今回は国内株式(日経平均株価)のみのポートフォリオと、国内株式90%にゴールドを10%加えたポートフォリオのパフォーマンスを比較します。
ポートフォリオに10%のゴールド(ドル建て・円ヘッジ問わず)を加えることで、運用成績が改善されるとの検証結果が多くあります。もちろん過去の成績と将来の成績は同じとは限りませんが、検討の余地はありそうだと思うところです。
今回は1988年以降の日経平均株価と、ゴールド先物(円換算)の価格を利用し、国内株式のみで運用した場合と、それにゴールドを加えた場合での運用成績を比較しました。
その結果、日本は長期的な株価低迷の影響で、ゴールドを加えたほうが運用成績が良くなりました。また、2012年以降に限定しても、ゴールドを加えることで株価の下落リスクを抑えられた点を紹介します。
★使った指数とその保有比率
- 日経平均株価(配当なし):90%
- ゴールド先物(円換算):10%
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検証してみた
国内株式のみ運用した場合と、国内株式9:ゴールド1で運用した場合のパフォーマンスの比較を紹介しましょう。
以下は国内株式(日経平均株価)のみで運用した場合と、国内株式9:ゴールド1で運用した場合の保有期間リターンを求め、その中央値を比較したものです。この比較では、すべての保有年数で国内株式にゴールドを加えたほうが優れていたことが示されています。
そもそも、1988年以降のデータを使っているため、国内株式はバブルのピークに達する少し前でした。そのため、国内株式のみで運用すると、バブル崩壊後の株価の下落をまともにくらってしまい、期待値がマイナスリターンになりました。
以下は国内株式のみで運用した場合と、ゴールドを加えた場合の成績を比較したものです。さすがにバブル崩壊後の株価下落は、ゴールドのみで抑えることはできませんでした。
国内株式 | 国内株式9 ゴールド1 | ゴールド | |
---|---|---|---|
標準偏差※ | 1.47 | 1.13 | 1.25 |
利回り (5年) | -2.5% | 0.5% | 2.8% |
元本割れ率 (5年) | 59.6% | 48.3% | 34.7% |
利回り (10年) | -2.5% | 1.0% | 6.1% |
元本割れ率 (10年) | 66.0% | 45.3% | 22.0% |
※1日の値動きの大きさ。数値が小さいほど穏やか。
一方、国内株式の株価上昇が始まった2012年以降で求めると以下のようになります。
国内株式 | 国内株式9 ゴールド1 | ゴールド | |
---|---|---|---|
標準偏差※ | 1.34 | 1.03 | 1.48 |
利回り (3年) | 8.4% | 5.5% | 2.2% |
元本割れ率 (3年) | 1.4% | 0.4% | 25.1% |
利回り (5年) | 9.1% | 5.5% | 2.1% |
元本割れ率 (5年) | 3.2% | 0.5% | 3.4% |
2012年以降に限ってみると、国内株式の利回りが大きく、ゴールドを加えないほうが良い結果になっています。
一方、国内株式にゴールドを加えたポートフォリオは、株価の値動きの大きさを示す標準偏差が抑えられている点と、元本割れ確率が低くなっている点で優れており、ゴールドを加えたことで下方リスクへの耐性がついていることがわかります。
ちなみに、1988年以降、国内株式のみ運用した場合と、国内株式9:ゴールド1で運用した場合での下落率を求めました。10%のゴールドを加えることで、バブル崩壊後の損失をより早く回復できていることがわかります。
なお、今回の試算に用いた日経平均株価には配当が考慮されていません。そのため、配当の分だけ運用成績はもう少し良くなるはずです。
国内株式とゴールドは相性が良い?
インデックス界隈では、特に国内株式に対しては悲観的な見方をする方が結構いらっしゃいます。人口が増えないことや、低成長で今後も株価は上がらないのでは?との意見が多いです。
一方、為替リスクを考慮すると、ポートフォリオの一部を国内株式で運用するメリットもあります。将来円高が発生すると、外国資産の価値は大きく下がってしまうからです。
という事情を勘案すると、国内株式を保有する際にはゴールドも少量保有しておくことで、国内株式がダメだった時のバックアップになるかもしれませんね。
余談ですが、ゴールドの価格は円高時に上がりやすい傾向にあります(円安時に値下がりしやすい)。そのため、日本人からみたゴールドは価格の変動が抑えられており、国内株式と組み合わせる資産として相性が良いのでは?と感じます。
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まとめ
- 国内株式のみのポートフォリオと、国内株式90%にゴールドを10%加えたポートフォリオのパフォーマンスを比較した
- バブル崩壊の株価下落を、10%のゴールドでカバーするのは難しかった
- ゴールドを加えることで資産の変動が抑えられた。2012年以降に限定するとゴールドを10%加えることで、元本割れの確率も抑えられた
というわけで、他の記事同様にゴールドに可能性を感じる結果でした。
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