eMAXIS slimシリーズや購入・換金手数料なしシリーズとともに、インデックスファンドの低コスト投信といえば、「たわらノーロード」シリーズがあります。
他のシリーズ同様に、たわらノーロードも一通りラインナップを組んでおり、中でも特によく選ばれているのが「たわらノーロード先進国株式」です。
ほら、あなたがこの記事を見に来たということは、たわらノーロード先進国株式の特徴や、類似ファンドとの比較を求めている証拠ですよね。
この記事では、為替ヘッジのない「たわらノーロード先進国株式」と「たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>」を比較するほか、eMAXIS slim先進国株式インデックスやニッセイ外国株式インデックスファンドとどちらを選べばよいか、についても言及します。
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たわらノーロード先進国株式の特徴
たわらノーロード先進国株式(協会コード:4731B15C)は、アセットマネジメントOneが運用する投資信託です。
たわらノーロード 先進国株式 | アセットマネジメントOne
たわらノーロードは、購入手数料なし(ノーロード)を謳う低コストインデックスファンドを揃えており、その中でたわらノーロード先進国株式は特によく知られている人気商品です。
信託報酬や純資産などの基本情報
情報は2019年9月14日現在(実質コストとマザーファンド純資産は2017年10月13日~2018年10月12日)。
購入手数料 | 0% (ノーロード) |
信託報酬 実質コスト |
0.10989% 0.251% |
信託財産留保額 | 0% |
換金手数料 | 0% |
基準価額 | アセマネ公式 モーニングスター |
純資産(ベビー) 純資産(マザー) |
388億円 2,844億円 |
SBI証券ランキング つみたてNISA 設定件数 |
11位以下 (2018年3月) |
信託報酬はファンドが標榜するコストなのに対し、実質コストは実際に運用で生じたコストのことです。
1年で見ると、1万口あたり31円(0.251%)のコストがかかっています。
マザーファンド
マザーファンドは「外国株式パッシブ・ファンド・マザーファンド」と言い、つみたてNISA対象商品であるたわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>のほか、主に「旧DIAMアセットマネジメント」系列の投資信託と共有しています。
2018年2月時点のマザーファンドの純資産は約2,844億円と、ベビーファンドともに規模の十分な投資信託です。
まさかの信託報酬引き下げ!(2019年10月より)
2019年9月にたわらノーロード先進国株式の信託報酬の引き下げが発表されました。
これにより、10月以降はニッセイ外国株式インデックスファンドやeMAXIS slim 先進国株式インデックスと同じ水準での信託報酬(税別で0.0999%)での運用が可能になります。
たわらノーロード先進国株式は地方銀行でも買いやすい点が特徴です。
銀行での運用でも、業界最低水準のコストの商品にアクセスできるようになったのは素晴らしいことです。
日本を除く先進国株式に投資
たわらノーロード先進国株式は日本を除く先進国株式に投資します。
先進国の株価指数として有名な「MSCIコクサイインデックス」をベンチマークに設定し、ほぼ同等の成績を得ることを目指しています。
MSCIコクサイインデックスは、約6割がアメリカで、残り4割がEUと環太平洋の国(日本を除く)や地域から構成されていますので、ニッセイ外国株式インデックスファンドに投資したあなたのお金も、約6割はアメリカの株式を、残りはEUなどの先進国株式の買い付けに充てられます。
あなたがたわらノーロード先進国株式に投資すると
- お金は外国株式パッシブ・ファンド・マザーファンドへ
- 外国株式パッシブ・ファンド・マザーファンドから日本を除く先進国の株式の買い付けへ
とお金は流れます。
なお、分配金は出さない商品なので、「たわらノーロード先進国株式に投資して分配金生活」は期待できません。
たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>との違い
たわらノーロード先進国株式は、
- たわらノーロード先進国株式
- たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>
の2種類あります。
両者の違いは為替ヘッジの有無です。
外貨の先物取引やオプション取引を利用して、為替変動リスクを回避すること。
海外資産に投資する場合、外貨建てでは運用収益が得られたとしても、為替変動により円換算すると資産価値が下がる可能性があり、為替ヘッジを行うことで、こうした損失を抑制できる。
通常、円高による為替差損を回避する目的で行われることが多く、外貨建て資産に投資をすると同時に外貨売り円買いの先物予約をして将来の為替変動に備える。その際、為替相場の円安局面で得られる為替差益は犠牲になる。また、為替ヘッジする際には2国間の短期金利差相当のヘッジコストがかかる。
出典:為替ヘッジ(かわせへっじ) | 野村證券
無印のたわらノーロード先進国株式(この記事で触れてるほう)は、為替ヘッジを行わないため、円高になると基準価額が下落し、円安になると基準価額が上昇する特徴を持ちます。
以下はモーニングスターのデータベースを使って、ヘッジありなしで比較したものです。
- 赤:たわらノーロード先進国株式
- 橙:たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>
