「つみたてNISAはネット証券で始めよう」
たぶん、あなたがご覧になった多くのサイトは、みんなこんなことを書いていたはずです(まあ、うちも書いてる笑)
とはいえ、「SBI証券?そんな証券会社しらないよ」とか「スマホで取引とか怖いじゃん?」とか、ネット証券で取引しない方も多々いらっしゃいます。
そこで改めて考えてみたい、銀行でつみたてNISAを始めるメリットとデメリット。
主要銀行のつみたてNISA対応商品の取扱状況や注意点なども含めて、合わせて紹介していきます!
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銀行でつみたてNISAを始めるメリット
身近の金融機関でできる安心感
「つみたてNISAはネット証券で!」と筆者が連呼したところで、身近の金融機関で取引できる安心感にはかなわないはず。
幸いなことに(?)、つみたてNISAはネット証券のような証券会社以外にも、ゆうちょ銀行、メガバンクや多くの地方銀行でサービスを提供しています。
あなたの身近の銀行の名前、1つ思い出してみてください。
きっとそこでもつみたてNISAを始められますから。
聞いたことの無い証券会社の資料を取り寄せるよりも、地元の銀行から資料を取り寄せるほうが、心理的ハードルは低いと思います。
購入できる投資信託は金融庁の認定商品
そもそも、なぜ銀行で投資信託を買ってはいけないか、と言えば、
- まともな投資信託を売っておらず、手数料稼ぎ目的の商品ばかり並んでいる
- 銀行窓口の行員も素人であることが多く、まともな相談は期待できない
など、個人投資家の投資環境として悪い状態が続いていたからです。
投資信託の販売については、顧客と金融機関との間に大きな情報量の差がある以上、顧客の利益にそぐわない営業が行われうる、これが金融庁の基本認識です。なかでも特に問題視されるのが、手数料や系列関係にとらわれた営業姿勢です。
出典:投資信託の販売が単なる手数料稼ぎに堕さないために | 機関投資家・資産運用業界向け資産運用総合情報サイト【fromHC】
しかし、つみたてNISAを使って購入できる投資信託には厳しい条件が付いており、銀行が手数料稼ぎを目的とする商品のあっせんはできません。
長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託(中略)
○例えば公募株式投資信託の場合、以下の要件をすべて満たすもの
- 販売手数料はゼロ(ノーロード)
- 信託報酬は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定
- 顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること
- 信託契約期間が無期限または20年以上であること
- 分配頻度が毎月でないこと
- ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと
そのため、銀行でつみたてNISAを始めたとしても、酷く劣悪な商品を掴む心配は(ほとんど)不要です。
「ほとんど」とつけた点は、後で補足します。
銀行でつみたてNISAを始めるデメリット
つみたてNISAをきっかけに、商品勧誘を受けるかも
では、「ほとんど」の補足。
特に地方銀行で多い話ですが、つみたてNISAの資料は銀行窓口でしか貰えないことが多々あります。
そもそも投資信託を購入する層が高齢者に限られていたり、インターネットサービスの普及の遅れなどの理由から、ネット申し込みができないのです。
そうすると、窓口に話を聞きに行った際に「つみたてNISAと一緒にどうですか」と不要な話を持ちかけられる可能性もあるのです。
加えて、つみたてNISA利用者は内部的にデータベース化されているでしょうから、やはり「他に投資信託など買いませんか」という話を持ちかけられる可能性も考えられます。
どうしても、望まぬ営業を受ける可能性がある点は覚悟してください、ということで。
商品の品揃えが良いとは限らない
取扱商品は少ないことが多い
例えば、みずほ銀行のつみたてNISAでは、
- たわらノーロード 日経225
- 野村つみたて外国株投信
- たわらノーロード バランス(堅実型)/(標準型)/(積極型)
の5種類しか選択できません。
同じ系列であるアセットマネジメントOneのたわらノーロードシリーズを全部扱えばいいのに・・・とツッコミ入れたくなります。
少ない商品数では、資産配分(アセットアロケーション)を考えるにも限界がありますので、「書籍を参考に本格的な運用を」といった取り組みはできません。
せっかく意気揚々と本を買ってきたのに、取り扱い商品リストを見たら、「あれ、この商品(資産クラス)売ってないじゃん」みたいな。
つみたてNISAに向けて新設された、純資産の少ない投資信託は早期償還リスクあり
上述のみずほ銀行の例を挙げると、
- 野村つみたて外国株投信
- たわらノーロード バランス(堅実型)/(標準型)/(積極型)
の4種類は、つみたてNISAに向けて設定された投資信託です。
このうち、野村つみたて外国株投信は「Fund of the year 2017」でも4位に選ばれた人気商品ですが、たわらノーロード バランス(堅実型)/(標準型)/(積極型)の3種類は、まだ資金の集まりが悪く、純資産も少ないです。
特にたわらノーロード バランス(堅実型)の純資産は、2018年4月25日時点で、まだ3,000万円ほどしかなく、ちょっとお金持ってる個人投資家のほうが運用資産が多いかも・・・といった状態です。
このような商品は、将来「思ったよりお金が集まらないので、早期に償還することにしました」と運用を取りやめる可能性があります。
特に銀行で売っている投資信託には、このような純資産の少ないものが混じっていますので、積み立てる際には注意が必要です。
筆者個人としては、つみたてNISA開始の1年~数年前から運用されている、数億円以上の純資産を持つ投資信託を選ぶようにオススメしたいです。
ポイントがつかないのでちょっとだけ損
SBI証券や楽天証券なら、つみたてNISAで積み立てた投資信託の残高に応じてポイントが付与されます。
銀行にこのようなポイント制度が無い場合は、SBI証券や楽天証券に比べてちょっとだけ損する、ということですね。
5万円や10万円といった積立残高では差異はでませんが、長い目で見ればSBI証券や楽天証券のほうがお得になります。
ポイントを貯めれば、現金化したり(SBIポイント)、ショッピングサイトで使えたり(楽天スーパーポイント)と、結構役立ちますよ!
