※記事内に広告を含みます

楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)は実は優良商品だと思う

楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)の資産配分3. 商品選択と組み合わせ




この記事では、つみたてNISA対象商品の1つ「楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)」について紹介します。

特に株式重視型は、債券を少量加えることで、株式の利益をあまり減らさずに価格変動リスクを抑えられていて、書籍「アセットアロケーションの最適化」の考え方には非常に近いアセットアロケーションになっています。

ただ、残念ながら、

  • 債券市場がいろいろとヤバイ
  • 本商品はあまり人気が無い

という点で、個人投資家が積極的に選びにくくなっていると感じます。

良い商品ですが、市況的な問題と、そもそも商品性の良さというか、目指すところが伝わっていないように感じるのが本商品のデメリットです(他のバランスファンドにも言えるけど)。

というわけで、楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)の解説。

[スポンサーリンク]

楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)の特徴

楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)(協会コード:9I311187)は楽天投信投資顧問の投資信託の1つです。

楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型) | 楽天投信投資顧問

楽天バンガードシリーズの1つで、米国の資産運用会社「バンガード」のETFや投資信託を利用して、全世界に投資します。

楽天・インデックス・バランス・ファンドは、本商品以外にも均等型と債券重視型があり、株式重視型を加えた3つをシリーズ商品として販売されています。

信託報酬や純資産などの基本情報

楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)の特徴(2019年11月06日時点)
購入手数料0%
(ノーロード)
信託報酬
実質コスト
0.24%
0.296%
信託財産留保額0%
換金手数料0%
運用期限
(償還日)
無期限
(償還なし)
基準価額楽天投信公式
純資産(ベビー)
純資産(マザー)
16億円
-億円
SBI証券ランキング
つみたてNISA
設定件数
10位以下

正直、人気がなく、純資産も約16億円どまりですが、個人的には評価している商品の1つです。

信託報酬ランキング(2019年11月)

59位

SBI証券で2019年11月6日時点で取り扱う153本のつみたてNISA対象投信との比較。

ファンドの仕組み

楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)の仕組み

出典:https://www.rakuten-toushin.co.jp/fund/nav/rivbe/pdf/rivbe_P.pdf

楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)は、米国バンガード社の投資信託を通じて全世界の株式と債券に投資します。

株式部分のマザーはいわゆる「VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)」で、楽天・全世界株式インデックス・ファンドと同じものです。

債券部分のマザーは「バンガード・インベストメント・シリーズ・ピーエルシー – バンガード・グローバル・ボンド・インデックス・ファンド」といい、これは投資適格債に投資する非上場の投資信託です。

全世界の株式と債券に7対3の比率で投資

楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)の資産配分

出典:https://www.rakuten-toushin.co.jp/fund/nav/rivbe/pdf/rivbe_P.pdf

楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)は日本を含む全世界株式と全世界債券に7対3の比率で投資します。

債券部分は為替ヘッジを行なっているため、理論上は株式と相関関係が薄れており、ほどよい分散になっているのが特徴です。

つみたてNISAでは、この配分で運用を行なう投資信託はないので、ライバルのいないオンリーワンな投資信託とも言えます。

株式重視型のここが素晴らしいのだ!!

このファンドは、実は本商品1つで資産運用を終わらせても良いほどの適度の配分に設定されたバランスファンドです。

というのも、株式にある程度の為替ヘッジ債券を加えることで、株式の値動きの大きさを抑えつつも、高いリターンを確保できているからです。

以下は、JPモルガンAMの「超長期マーケット予測2019」のデータを利用して、全世界株式と全世界債券(為替ヘッジあり)の資産配分と幾何平均利回り、見込み最大損失率をグラフに落としたものです。

全世界株式と全世界債券の幾何平均利回り

出典:超長期マーケット予測2019を利用して筆者作成

全世界株式と全世界債券の最大見込み損失率

出典:超長期マーケット予測2019を利用して筆者作成

全世界株式と全世界債券のシャープレシオ

出典:超長期マーケット予測2019を利用して筆者作成

全世界株式の比率が0.7のとき(= 楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)と同じ配分の時)、

  • 幾何平均利回りは約3.9%で、株式100%の時に比べて約0.3%低下
  • 見込み最大損失率は「投資額の約22%」で、株式100%の時に比べて約9%の低減

と、利回りをあまり減らさずに、損失の大きさを低減できています

もう少しリスクを抑えるなら均等型を選ぶことになりますが、均等型は利回りも下がってくるため、お金の増え方にも影響してきます。

その点で株式重視型の「30%債券を加える」という考え方は素晴らしいのです。

ちなみに、運用効率(シャープレシオ)が最も高いのは債券重視型です。

ただ、現在の債券市場を考えると、選びにくい気もしますね(データ上は良い商品だと思いますが)。

といった理由から、「リスクと利回りのバランスの取れたポートフォリオを組む」という目的で利用するならば、楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)は優れた商品です。

