「iFree外国株式インデックス(為替ヘッジあり)」は為替ヘッジつきのMSCIコクサイインデックス連動ファンドの2番手になります(1番はたわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジあり>)。ヘッジつきファンドを選びたい際に、利用している金融機関の商品取扱状況に合わせてどちらかをお選びください。
為替ヘッジはヘッジコストが発生したり、為替差益が少なくなったりと、利益も少なくなりがちです。その代わり、為替変動による価格の変化を小さくしてくれるので円高に伴う損失を軽減してくれます。あなたの好みに合わせてお選びください。
- 為替の影響を軽減し、値動きを穏やかにして安心を得たいか → ヘッジありを選ぼう
- ヘッジコストで利回りが下がるのを勿体ないと思うか → ヘッジなしを選ぼう
※理由はともかく、個人投資家はヘッジなしを選ぶ方が多いですね。
では、「iFree外国株式インデックス(為替ヘッジあり)」の特徴についてみていきましょう。ちなみにヘッジなしについては以下の記事をご覧ください。
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「iFree外国株式インデックス(為替ヘッジあり)」とは
iFree外国株式インデックス(為替ヘッジあり)(協会コード:04319178)は、大和証券投資信託委託が運用する、つみたてNISA対応の投資信託です。
iFree外国株式インデックス(為替ヘッジあり) | 大和証券投資信託委託
同社の低コストインデックスファンドシリーズ「iFree」シリーズの商品で、「先進国株式」に投資する商品です。
この商品は為替ヘッジを行なっており、リターンが下がるものの、為替変動の影響を低減しているのが特徴です。
信託報酬や純資産などの基本情報
出典:iFree外国株式インデックス(為替ヘッジあり)の目論見書より
購入手数料 | 0% (ノーロード) |
信託報酬 実質コスト | 0.209% 0.289% |
信託財産留保額 | 0% |
換金手数料 | 0% |
運用期限 (償還日) | 無期限 (償還なし) |
基準価額 | 大和投信公式 |
純資産(ベビー) 純資産(マザー) | 8.6億円 303億円 |
SBI証券ランキング つみたてNISA 設定件数 | ランク外 (2019年3月) |
マザーファンド「外国株式インデックス為替ヘッジ型マザーファンド」は、同社の様々な外国株式ファンドと共有しています。規模が大きいので、ベビーファンドであるiFree外国株式インデックス(為替ヘッジあり)の純資産の規模は気にしなくても大丈夫だと思います。
信託報酬ランキング(2019年11月)
43位
SBI証券で2019年11月6日時点で取り扱う153本のつみたてNISA対象投信との比較。
日本を除く先進国(主にアメリカ)に「為替リスクを抑えて」投資できる商品
iFree外国株式インデックス(為替ヘッジあり)は日本を除く先進国に投資できる投資信託です。ベンチマークは為替ヘッジ(円とドルなどの変動の影響を抑えること)を行なった「MSCI コクサイインデックス」です。投資先の内訳は、約68%をアメリカが占め、残りはユーロ圏やカナダなどの株式です。
出典:https://www.daiwa-am.co.jp/funds/doc_open/fund_doc_open.php?code=3341&type=6&preview=on
投資先の国を着色した地図にするとこんな感じで、日本は含まれません。
先進国株式(日本のぞく)の投資範囲。地図はピザロより
結構少ない「為替ヘッジつき」の先進国株式ファンド。ベストバイは?