赤のたわらノーロード先進国株式(ヘッジなし)は、2016年末から急激にリターンが高くなっています。
この期間は、ちょうどトランプラリーが始まったタイミングで、円相場も15円ほど円安になったため、ヘッジなしのたわらノーロード先進国株式も大きく値を上げました。
故に、
- より大きく儲けたいなら:たわらノーロード先進国株式
- 損失を少なくしたいなら:たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>
たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>は、リスクを抑えて先進国株式に投資する、初心者向けファンドともいえるかもしれませんね。
「eMAXIS slim先進国株式」と「ニッセイ外国株式」と並ぶ三番手
日本を除く先進国株式に投資する商品を見たときに、たわらノーロード先進国株式は、eMAXIS slim 先進国株式インデックスとニッセイ外国株式インデックスファンドに続く三番手にあたります。
信託報酬を比較すると、3者は横並びの状況。
商品名 | 信託報酬 |
---|---|
eMAXIS slim 先進国株式 |
0.10989% |
ニッセイ 外国株式 |
0.10989% |
たわら 先進国株式 |
0.10989% ※10月以降 |
たわら 先進国株式 ヘッジあり |
0.216% |
日本を除く先進国株式に投資する商品は他にもあるものの、信託報酬が高いか純資産が少ないなどのデメリットもあります。
ということで、基本は、
- たわらノーロード先進国株式(ヘッジありでもなしでも)
- eMAXIS slim 先進国株式インデックス
- ニッセイ外国株式インデックスファンド
のいずれかを選べば間違いありません。
検証:20年後の運用成績を算出
乱数シミュレーション(モンテカルロ法)を用いて、20年間、毎月1万円ずつ積み立てた場合の予想成績を紹介します。
以下で述べる計算結果は、あなたの将来の運用成績を保証・約束するものではありません。
たわらノーロード先進国株式のリスクとリターン
MSCIコクサイインデックスの過去20年間のデータを使います。
myINDEXによると、2018年4月19日時点で
- リターン:4.8%
- リスク:18.9%
です。
今回は信託報酬(0.216%)を引き、
- リターン:4.584%(4.8% – 0.216%)
- リスク:18.9%
にて計算します。
計算結果:20年後の推定成績
計算回数 | 1,000回 |
運用年数 | 20年 |
総投資金額 | 240万円 (1万円 × 12ヶ月 × 20年) |
最高評価額 | 2,170万円 (+1,930万円) |
最低評価額 | 82万円 (-158万円) |
平均評価額 | 387万円 (+147万円) |
元本割れ回数 | 262回 |
元本割れ確率 | 26.2% |
20年後の成績は240万円の積み立てに対し、62万円~2,170万円と大きくばらつきました。
ただ、この結果は過去の数値に基づく乱数計算なので、単なる数字遊びとしてご覧ください。
たわらノーロード先進国株式の「見込み最大損失額」
myINDEXのリスクとリターンを使って、たわらノーロード先進国株式に投資した時に生じうる「見込み最大損失額」を算出しました。
これは、仮に1年間で「リーマンショック級の下落」を経験した際に、投資額のいくらを失うかを求めたものです。
過去のデータに基づく算出ですので、目安としてご覧ください。
リターン(%) | 4.584 |
リスク(%) | 18.9 |
見込み最大損失額 (投資額の%) |
33 |
計算上、たわらノーロード先進国株式は、1年間で投資額の33%の評価損を抱える可能性があります。
仮に100万円投資後に酷い相場を経験すると、1年後に67万円になっている計算です。
この結果がきついと考えるならもっとリスクの低い投資信託を、妥当だと考えるなら本商品を選びください。
たわらノーロード先進国株式への投資はオススメか
2019年9月現在、先進国株式へ投資するならば、そのスタンダードはeMAXIS slim 先進国株式インデックスです。
SBI証券や楽天証券などのネット証券を使っているなら、eMAXIS slim 先進国株式インデックスをお選びください。
もし、eMAXIS slim 先進国株式インデックスを販売していないなら、たわらノーロード先進国株式を選ぶ余地があります。
たわらノーロードシリーズは、eMAXIS slimシリーズよりも販路が広いため、特に銀行でつみたてNISAを始めたい場合に、選択肢の1つになるかもしれません。
また、為替リスクを抑えて運用したい場合には、たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>の選択をオススメします。
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まとめ
- たわらノーロード先進国株式は、eMAXIS slim先進国株式インデックスやニッセイ外国株式インデックスファンドのライバルで3番手
- 為替ヘッジなしと為替ヘッジありの2つがあるので、許容できるリスクに応じて選択しよう。為替ヘッジありならば、始めてでも運用しやすい
- eMAXIS slimシリーズを選択できない場合の代替候補として。特に銀行でこの商品に出会うと心強い
2019年9月の信託報酬引き下げを受けて、業界最低水準のコストで運用できるようになった、魅力的な商品です。
特にネット証券以外の金融機関でつみたてNISAを始めるときには、本商品は選択肢の1つに入れて良いと思います。