将来シミュレーション

入力条件

今回は筆者作成のつみたてNISA対応モンテカルロシミュレータで将来予測を計算してみます。

ほんとは全記事で統一したツールを使わないと比較にならないので、そこはおいおい直していきます。

入力するデータ
項目パラメータ
リターン4.7
リスク13.0

超長期マーケット予測2019を利用して計算

計算は正規分布を前提とした乱数で行なっています。

この計算結果は将来の運用成績を保証しませんので、参考程度にご覧ください。

計算結果

仮に毎月1万円(総額240万円)を本商品に積み立てた場合、つみたてNISA終了時(2056年)の評価額は540万円(+300万円)になります。

もっとも運用が良くなかった場合の評価額は98万円で、142万円の損失です。

各年で非課税メリットを受けられる可能性は高く、計算上はだいたい70%の確率で20年すべて非課税メリットを受けられます。

全世界株式と全世界債券に投資したときに非課税メリットを受けられる年数

出典:超長期マーケット予測2019を利用して筆者計算(全世界株式7:全世界債券(為替ヘッジ)3の場合)

本商品に限りませんが、バランスファンドはリターンに対してリスクが低くなりやすいため、投資家にとって良い計算結果を得やすいです。

ただ、債券相場は価格が高騰しすぎてマイナス金利状態になっているため、その点がこのシミュレーションの実現を阻む不安要素だと思います。

日本と欧州はマイナス金利下なので、米国債と新興国債の頑張りにかかっているように感じます。

せめて日本債券の利回りが2%ぐらいあればよかったですね(もはや口癖)。

なお、計算上の非課税額は中央値で約61万円でした。

楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)はオススメか

人気はないが、個人的には良いと思ってる

個人的には良いと思いますが、個人投資家の人気が無いので、「他人と同じが良い」人にとっては選びにくいのが難点ですね。

筆者が今の知識をもって、つみたてNISAを始めるなら、株式重視型やバランス均等型は選択候補に入れると思います。

ちなみに、マザーファンドが巨大(というかバンガードのファンド)である点と、つみたてNISA対象商品であることから、現在の純資産であっても早期償還は無いと思っています。

カンさんのこんな運用方法も

カンさんは、楽天・インデックス・バランス・ファンドシリーズを利用した運用方法を紹介していますね。

最初の5年間、「楽天・インデックス・バランス・ファンド」(債券重視型)を積み立て、その後の15年間、「楽天・インデックス・バランス・ファンド」(均等型)を積み立てるということも可能です。(中略)

上記のポイントは、同じ「楽天・インデックス・バランス・ファンド」シリーズを用いている点です。

バランスファンドをリレーで積み立ててはいきますが、大元の株式、債券の投資先は変わらないため、「運用資産の中身」は意外とシンプルなままなのです。

出典:つみたてNISAで「バランスファンド」をリレーで積み立てる方法 | カン・チュンドのインデックス投資のゴマはこう開け!

楽天・インデックス・バランス・ファンドシリーズは株式と債券の比率が異なるだけで、最終的な投資先は同じです。

なので、投資経験に合わせてリスクの異なる商品を選んだとしても、ポートフォリオが複雑にならない、というお話ですね。

購入できる証券会社

  • SBI証券
  • 岡三オンライン証券
  • auカブコム証券(旧:カブドットコム証券)
  • 静岡銀行
  • ジャパンネット銀行
  • 松井証券
  • マネックス証券
  • 楽天証券

余談ですが、楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)は損保ジャパン日本興亜DC証券の企業型確定拠出年金でも購入できます。

[スポンサーリンク]

まとめ

  • 楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)は全世界株式と全世界債券に投資。債券部分は為替ヘッジ付きなので、為替の影響を打ち消す分だけ株式との相関性が薄れている
  • 債券を30%加えることで、リターンを大きく下げずに損失の大きさを低減している
  • 残念ながら人気が無いので選びにくい点と、主な債券市場がマイナス金利状態で、将来の利益を見込むのが難しい点がデメリット

というわけで、個人的には「隠れオススメファンド」の1つとして楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)を挙げたいと思います。

もし、つみたてNISAが来年から始めるのであれば、今のファンドではなくこちらを選んでいたかもしれませんね。