結論から述べると、あなたが為替ヘッジつきの先進国株式ファンドを買いたいならば、ベストバイは「たわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジあり>」です。これは総コストと純資産から判断しています。
2019年4月現在、つみたてNISA対応の投資信託では、以下の4種類が為替ヘッジを行ないつつ、日本を除く先進国株式に投資できる商品です。
★為替ヘッジを行ないつつ、日本を除く先進国株式に投資できる代表的な投資信託
- iFree 外国株式インデックス(為替ヘッジあり)
- たわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジあり>
- つみたて先進国株式(為替ヘッジあり)
- 野村インデックスファンド外国株式(為替ヘッジ型)(Funds-i 外国株式・為替ヘッジ型)
この中でiFree外国株式インデックス(為替ヘッジあり)の魅力は、
★ここが魅力
- 先進国株式に投資できる為替ヘッジつきファンドの中で、もっとも低い信託報酬
- 為替ヘッジなしのものと同様に、地方銀行を含む広い販売経路
にあると思います。
商品名 | 信託報酬 | 純資産 |
---|---|---|
iFree 外国株式 | 0.2052% | 6億円 |
たわらノーロード | 0.216% | 42億円 |
つみたて先進国株式 | 0.216% | 10億円 |
Funds-i | 0.594% | 36億円 |
信託報酬はもっとも低コストなものの、運用成績ではたわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジあり>に劣後する傾向にあります。これはおそらく信託報酬を含めた総コストでたわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジあり>に負けているためです。
出典:モーニングスター
- iFree 外国株式インデックス(為替ヘッジあり):+12.46%
- たわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジあり>:+13.12%
- つみたて先進国株式(為替ヘッジあり):+12.35%
- 野村インデックスファンド外国株式(為替ヘッジ型):+11.96%
純資産の多さも考慮すると、iFree 外国株式インデックス(為替ヘッジあり)よりもたわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジあり>を選びやすいです。たわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジあり>とiFree 外国株式インデックス(為替ヘッジあり)の販売金融機関は重複しないため、「前者を売ってなければ後者」という選び方をオススメします。
将来予測
乱数シミュレーション(モンテカルロ法)を用いて、iFree外国株式インデックス(為替ヘッジあり)に20年間、毎月1万円ずつ積み立てた場合の予想成績を紹介します。以下で述べる計算結果は、あなたの将来の運用成績を保証・約束するものではありません。
為替ヘッジ込みのMSCIコクサイインデックスのデータを得るために、今回は投信アシストの実績データ(2003年~)を利用しました。ヘッジ無しのリスク・リターンと同時に計算し、為替ヘッジすることでどの程度パフォーマンスが変わるのかを併せて表示します。
なお、モンテカルロシミュレータは筆者作成のもの(アセロラ)を利用し、リターンからは信託報酬(0.2052)分を引いて計算します。
ヘッジなし | ヘッジあり | |
---|---|---|
リターン | 8.7948 (9.0-0.2052) | 7.7948 (8.0-0.2052) |
リスク | 18.8 | 13.3 |
出典:投信アシスト(比較インデックス:外国株式、外国株式・為替ヘッジ型)2019年4月12日時点
- リターン:年利回りのこと
- リスク:リターンの標準偏差(1σ)のことで、リスクが大きいほど、リターンの触れ幅も大きくなります
ヘッジなし | ヘッジあり | |
---|---|---|
平均値 (万円) | 666.2 | 585.0 |
中央値 (万円) | 559.9 | 538.4 |
元本割れ確率 (%) | 4.5 | 1.3 |
ご覧の通り、ヘッジありのほうが運用成績は低く出ましたが、一方で元本割れの確率も低めになりました。為替ヘッジの結果、シャープレシオ(=リターン ÷ リスク)が改善したためです。
実際には、上表のインプットするリターンはちょっと利回りが良すぎるように思います。もし、ヘッジなしの利回りを5%、ヘッジありの利回りを4%と仮定すれば、下表のような結果になります(おそらく下表のほうが現実的にありえそうな予想成績です)。
ヘッジなし | ヘッジあり | |
---|---|---|
平均値 (万円) | 414.7 | 364.1 |
中央値 (万円) | 354.5 | 334.8 |