銀行と証券会社。つみたてNISAにオススメなのは
個人的には「ネット証券」優位
個人的には、
- 銀行 < 総合証券(野村證券や大和証券など) < ネット証券(SBI証券や楽天証券)
と、ネット証券が最適だと感じます。
筆者個人の主観
- 銀行:従来の手数料稼ぎにウェイトを置いており、つみたてNISAはあまり前面に出さないところが多い
- 総合証券:つみたてNISAもあるが、大口で取引する顧客を見ている感じ
- ネット証券:主に少額投資を行う現役世代の取り込みに積極的で、つみたてNISAの展開にも意欲的
某所で「つみたてNISAを始めると、20年間顧客を捕まえられるのだから、銀行もやればいいのに」という発言を聞きましたが、結構後ろ向きな銀行も多いですよね。
銀行のつみたてNISAに対する意気込みをチェックするポイント
- 銀行窓口や支店内で、つみたてNISAのパンフレッドは目立つところに置いてありますか?
- 取引のある銀行のウェブサイトにつみたてNISAの文言や、関連ページへのリンクはありますか?
- つみたてNISAのキャンペーンはやっていますか?
このあたりをチェックすれば、銀行がつみたてNISAをどう捉えているか、がわかります。
あなたが親身になって話を聞いて欲しいならば、この3点は確認すると良いと思います。
おまけ:主要な銀行のつみたてNISA取扱商品
店頭窓口をもつ、主要な銀行のつみたてNISA取扱商品を紹介します。
イオン銀行などの、いわゆるネットバンクは含めません。
みずほ銀行
- たわらノーロード 日経225
- 野村つみたて外国株投信
- たわらノーロード バランス(堅実型)/(標準型)/(積極型)
こちらは上述の通り。
たわらノーロードシリーズをフルラインナップすればよかったのに、と思います(2回目)。
三菱UFJ銀行
- つみたて日本株式(日経平均)
- つみたて日本株式(TOPIX)
- iFree JPX日経400インデックス
- つみたて先進国株式
- つみたて新興国株式
- iFree S&P500インデックス
- つみたて8資産均等バランス
- つみたて4資産均等バランス
- 野村6資産均等バランス
- ひふみプラス
- 年金積立Jグロース
- フィデリティ・欧州株・ファンド
三菱UFJと言えば、eMAXIS slimシリーズが有名なインデックスファンドシリーズですが、1本もラインナップされていません。
「つみたてxx」はつみたてNISAのために新設されたファンドであり、全体的にまだ純資産の少ない商品が多めです。
三井住友銀行
- 三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド
- 三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド
- ブラックロック・つみたて・グローバルバランスファンド
取り扱いファンドは3種類です。
DCつみたてNISA~の2つは運用実績も長く、純資産も多めですが、ブラックロックのバランスファンドはまだこれから、です。
りそな銀行
- つみたてバランスファンド
- Smart-i 先進国株式インデックス
- Smart-i 新興国株式インデックス
- Smart-i 日経225株式インデックス
取り扱いファンドは4種類で、いずれもつみたてNISAのために設定されたファンドばかりです。
なぜか、この4ファンドは店頭購入に限られています。
ゆうちょ銀行
- つみたて日本株式(TOPIX)
- つみたて先進国株式
- つみたて新興国株式
- JP4資産均等バランス
- 野村6資産均等バランス
- つみたて8資産均等バランス
- セゾン資産形成の達人ファンド
- セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
取り扱いファンドは8種類で、「セゾンxx」はインターネット専用の取り扱いです。
つみたてNISAにオススメの銀行はどこか
ゆうちょ銀行を挙げておきます。
- 日本全国どこにでもあるので、誰でも利用しやすい
- 「つみたてんとう」シリーズが一通り揃っており、1本だけでも組み合わせてもアセットアロケーションを組める
よくある質問
銀行でつみたてNISAを始める際に手数料はかかりますか?
いいえ、かからないです。
金融庁の引用例が示すように、つみたてNISA対象の投資信託は、銀行で購入しても販売手数料はゼロ(ノーロード)です。
積み立て代金は毎月店頭で払うのですか?
詳しくは銀行に聞いて欲しいですが、普通は指定した銀行口座からの引き落としになります。
引き落とし日は決まっていることも多いので、給与口座などから引き落とすと残高不足を回避できます。
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まとめ
- 銀行でつみたてNISAを始めるメリットは身近の金融機関であること。商品は金融庁が選定しているため、酷い商品を掴まされる可能性は低いこと
- 逆にデメリットは不必要な営業行為に繋がる可能性。また、つみたてNISAに合わせて新設された商品の販売が多いため、お金の集まりが悪いと早期償還リスクが生じる
- 銀行でつみたてNISAを始める場合には、どの程度つみたてNISAをアピールしているかチェックしよう。「やってるのかやってないのかすらわからない」銀行も結構多い
ちなみにうちの近所の銀行はいずれも、つみたてNISAの取り扱い状況が表に見えない状況です。
あんまり売る気ないんでしょうね。