最近の米国株のパフォーマンスから見る景気サイクルの「位置」

3. 商品選択と組み合わせ




長期投資にはあまり関係ないんですけど、最近は「今が景気サイクルのどの位置にあるか」を気にするようにしています。その相場を得意とする銘柄やファクター・不得意とする銘柄やファクターがあり、「うまく使い分けることができるんじゃないか」というアクティブ思考のダメ(笑)な発想に基づいています。

それはともかく、例えば景気状況に応じて高配当株ETFのパフォーマンスも違ったりします。セクターETFやテーマETFを買うなどして「投資を楽しむ」なら、景気循環と相場の関係を知っておくときっと役立ちます

以下、詳しく紹介しますね。

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景気回復のピークは過ぎたのでは?

大型株と小型株の成績差

景気位置を判断する上で、参考になるデータの1つが大型株と小型株のパフォーマンスの差です。以下の図が示すように、景気の底~前半は小型株が相対的に強くなりやすく(斜面が右肩上がり)、景気のピーク~後半は大型株が相対的に強くなりやすい(斜面が右肩下がり)ように見えます。

赤いエリアが「リセッション(景気後退)」と認定された時期です。

S&P500とRussell2000のパフォーマンスの比較

出典:https://doubleline.com/

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そこで、2020年以降の大型株(VOO)と小型株(IWM)の成績差を取ったグラフが以下のものです。青い線が成績差(下側に向かうほどIWMが強い)で、赤い線は米10年債金利です。

VOOとIWMの成績差

IWM(小型株)は2020年9月から2021年4月にかけて高いパフォーマンスを出しました。4月以降は再びVOOが強い状況が続いています。なお、2021年4月はちょうど金利の上昇が止まった時期でもありますね。

もし、今後も小型株と大型株のパフォーマンス差が景気と連動するなら、4月以前とそれ以降では少し状況が違うと解釈できます。

ISM製造業景況感指数も見てみると

もう1つ参考にできるのが、「ISM製造業購買担当者景気指数」です。

主要指標の中で最も早い第1営業日に発表されることから、景気の先行指標として注目される。指数は新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫の5つの項目の総合指数となっている。 指数が、50を下回ると景気後退、50を上回ると景気拡大を示す。

出典:米国 ISM製造業購買担当者景気指数 | Investing

現在の指数を見ると、60台を超えて高い状況ではあるものの、5月以降は高止まりするようにも見えます(65近くまで突出しているのが4月です)。

米国 ISM製造業購買担当者景気指数(2021年7月まで)

出典:米国 ISM製造業購買担当者景気指数 | Investing

この時期はちょうど、上述の小型株と大型株のパフォーマンスが変わった時期と同じです。

以上のデータから、「景気の底~急激な回復」は4月頃までで終わっていて、ここから先は緩やかな景気拡大と、次の景気の谷に備える時期に来ているのかなぁと個人的に考える材料です。

景気サイクルと「ファクター(スマートベータ)」の関係

冒頭でも述べたように、アクティブな運用を行う時は景気サイクルと「それを得意とする銘柄やセクター、ファクター」の関係を知っておくときっと役立ちます。そこで、景気サイクルとファクターの関係を示したものが以下の図です。

景気サイクルとファクターの関係

出典:A Factor Portfolio for the Business Cycle | The Macro Investor

先ほどまでの情報を元に考えると、現在の景気位置は「Early Expansion(早期景気拡大)」と「Late Expansion(後期景気拡大)」の間ぐらいでしょうか。もしそうなら、ここまで得意だった「バリュー」や「サイズ」といったファクターは今後不得意な状況になり、「マーケット(ポートフォリオ)」と「モメンタム」が強い状況に変わっていきます。

そこで、みんな大好き(笑)SPYDとVOOのパフォーマンス差について見てみます。

VOOとSPYDのパフォーマンス差

SPYDは「バリュー」や「サイズ」のファクターを持っていて、景気の底(Late Contraction)から景気拡大の前半(Early Expansion)に強いと個人的には考えてます。

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上記グラフで青い線が下向きに進むほどSPYDの強い時期ですが、その期間は2020年11月から2021年3月ぐらいまでの期間でした。

6月のFOMC後にはバリューな銘柄ほど大きく売られてしまったんですよね(SPYDも例に漏れず)。という状況から考えても、「コロナが終息してここから景気回復」という時期はもう終わってるんじゃないかと考えています。

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まとめ

  • 現在のアメリカの景気位置を読む方法として、小型株と大型株の成績差やISM製造業購買担当者景気指数などがある
  • それによると、景気の底から景気回復初期の段階はすでに終わっていて、今後は緩やかな景気拡大と次の景気の谷を気にする状況にあるかもしれない
  • 景気拡大の前半に強いSPYDも最近失速中。ファクターで見ると、今後はマーケットポートフォリオやモメンタムの強い時期へ

ちなみに、今年の年初には、米ドル安の期間が数年ほど続いて、新興国株やコモディティに恩恵があると個人的には予想していました。ですが、思ったより短命に終わりました。

SPYDがVOOをアウトパフォームする楽しい時期もたぶん終わってしまいましたw

またしばらくはGAFAMを買っておけば、勝手にお金が増えていく状況でしょうか?