値が上がる)との関係を確認できます。

また、三井住友信託銀行が作成したレポート「年金負債を考慮した長期投資の資産配分(2012年7月)」では、以下のような記述があります。

投資期間毎の資産の名目リターンと(中略)インフレとの相関は投資期間の影響を受けやすく、どの資産でも長い投資期間を想定するほど、インフレ耐性が強まる傾向が見られました。

特に短期金利は短い期間ですぐにインフレをとらえており、あらゆる投資期間で最もインフレ耐性の強い資産といえます。

株式、債券のインフレとの相関関係は短期的には負ですが、その後は右肩上がりに相関が高まっていきます

インフレの上昇は短期的には株式や債券価格の割引利回りを高めるために、資産価格が下落してインフレとの間に負の相関関係をもたらします。

ところが長期的には、インフレによって配当や表面利率が高まるために、それに伴って資産価格は上昇して正の相関関係が生まれます。

株式や債券とインフレとの相関の期間構造の形状は、このような一連の関係を表しているものといえます。

コモディティ(筆者注:金や原油などの商品)は投資期間にあまり関係なく、インフレとの安定的な関係が見られる点が特徴です。

出典:年金負債を考慮した長期投資の資産配分(2012年7月)(pdf)

つまり、長くインフレが続けば株式も債券もそれに追従するが、短期的には株式や債券よりもコモディティ(金や原油など)や短期金利(や預金金利)のほうがインフレに追従しやすいことを示します

「株を買えばインフレ対策」はある意味で正しく、ある意味では嘘なのです。

インフレ対策は純金と短期金利(預金)

先ほどの話から、インフレ対策は金などの商品と短期金利(預金)が有効であることがわかりました。

もしあなたが「インフレに備えて資産運用をしている」と仰るのであれば、そのポートフォリオには金などの商品(コモディティ)と預金は必ず入れておくべきです。

一方、インフレ対策が目的なのに金(や預金)を持っていないのであれば、対策として不十分な可能性は捨てきれません。

理由2:資産の変動を抑えるためにも金は加えたほうが良い

金は他の資産とは独立して値動きするため、アセットアロケーションに加えることで資産全体の値動きを抑える効果を期待できます。

少し古い資料ですが、「ワールド・ゴールド・カウンシル」という団体が日本人にとって最適な金の保有量をレポートにて公開しています。

日本の投資家にとっての金の最適保有比率 | ワールドゴールドカウンシル(pdf)

この組織は金産業の市場開発組織なので、その点は割り引いて考える必要があります。

レポートではまとめで以下のように述べられています。

金のリターンに対する魅力度から金が最適ポートフォリオの一部を構成したものではなく、ポートフォリオ内の分散効果を最大限にしリスクを低減させるために金が選択された事が検証できた。

伝統的な資産を中心に保有している投資家にとって、統計的に有意な金の最適保有比率は2.9%から9.4%であった。

出典:日本の投資家にとっての金の最適保有比率 | ワールドゴールドカウンシル(pdf)

ちなみに東北投信でも昔、こんな記事を書いていましたね。

質問「「8資産バランスファンド + 純金」の9資産均等アセットアロケーションを評価してください」
読者様から質問を頂いたのでご紹介します。 8資産均等型のバランス投信を買いつつ9資産目として特定口座でゴールドのETFを買うのはどうなんでしょうか? slimバランス 88% 純金上場信託(15...

こういう計算はインプット次第で結果が変わるものではありますが、分散投資を考えた際に、金は資産全体の価格変動を吸収する最適な資産の1つであると認識できるかと思います。

現実的には活用しやすいサービスに乏しい

というわけで、インフレ対策に金は最良のアセットとはいえ、困ったことに活用しやすいサービスがないのは問題点です。

例えば、SBI証券の純金投資サービスの買付手数料は2%で、コストに厳しいインデックス投資家にとってはかなり高額な手数料なはず(笑)

一般的な純金積立を提供するサービス(三菱マテリアルや田中貴金属店など)も、まあ似たようなコストがかかります。

現実的には純金ETF(金の果実など)を選ぶのが低コストでしょうが、それでも信託報酬0.49%(税別)は高いと感じる方もいらっしゃるはずです。

「金の果実」シリーズ|三菱UFJ信託銀行

以前、ツイッターでアンケートを取ったところでは、「金は不要」との回答が多く見られました。

こう回答された背景には、そもそも扱いやすい商品があまり多くないことも反映されていると予想されます。

これらを勘案すると、手数料負担を無視できるほどの資産を持つ投資家は、資産の一部を金投資に回して良いと考えます。

一方、手数料負担を無視できない少額投資家(特に運用額が100万円を下回るような)は、金ではなく預金をインフレ対策に利用したほうが現実的です。

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まとめ

  • 金(などの商品や預金)はインフレ対策に最適。株式や債券は長期的にはインフレに追従するが、インフレ対策ツールとしては不十分である
  • 金をアセットアロケーションに組み込むもう1つのメリットは資産全体の価格変動を抑えること
  • 2019年現在、金に低コストで投資できる便利なサービスがないので、資産に対して手数料負担が大きい場合には、預金をインフレ対策ツールに使ったほうが良い

というわけで、資産があるなら金投資も少しは考えたほうがいいかもねって話でした。

なお、他のゴールドの話題はこちらから。

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