「日本は人口が減少するので将来性がない。投資すべきでない」との言説を聞くことがあります。この懸念が事実になるか、ならないかは将来になってみなければわかりませんが、現在人口が減少しつつある国の株価の動向を見ることで何か参考になるかもしれません。
そこで、この記事は世界有数の人口減少国である「ブルガリア」の株価指数について調べてみたというお話です。
最近、世界人口は2050年頃にピークを迎えるとの説も提唱されています。私たちが老年期になる頃は、日本だけでなく世界全体が縮小し続ける中かもしれませんね。
2050年世界人口大減少 | Amazonというわけで、人が減っていく世界でのインデックス投資について見てみましょう。
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株価の前に。人口減少国「ブルガリア」
今回は「ブルガリア」の株式市場に注目します。ブルガリアは1980年代には約900万人だった人口が、2019年現在で700万人まで減ってしまいました。過去30年、人口が減り続ける国なんです。
人口が減った原因には少子高齢化と、海外への移民が主だった理由だそうです。現在も出生率が下がっているほか、移民排斥も強く、日本と似た状況にあるかと思います。
現在のブルガリア連立政権には民族主義の政党連合「統一愛国者」が入り、移民排斥の圧力が強い。このため外国人労働者の活用も進まない。高齢者の貧困率が高いことも問題だという。日本とは経済規模が全く異なるけれど、人口減少は何をもたらすのか。ブルガリアの今後に学ぶことは多いと思う。
ちなみに、ブルガリアは1991年まで旧ソ連の支配下にあり、その後共和制に移行し、資本主義を導入しました。そのため、先進国に比べると、株式市場の歴史はまだまだ短いものです。
ブルガリアの株式市場
というわけで、株式市場のお話。
ブルガリアには、ブルガリア証券取引所(BSE-Sofia)があります。市場のパフォーマンスを示す指数はSOFIX(ソフィアBSE指数)と呼ばれ、15の銘柄から構成されています。
このSOFIXの株価推移が以下です。
出典:https://tradingeconomics.com/bulgaria/stock-market
SOFIXは2000年10月20日を基準(= 100)として算出が始まりました。2020年7月15日現在の指数は442.17ポイントで、だいたい20年で4倍になっています(名目利回り約7%)。
2008年以前の相場は新興国バブルの影響もあると思います。
ブルガリアは1990年代にハイパーインフレを経験しているものの、それ以後は穏やかなインフレが続いています。少なくとも2010年以降は-2~6%程度のインフレ率でしたので、株式の実質の利回りは2~3%ぐらいにはなると思います。
出典:https://jp.tradingeconomics.com/bulgaria/inflation-cpi
つまり、ブルガリアは「人口が減少しつつも、株価は上がってきた国」です。
なお、適当にSOFIXの上位構成銘柄を見てみると、養鶏業や銀行、貿易会社、REITなどが含まれています。必ずしも外貨を稼いでるとは限らないようです。
人口が減っても減ったなりになんとかなりそう
たった一つの事例ですべてを言い切ることはできませんが、筆者は人口が減っても減ったなりになんとかなりそうと感じます。低成長なら低成長なりに、株価は上がると思うのです。
高成長企業であっても、低成長企業であっても、その成長率の予想が正しい限り、株価の上昇率(正確にはリスク調整後リターン)は同じになります。
参考までに、ブルガリアのGDPは、人口が減り続ける中でも少しずつ増えています。GDPは必ずしも株価を決める要因にはなりませんが、将来の日本も似たような感じになるのでは?と希望的観測でw
将来の日本は、きっと現在のブルガリアよりも圧倒的に高齢者比率が高いはずです。移民を受け入れない以上は自動化・効率化をどれだけ進められるかで変わってくるように感じます。
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まとめ
- ブルガリアは世界有数の人口減少国。過去30年で人口は約20%減った
- 人口が減少する中でも株価は20年で4倍ほどに。インフレ率を考慮しても、おそらくプラスリターンに
- 人口が減少しても減少したなりに株価は成長するのでは
この記事は、2050年に世界の人口がピークを迎えるとの説を提唱する「2050年 世界人口大減少(Empty Planet)」を読んで、仮に、インデックスファンドを運用しながら老年期を迎えた時に、世界が縮小していくならばどうなるのか、を調べてみようと思ったのがきっかけです。
2050年世界人口大減少 | Amazon実際にどうなるかはわかりませんが、人口減少は不安要素の1つにはなりますね。老年期に至る前に資産形成は完了させておきたいものです。