表題「つみたてNISAでETF買えるけど、これって投資する価値あるの?」の通りでございます。
つみたてNISAはノーロード投資信託(インデックスファンド)を積み立てる印象の強い制度ですが、実は若干ETFの取り扱いもあります。
というのも、大和証券に口座を開設すると、同社の系列ファンドであるiFreeシリーズ以外にも、ETFを購入できるんです。
そこで、つみたてNISAでETFを購入するメリットやデメリットと、利用する価値はあるかどうかを紹介。
以下、あなたがETFの商品性をご存知な上で話を進めます。
なお、つみたてNISAとETFの併用については以下の記事もご覧ください。
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つみたてNISA対応ETFの概要(2018年4月現在)
どんな種類のETFを購入できる?
以下の3種類あります。
- ダイワ上場投信-トピックス(証券コード:1305):東証株価指数「TOPIX」と同等の成績を享受
- ダイワ上場投信-日経225(証券コード:1320):日経平均株価と同等の成績を享受
- ダイワ上場投信-JPX日経400(証券コード:1599):東京証券取引所が定める「JPX400」指数と同等の成績を享受
いずれも名前が示すように、大和証券と同じ系列に属する「大和証券投資信託委託株式会社」が設定するETFです。
特徴1:ETFなので信託報酬が低い!
以下は3商品の信託報酬を比較したものです(2018年4月16日時点)。
1305 トピックス | 1320 日経225 | 1599 JPX400 | |
信託報酬 | 0.1188% | 0.1728% | 0.1944% |
分配金利回り | 1.41% | 1.37% | 1.86% |
2018年4月現在で低コストインデックスファンドとして話題になることの多い、eMAXIS slim 先進国株式インデックスの信託報酬は0.11826%と、これら3つのETFと同水準です。
あまり知られていませんが、ETFの信託報酬はもともと低いものが多いため、実は低コストなインデックス運用には最適な商品の1つです。
例えば、(つみたてNISA対応ではありませんが)「iシェアーズ TOPIX ETF」は信託報酬0.06%と、TOPIXに連動する低コストファンドの「ニッセイTOPIXインデックスファンド」の0.17172%の3分の1なんです。
特徴2:ETFなので分配金が出る!
その他、年に1回か数回分配金が出るのもETFの特徴です。
株式数比例配分方式を選択している場合、つみたてNISA口座で発生した分配金は非課税で受け取れます。
つみたてNISA勘定で買付けたETFの分配金を非課税とするためには、証券会社で分配金を受領する「株式数比例配分方式」を選択していただく必要があり、所定の手続が必要となります。
出典:つみたてNISA Q&A | 金融庁
どこで購入できる?
そして、敢えて述べるまでもなく、これら3つのETFは大和証券で購入できます。
主要ネット証券であるSBI証券も楽天証券も、大和証券投資信託委託株式会社の3つのETFは販売していますが、つみたてNISAでの買いつけには対応していません。
システム開発の問題か、そもそもやらないのかはわかりませんが、別にいらないかなーって気はしますね笑
余談:大和証券のつみたてNISA商品ラインナップ
インデックスファンド
投資対象 資産 | 投資地域 | ファンド名 | 運用管理費用 (信託報酬) (税込) |
株式 | 日本 | iFree TOPIXインデックス | 年率 0.1836% |
iFree 日経225インデックス | 年率 0.1836% | ||
iFree JPX日経400インデックス | 年率 0.2106% | ||
先進国 | iFree 外国株式インデックス (為替ヘッジあり) | 年率 0.2052% | |
iFree 外国株式インデックス (為替ヘッジなし) | 年率 0.2052% | ||
米国 | iFree S&P500インデックス | 年率 0.2430% | |
新興国 | iFree 新興国株式インデックス | 年率 0.3672% | |
資産複合 4資産 | 日本・先進国 | ダイワ・ライフ・バランス30 | 年率 0.1944% |
ダイワ・ライフ・バランス50 | 年率 0.2160% | ||
ダイワ・ライフ・バランス70 | 年率 0.2376% | ||
資産複合 8資産 | 日本・先進国・ 新興国 | iFree 8資産バランス | 年率 0.2376% |
アクティブファンド
投資対象 資産 | 投資地域 | ファンド名 | 運用管理費用 (信託報酬) (税込) |
株式 | 日本 | 年金積立Jグロース 愛称:つみたてJグロース | 年率 0.8856% |
ETF
投資対象 資産 | 投資地域 | ファンド名 | 運用管理費用 (信託報酬) (税込) |
株式 | 日本 | ダイワ上場投信-トピックス | 年率 0.27%以内 |
ダイワ上場投信-日経225 | |||
ダイワ上場投信-JPX日経400 |
つみたてNISAでETFを買う。何か問題ある?
