投資信託の商品選びは多くの人にとってかなり難しい事柄です。よく「おすすめは?」って聞かれるんです。
そこで、この記事では書籍「3000円投資生活」にて紹介されていた投資信託を中心に解説しつつ、後半のほうでは書籍には書かれていないが、個人的には良いと考えている商品も紹介していきます。
なお、世の中にはここに挙げた投資信託以外にも様々な商品があります。アセットアロケーション(資産配分)という考え方を学ぶと、自由自在に投資信託を選べるようになりますので、
基本的には書籍「3000円投資生活」を読んでる前提で話を進めていきます。
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全世界株式よりバランスファンドを推奨
書籍「3000円投資生活」および「3000円投資生活デラックス」では以下の3つの投資信託が紹介されていました。
投資先 | 信託報酬 (%) |
純資産 (百万円) |
|
---|---|---|---|
世界経済インデックスファンド | バランス | 0.55 | 61240 |
eMAXIS バランス(8資産均等型) | バランス | 0.55 | 27068 |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド | 全世界株式 | 0.212 | 32876 |
※バランス:書籍で「バランス型投資信託」と紹介された商品で、株式や債券などに分散投資を行うものです。
さっさと結論を述べると、個人的には楽天・全世界株式インデックス・ファンドよりも他の2つのバランスファンドのほうをオススメします。以下の記事でも触れたように、楽天・全世界株式インデックス・ファンドは書籍で紹介された他のバランスファンドよりも値動きの大きい商品です(大きく儲かる可能性もあるが、大きく損もする可能性がある)。
以下の図は3つの商品の下落率だけを取り出したもので、楽天・全世界株式インデックス・ファンドは他の2商品に比べて大きな下落をしやすいのがわかると思います(特にグラフの一番右側の下落)。
出典:筆者作成
加えて、楽天・全世界株式インデックス・ファンドは、「ベンチマークから乖離しやすい」というインデックスファンドとしてはあまりよくない性質を持っています。そのため、2020年現在で、この商品を選ぶよりかはeMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)という別の商品のほうが良いのです。
この手の積立投資は、将来の利益の大きさよりも、いかに「あなた自身が積み立てを継続しやすいか」に基づいて選んだほうが良いです。一般に、値動きの大きい商品は、大きく損をしたときに「投資をやめたくなる」理由になるため、ここではバランスファンドをオススメしたいと思っています。
もちろん、投資額の半分を失っても積み立てを継続できる自身があるなら、楽天・全世界株式インデックス・ファンドを選んでも問題ありません。
世界経済インデックスファンドかeMAXIS バランス(8資産均等型)か?
正直、この選択は一長一短です。
以下は世界経済インデックスファンドとeMAXIS バランス(8資産均等型)に2016年1月1日から毎月3,000円ずつ積み立てた時の損益の推移です。
出典:筆者作成
このグラフが示すように、ある時期は世界経済インデックスファンドのほうが運用成績がよく、またある時期はeMAXIS バランス(8資産均等型)のほうが運用成績が良くなっています。この違いは2つの商品の投資先の違いに起因しています。
★2つのバランスファンドの違い
- 世界経済インデックスファンドは伝統的な金融資産(株式と債券)で運用する
- eMAXIS バランス(8資産均等型)は伝統的な金融資産に加えて「不動産」も利用する
ただ、この話は後述する理由から、「どちらも選ばない」のが正解かもしれません。
ちなみに今一番人気のあるバランス型投資信託は?
実は今いちばん人気のあるバランスファンドは、eMAXIS バランス(8資産均等型)の上位版にあたるeMAXIS slim バランス(8資産均等型)です。この商品の話は「3000円投資生活デラックス」の記事でもちょっと紹介していますね。
投資先 | 信託報酬 (%) |
純資産 (百万円) |
|
---|---|---|---|
世界経済インデックスファンド | バランス | 0.55 | 61240 |
eMAXIS バランス(8資産均等型) | バランス | 0.55 | 27068 |
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | バランス | 0.154 | 45084 |
eMAXIS slim バランス(8資産均等型)は「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the year 2019」でも5位に選ばれるなど、人気は継続しています。
一方、世界経済インデックスファンドやeMAXIS バランス(8資産均等型)は信託報酬の高さなどもあって、かつての勢いは失われました。もちろん、悪い商品ではありませんが、今後ネットで名前を聞く機会は減ってくるかもしれませんね。
個人的切り札
個人的切り札として、以下の2つのバランスファンドも挙げておきます。これらは書籍には書いてない商品で、特に世界経済インデックスファンドやeMAXIS バランス(8資産均等型)と同等の成績ながら、価格の振れ幅を抑えられている(資産の価値が上下に変動しにくい)点で個人的に評価しています。
★個人的おすすめ
- 野村インデックスファンド・内外7資産バランス・為替ヘッジ型
- たわらノーロード バランス(標準型)
以下は2017年を基準にした4つのバランスファンドの運用成績で、100を上回ると利益、100を下回ると損失が出ている状態です。
出典:筆者作成
2020年3月の株価下落はどのバランスファンドも大きく値を下げましたが、その中でも損失を比較的抑えたのはたわらノーロード バランス(標準型)でした。
出典:筆者作成
結局のところ、投資信託は「一方を取ると、一方を捨てる世界」なので、だれが見ても完全に良い商品ってもはありません。しかし、全くゼロから商品を選ぶのも難しいので、迷ったらこの記事で挙げた商品を軸に選んでみてもよいと思います。
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まとめ
- 書籍「3000円投資生活」を読んで投資信託を選ぶなら、2016年の書籍で書かれていたバランスファンドをベースに選んだほうが良い。2019年の書籍で紹介された「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」はハイリスクハイリターン
- 2020年現在で投資家に人気があるバランスファンドは、eMAXIS バランス(8資産均等型)の後継商品である「eMAXIS slim バランス(8資産均等型)」
- 実際には書籍に書かれていない商品でもよいものがあるので、自由に選べるなら、それらを選んでもよい
余談:自分自身で投資信託を選ぶ際に留意するポイント
その商品に投資した時に、「いくら損失を抱える可能性があるのか」は調べたほうが良いです。それを知る方法は「アセットアロケーション(資産配分)」の考え方を学ぶと何となくわかってきます。
書籍「3000円投資生活」の運用の考え方は「かなり適当に考えている部分がある」ので、注意したほうが良いと思います。