感想:ファクター投資入門

5. 始めた後の応用知識




ファクター投資入門」は市場インデックスを上回る可能性のある、いくつかの「ファクター」を解説する書籍です。いわゆる「スマートベータ」のメリットや実用性を説いています。

ファクター投資入門 | Amazon

最初に重要な点を述べると、本書で「ファクター」のことを学んでも、ネット証券で購入できる「ファクターETF」は限られています(ほぼサイズのみです)。そのため、どちらかといえば「ファクターの考え方をアレンジして投資に生かす」といった活用が基本になると思います。

「ファクター投資入門」の主題ではありませんが、配当の話題も少しだけ紹介されています。高配当ETFや増配系のETFなどに関心を持つ方は、本屋でその分だけ立ち読みしてもよいかもしれませんね。

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「ファクター投資入門」の概要

「ファクター投資入門」は、市場インデックスを上回る可能性のあるいくつかの「ファクター」を解説する書籍で、様々な論文などに基づいてまとめられています。

紹介されている主なファクターを抜粋すると以下の通り。

★主なファクター(抜粋)

  • サイズファクター:時価総額の小さな企業ほど高いリターンを期待できる(いわゆる小型株効果)
  • バリューファクター:割安な銘柄は割高な銘柄より高いリターンを期待できる
  • モメンタムファクター:直近でパフォーマンスの良い銘柄は今後もよいパフォーマンスを期待できる
  • クオリティファクター:財務など、クオリティの良い銘柄はパフォーマンスが良くなりやすい(ファンダメンタルインデックスに近い)

書籍のコンセプトは市場インデックスを上回ることで、スマートベータの優位性や実用性を解説するものです(ただし、書籍中ではあくまで「ファクター」として紹介されます)。

単純に過去のデータを都合よく組み合わせているのではなく、「なぜそのファクターが有効なのか」「米国以外の市場でも有効なのか」と幅広い観点で書かれているのが魅力です。

余談ですが、小難しい投資本にありがちな数式の乱打がなく、すべて文章で書かれているので、算数が苦手な人でも読めるのが素敵です。

ほかにも「配当はファクターになりえるか」といったよくある疑問も紹介されています。ざっくりネタバレすると「配当」はファクターになりえないのですが、高配当戦略がどういった特徴を持つかなども紹介されているので、その部分だけ(笑)関心を持つ方も多いかと思います(ただ、それは本題ではないけど)。

感想など

最初に残念な点を挙げると、様々なファクターがあれど、日本では利用し難いことです。これは「ファクター投資入門」に関する感想というよりも現在の取引環境全般へのがっかり感ですね。

書籍の付録には各ファクターを採用した海外ETFのリストが紹介されています。その中には、「バンガード・スモールキャップETF(VB)」のように、日本のネット証券で扱っているETFもあるものの、全体的に少数です。マルチファクターのETFなんかはたぶん1つも売ってないと思います。

日本から買える海外ETFで最も利用しやすいファクターは「サイズ」だと思います。

また、日本の国内ETFにおいてもいくつかスマートベータETFがあるものの、せいぜい低ボラティリティと高配当ぐらいですよね。

しかもあまり売れてないというw

という意味で、サクソバンク証券やIB証券なんかに口座を開く猛者でもない限り、書籍中で紹介されたファクターをそのまま運用に役立てるのは難しいです。

ただ、例えば「割安な銘柄は割高な銘柄より高いリターンを期待できる」といった知見や、「配当はファクターにならない」というポイントは、普段の運用に役立てることもできます。つまり、多くの人にとって「ファクター投資入門」はファクターETFを選ぶための解説書というよりも、現在選択できる各種商品や銘柄選定の際の基本的なノウハウとして活用したほうが実用的です。

余談ですが、この本は2019年頃には買っていたものの、最近になってようやく読みました。買った時点の知識では理解できず、放置してしまったようですw

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まとめ

  • 「ファクター投資入門」は市場インデックスを上回る可能性のある「ファクター」を体系的に解説する書籍
  • 残念ながら、日本で利用できるファクターETFは限られているため、書籍で紹介されたETFをそのまま買って運用することは(ほぼ)できない
  • 配当はファクターになりえない理由やその問題点なども補足的に紹介されている

個人的にはクオリティファクターなんかは割と好意的で、それがウィズダムツリーのETFに目を向けたくなる要因にもなっています。

商品の普及状況等の理由から、資産全体をスマートベータで運用することはできないものの、時価総額インデックスへのアンチテーゼ的に保有することで、運用モデルに対する分散効果はあるんじゃないかと思っています。

内容の割に、お値段はお手頃なので、長期投資の実力を上げたい方はご覧になってみてくださいな。

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