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感想:配当成長株投資のすすめ 金融危機後の負の複利を避ける方法

4. 始めた後の応用知識




「配当成長株投資のすすめ」は「配当成長株(企業に成長力があり、配当を増大化させてくれる企業のこと)」を選ぶメリット等を解説する書籍です。2000年代の米国株市場の低迷を意識しており、どんな状況下でも如何にキャッシュフローを維持するかを思想に書かれています。

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この手の本はどうしても米国偏重になりやすい中で、本書は日本株や新興国株のことも少しだけ触れている点がちょっとした魅力です。

Twitterのインデックス界隈~米国株界隈では、配当株の投資についてよく賛否両論の議論が沸き起こります。よくある話が「高配当株の是非」と「配当課税の問題」ですよね。というのを見ていた時に、「そういえば、配当株のことをよく知らないな」と思って買った書籍が「配当成長株投資のすすめ」でした。

以下、「配当成長株投資のすすめ」の概要と感想を紹介しましょう。

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「配当成長株投資のすすめ」の概要

米国株をテーマに、持続可能な配当株を選ぶ意義を解説

本書は「配当成長株」を買うことが、投資家にとって賢明な手法であると説く書籍です。

著者は投資アドバイザーとして活動しており、顧客にキャッシュフローを考慮したポートフォリオを提供するとの観点から、その中核に配当成長株を選ぶことを提案しています。

ちなみに具体的な銘柄の話は出ません。

インデックスファンドの話も出てきますが、インデックスへの投資がキャッシュフローを生まないことや、しばしば無配のハイテク株がバブルをおこすことを危惧しています。

実際のところ、90年代までは「バリュー株の配当再投資戦略(シーゲル教授の書籍にあるようなやりかた)」が再投資後のトータルリターンでグロース株を上回っていました。著者はそういった戦略を支持しているようです。

ところで「配当成長株 = 高配当株」ではありません

書籍中で著者は以下のように述べており、単なる高配当な株式を購入することを戒めています。

利回りが高い理由、つまりインカムが増大したのか、株価が下落したのかに関係なく、また配当の持続可能性や配当が増大する見通しに関係なく、ただ直接利回りの高い株式を取得することを私は支持しない

出典:配当成長株投資のすすめ 金融危機後の負の複利を避ける方法(第10章)

配当成長株とは、「魅力的で持続可能性がある企業の株式のこと」であり、そういった企業を選択することが株価下落時の下落・減配リスクに備えられるというのです。

残念な点して、少々フォーカスのずれた話題も含まれていて、話の脱線が多い点が気になります。

というのも著者のアドバイザーとして活動の観点から書籍を執筆しているからです。著者に関心を持つ人にとっては役立つ情報でしょうが、遠く離れた私たちが読むコンテンツとしては、そういった情報は不要だったと思います。

まあ、そこはしかたないですね。

ちなみに「負の複利」とは、市場の弱い時期に株式を取り崩すことで、金融資産が大きく減ってしまうことを述べています。

本書を貫くサブテーマは、2000年代の米国株の2度の下落から、どのようにキャッシュフローを実現するかで、「魅力的な企業ならば、どんなに市場が苦しい時でも変わらずに配当を維持できるはずだ」との考えがあります。

やはり、シーゲル教授の「配当は下落相場のプロテクター」に近いものを感じますね。

日本株の話題も

ところで、「配当成長株投資のすすめ」では日本株の話題もちょっとだけ出てきます(5ページぐらいだけ笑)。著者は「配当成長株投資」が米国を含む様々な国際市場で実現可能だと述べ、その一例に日本株を挙げているのです。

2017~2018年頃の情報ですが、日本株は他の市場に比べて配当性向が低く、配当の支払い余力があることを述べています。ただ、市場の問題(労働力不足や高齢化問題)についても認識しており、「状況が改善すれば」と付け加えています。

感想

「配当成長株投資のすすめ」は配当株の理解のために購入しました。ちょうどTwitterの話題が「SPYDよりもVIG(バンガード・米国増配株式ETF)が良い」って話に変わった頃ですね。

全体的に配当成長株の概念やメリット等は多いものの、具体的な銘柄選定術などはあまり書かれていないので、これを読んで適切な配当成長株を選べるようになるまでには、試行錯誤が必要だと思います。

加えて、日本の税制を考慮すると、多くはインデックスファンドの積み立てを選ぶはずなので、あくまでサテライト的に運用する感じになりそうですね。

どちらかと言えば、増配を根拠にしたETFを選んだほうが早いと思います。配当加重やクオリティをファクターにするスマートベータETFなら、比較的近い運用をできる気はします。

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まとめ

  • 「配当成長株投資のすすめ」は配当成長株(高配当株ではない)をポートフォリオに組み入れるメリットを解説
  • 書籍の背景にある考えは、「魅力的な配当株は下落相場にも強く、常に配当という一定のリターンを生みだしてくれるはずだ」というもの
  • 具体的な選定術の話題は多くない。ただし、日本株など他市場の話題は(めっちゃ少ないけど)嬉しい

インデックスファンドの積み立ての相棒として配当成長株投資も加えたら、まさにシーゲル流のスタイルになりますね。「配当には税金が」という批判がありますが、キャッシュフローを重視する方には良いと思います。

でも、個人的にはあまりわくわくしない本だったなぁ。。wちょっとお値段が高いんですよね。。

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