最近購入した書籍「ファンダメンタル・インデックス」について、概要と感想などを紹介します。
本書は企業の業績などに注目して組成したインデックスファンドが、従来の時価総額加重平均のインデックスファンドに対して優位性を持つことを説く書籍です。もちろん、紙面上では優位であっても、実際のファンドが優位な成績を出せるとは限りませんが。
個人的には高配当株ETFの理解のために「ファンダメンタル・インデックス」を買ってみました。そう、あの商品やあの商品の理解のためです。
2009年発行と古い書籍ではあるものの、簡単に紹介してみます。
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ファンダメンタルインデックスの概要
「ファンダメンタルインデックス」は「スマートベータ」の1つです。銘柄のファンダメンタルズ(財務や売上高、利益など)に注目して、「割安である」「将来性がある」と期待されれる銘柄を選定します。
一般的なインデックスファンドは「時価総額加重平均」でポートフォリオを組みます。この方法は時価総額が大きければ、たとえ割高な銘柄であってもたくさん買ってしまうというデメリットがあります。
効率的市場仮説下では割高も割安もありません。つまり、「ファンダメンタルインデックス」は市場が非効率であるとのポジションを取ります。
そのデメリットを避けるため、ファンド運営者が銘柄の判断を行って、組み入れ比率を補正するのが「ファンダメンタルインデックス」です。つまり、ファンダメンタルズで加重したポートフォリオを作ることで、時価総額加重平均のポートフォリオを上回る成績を出せるだろうと著者らは考えています。
書籍中では「ファンダメンタルインデックスこそが信頼に値する方法」と述べられるほどですね。
他のお高い投資本と同じように、書籍中ではこの手法がいかに有効な物かをバックテストで様々紹介しています。そのあたりをかいつまんで紹介するのは難しいので、省きましょうw
ちなみに「ファンダメンタルインデックス」を執筆したロバート・D・アーノット氏はスマートベータの先駆者として知られています。
感想
本書は、高配当株ETFなどを理解するために購入しました。一般に高配当株ETFは配当金額や増配率など、時価総額加重平均とは異なる方法でポートフォリオを作る商品が多いですよね。
ただ、敢えて述べておくと、本書において配当加重の考え方は「市場インデックスとしては不適格」と述べられており、配当だけでなく他の指標と合わせた合成指標を活用すべきと述べられています。
本書は高配当ETFの魅力を解説する本ではない点に留意。
さて、スマートベータが本当に有効かは結構賛否両論あります。一説には紙面上では有効なものの、現実にリリースされた後のパフォーマンスは悪いといった話もあるようです。様々な権威が必死になって考えた手法が、古くから使われる時価総額加重平均に勝てないのはちょっと面白いですw
それでも個人的にはスマートベータの考え方が好きです。
★スマートベータが好きな理由
- 基本的に新しいものが好き(笑)
- 時価総額加重平均には問題もあると思ってる(筆者は効率的市場仮説を否定する派)
天邪鬼なんでしょうねw
最終的にパフォーマンスが劣化したとしても、運用モデルの分散はリスクの分散になりえると思っています。個人的に高配当ETFやウィズダムツリー社のETFに好意的なのはそのためです。
ただ、つみたてNISAやiDeCoで選択できる商品は時価総額加重平均のものばかりですから、ファンダメンタルインデックスのような商品はあくまでおまけ的に保有する感じで考えています。
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まとめ
- ファンダメンタルインデックスとは、企業の財務や配当、売り上げなどの「ファンダメンタル」に注目してポートフォリオを作ったインデックスファンド。スマートベータの一種
- 時価総額加重平均は割高な銘柄を多く、割安な銘柄を少なく組み入れている可能性がある。ファンダメンタルインデックスはその矛盾の解消を目指す
- 個人的には高配当ETFを理解するために書籍を購入。ただ、配当だけに注目した加重は不安定なパフォーマンスになりやすいとの指摘
海外ETFとか買いたい方は読んでおくと役に立つ・・・かもしれません。でも、最近はファクターで語るほうが多いような気がします。
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