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野村スリーゼロ先進国株式投信のパフォーマンスを見てみたよ

3. 商品選択と組み合わせ




サイト内検索で「スリーゼロ」を検索される方がいらしたので、ひさびさにパフォーマンスを調べてみました。「野村スリーゼロ(野村スリーゼロ先進国株式投信)」って覚えてますかね・・・??

この商品、信託報酬ゼロを掲げて野村證券が売り出した「自爆営業」商品です。

※信託報酬は販売機関(今回は野村證券)や運用会社(今回は野村アセットマネジメント)の収益です。「信託報酬ゼロ」というのはそういう利益を放棄したという意味です。スリーゼロをきっかけに野村證券に口座開設してもらい、他の商品で手数料を支払ってもらうという「フリーミアム」的な商品ですね。

結論から述べると、スリーゼロは信託報酬がゼロなので、その分だけパフォーマンスが上乗せされています。eMAXIS slimシリーズも勝てません(三菱側は勝負する気ないでしょうけどw)。

ただ、業界を変えるほどにはならなかった、というか半分忘れられてしまってるので、野村側の目論見は失敗だった気がしますね。

ということで、さっそく現状を見ていきましょう。

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野村スリーゼロ先進国株式投信の現状

スリーゼロのチャートや純資産の推移を見てみます。

野村スリーゼロのチャートと純資産(2021年8月7日まで)

出典:野村スリーゼロ先進国株式投信 | 投資信託協会

スリーゼロってちょうどコロナショックの最中に設定されたんですね。基準価額が10000円からスタートし、翌日には10%超下落して8900円台になっているのが驚きます。

ちなみに商品自体はただの先進国株式ファンドなので、パフォーマンスはちゃんと右肩上がりで成長しています(マザーファンドはやっぱりFunds-i等と同じでしたね)。

一方、スリーゼロの純資産はだいたい14億円です。スリーゼロが野村證券のみで販売していることを考えると、まあまあ売れていると言える気がします。つみたてNISAに積極的なネット証券とは顧客層が違うと思うので、そのあたりを勘案すると。

ここまでのパフォーマンス

手数料ゼロは伊達じゃない

今回はスリーゼロとeMAXIS slim 先進国株式のパフォーマンスを比較しながら、スリーゼロの低コストさを感じてみます。

eMAXIS slim 先進国株式インデックスが凄いことになっていた!
先進国株式への投資はニッセイ外国株式インデックスファンド。そう思っていた時代がありました。しかし、最近になってこの公式は崩れ去っていました。 2019年5月現在、先進国株式への投資は「eMAXIS s...

それが以下のグラフです。

野村スリーゼロとeMAXIS slim 先進国株式のチャート

このグラフ、ほとんど違いがわからんですねwというわけで、差分だけ取り出してみました。下図において橙のラインが成績差で、上方向に伸びるほど、スリーゼロがslim 先進国株式を上回ることを意味します。

野村スリーゼロからeMAXIS slim 先進国株式の成績を引いたもの

この図は野村スリーゼロの成績がeMAXIS slim 先進国株式の利回りを上回ることを示しています。トラッキングエラー等はなく、おおよそコストの差が生じているのかなと考えています。

野村スリーゼロには信託報酬が発生せず、ファンドの運用で生じた売買手数料や税のみがかかっています。eMAXIS slim 含め、一般的なインデックスファンドは信託報酬が生じていますので、その差分だけ、野村スリーゼロは有利です

実質コストも激安

記事執筆時点でのスリーゼロの実質コストは0.03%(2020年3月~2020年12月まで)です。実質コストがeMAXIS slim 先進国株式の信託報酬以下という驚異的な低コストさですね。

ファンドは良いけど、コンセプトは失敗なのかなぁと

というわけで、スリーゼロ自体は運用も安定しており、純資産もそこそこあるので、悪くないとは思います。ですが、「スリーゼロをきっかけに、初めての投資家層にも野村證券を使ってもらう」って目論見は失敗なのかなぁって感じます。

最近は知らないって方が多いようですし。

一方、こんな意見もいただきました。

大和アセットと言えば、「レバナス」とか「ツミレバ」とかですね。そちらは有名なYoutuberさんを生み出すなど、知名度ではかなり成功を収めています(相場的な幸運の影響も大きそう)。

やっぱりコストを下げるだけじゃあだめなんだなぁと。

スリーゼロの販売会社は?

2021年8月時点で野村證券のみです。

野村スリーゼロの販売会社 | 野村アセットマネジメント

野村證券の秘密兵器なので、楽天証券やSBI証券で販売されることは今後も無いと思います。

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まとめ

  • 野村スリーゼロは信託報酬ゼロで野村證券が販売する超低コストの投資信託。投資対象は先進国株式
  • スリーゼロのコスト面はたしかに抑えられており、eMAXIS slim 先進国株式よりも好成績
  • 一方で、商業的には失敗した印象。純資産はそこそこあるものの、知名度的に「普及した」とは言い難い

ちなみに、皮肉なことに「先進国株式」という資産クラス自体が選ばれなくなってきたように思います。最近のよくある2択は「米国株か全世界株式か」です。なんで先進国株式の選択肢は消えちゃったんでしょうw

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