2つ問題があります。
- ETFの取引にまつわる手数料が高い
- 投資信託のほうが効率的に再投資される
大和証券の手数料体系が高い
まず、ETFの売買手数料は証券会社の手数料体系に依存するため、信託報酬は低くても、手数料全体を考えた場合には、投資信託のほうが有利な場合も多いんです。
つみたてNISA対応のETFを扱う大和証券の手数料体系を見ると、結構高いです。
大和証券のつみたてNISA専用の料金プランは見つけられなかったので、つみたてNISA口座でETFを買う場合はおそらく
- ダイレクトコース(またはコンサルティングコース)の手数料体系に準じる
- 株式累積投資(るいとう)の手数料体系に準じる
のいずれかになると思います。
例えば、大和証券をインターネット経由で利用する「ダイレクトコース」を使った場合、1約定(やくじょう。1回の注文)あたりの手数料は最低1,080円です。
今、SBI証券でアクティブプランを利用すると、10万円までの株式売買(ETF含む)は無料(0円)で取引できるのですよ!?
一方、株式累積投資(るいとう)に準じた手数料体系だった場合にも、売買や年間事務手数料(3,240円)が発生します。
ETFの商品性自体は悪くないのですが、それ以外の部分でちょっと手数料稼ぎをしてやろうという雰囲気が見える気がしますね。
再投資は投資信託のほうが効率的
ETFは必ず運用期末に分配金を出すため、運用を通じて受け取った分配金はそのまま生活費にするか、再びつみたてNISAで再投資するかを選びます。
その際、つみたてNISAで再投資を行うと、当然年間40万円の枠は、再投資した分配金の分だけ消費されます。
このあたりは投資信託も同じなのですが、そもそもつみたてNISA対応の投資信託は分配金を出さずに、ファンド内で運用収益の再投資を行っています。
そのため、ファンドが得た収益を、個人投資家の非課税枠を使わずに再投資しているため、理想的には投資信託のほうが有利なんです。
金融庁が買ってほしいのは投資信託
金融庁の姿勢を見てると、個人投資家に買ってほしいのはETFではなく、投資信託ですよね。
たとえば、金融庁が個人投資家との交流を行う「つみップ(つみたてNISA Meetup)」では、投資信託を購入して資産形成を進める話に終始しています。
このことからも、わざわざつみたてNISAでETFを買う必要はないよね、って感じに思いますね。
分配金を貰う運用がしたいなら、一般NISAを使えば良いわけですし。
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まとめ
- つみたてNISAではETFを購入できる。ETFは信託報酬が低く、分配金が出るなど、ノーロードのインデックスファンドとは少し異なる特徴を持つ
- つみたてNISAでETFを購入するためには大和証券に口座開設を。SBI証券や楽天証券等の他のネット証券は取り扱い無し(今後も取り扱うかは怪しい)
- 正直なところ、わざわざETFでつみたてNISAを利用するメリットが無い。ので、制度としては可能だが、利用を検討する必要は無い
そういうものもありますよ、ってことで。
個人的にはSBI証券あたりでキャンペーン等も利用しながら、普通に投資信託を買っておけば良いと思いますが、いかがでしょうか。