元本割れ確率 (%) | 21.7 | 17.9 |
この2つの比較から、為替ヘッジありのファンドを使うことで、以下のような効果を期待できます。
- 元本割れの確率を低減できる
- その代わり、将来期待される運用成績も減ってしまう
注意点:為替ヘッジがどのくらいリターンを下げるかは時期によって異なる
ところで、上記の将来予測計算はかなり不確実要素が多いです。為替ヘッジがリターンとリスクにどの程度影響するかは時期によって異なるからです。基本的に為替ヘッジは投資信託のリターンを下げると思ってください。
2016年初頭、MSCIでは為替ヘッジコストが減ったというコンテンツをリリースしました。当時はほとんどヘッジコストがかからなかったのです。
金融危機が起こる前の10年間、MSCI コクサイ(日本を除く先進国株式で構成される)指数のフルヘッジ指数は、以下の表にある通り、ボラティリティを3.2%ポイント抑えることができたものの、リターンもまた2.6%失っている。これは、ボラティリティを抑えるためにはかなり高いコストである。しかし、金融危機後はリスクが1/3(筆者注:-7%)ほど減少している一方でリターンの減少は見られない。
一方、最近は米国の利上げのため、日本との金利差が拡大し、為替ヘッジコストは上昇しています。ヘッジコストは投資のリターンを引き下げますので、金利差の拡大はiFree 外国株式インデックス(為替ヘッジあり)を含む為替ヘッジファンドにとって悪影響を与えます。
出典:http://www.smtam.jp/shared/pdf/report_column/HP20190118.pdf
ちなみに2005年から2008年頃まで、現在の2倍近い為替コスト(約5%)がかかっていました。以下はその頃に運用されていた投資信託「日興インデックスファンド海外株式(ヘッジあり)」と「日興インデックスファンド海外株式(ヘッジなし)」の運用成績を比較したものです。この図は「もしも、iFree外国株式インデックスの為替ヘッジありとヘッジなしが2002年から運用されていたら」との仮定でご覧ください。
出典:SBI証券の基準価額データを利用し筆者作成
この図からも、為替コストはファンドのリターンを全て食い尽くすことはないが、ある程度のリターン押し下げはやむ負えない、ということが言えます(厳密にはヘッジコスト以外の要因もリターンの差に含まれます)。今後、iFree外国株式インデックスの運用もこの図と同じような傾向になるはずです。
- 為替の影響を軽減し、値動きを穏やかにして安心を得たいか → ヘッジありを選ぼう
- ヘッジコストで利回りが下がるのを勿体ないと思うか → ヘッジなしを選ぼう
あなたならどちらを選びますか?
iFree外国株式インデックス(為替ヘッジあり)はどこで購入できる?
購入できる金融機関(2019年4月時点)
SBI証券や楽天証券のようなネット証券、イオン銀行、大和証券、そしてローカルな地方銀行などで購入できます。多すぎて書ききれませんので、公式サイトをご覧ください。
2019年なら楽天証券が良いと思う
インデックスファンドはSBI証券か楽天証券で買うのが鉄板ですが、最近は楽天スーパーポイント関連のサービスが多い楽天証券のほうがお得な状況にあります。
★楽天証券でiFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)を買うメリット
- 楽天スーパーポイントとの連携サービス(ポイントでiFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)を買える)
- 楽天カードを利用した投信積立サービス(楽天スーパーポイント1%還元)
- スマホからの購入対応
SBI証券の場合、ポイントサービスの利便性で遅れを取っていますが、その代わりつみたてNISA関連のキャンペーンが多いといった特徴があります。キャンペーンを使ってお得に運用を始めたいなら、SBI証券もオススメです。
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まとめ
- iFree外国株式インデックス(為替ヘッジあり)は日本を除く先進国株式(主にアメリカ)に投資する商品。為替ヘッジを加えることで、為替変動に伴う価格の変化を抑えている
- 為替ヘッジつきの先進国株式ファンドの中では信託報酬が最安だが、運用成績はたわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジあり>に劣りがち
- 地方銀行でも購入できる。ネット証券利用者以外でも選びやすいのが良いところ
筆者が見る限り、為替ヘッジつきのファンドで運用する投信ブロガーはいないようですが、為替の影響は結構大きいので「怖いなぁ」と感じる人は検討しても良いと思います。ヘッジコストが将来どうなるかが心配なところですが、金利を上げることも時間がかかる(今の米国がそうであるように)ので、20年後も実はそれほど大差ないんじゃないかという気がします。
ちなみに、iFree S&P500インデックスの記事は以下をご覧ください。