この記事では主な米国株に連動するつみたてNISA対象投信の選定について一緒に見ていきましょう。
★この記事の対象
- iFree S&P500 インデックス
- eMAXIS slim 米国株式(S&P500)
- SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド(SBIVOO)
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)
※つみたて米国株式(S&P500)は2020年3月に設定されたばかりなので扱わない
※eMAXIS NYダウインデックスと農林中金<パートナーズ>つみたてNISA米国株式 S&P500はここでは扱わない
楽天VTIを除く3つの投資信託は、米国の著名な企業500社から構成されるS&P500指数に連動するように作られた商品です。楽天VTIはもう少し範囲の広い投資を行いますが、その運用成績はS&P500指数とほとんど同じなので、ここでは比較対象に含めました。
結論を述べると、eMAXIS slim 米国株式(S&P500)を楽天証券で楽天カード積立にて買うのが一番高く、安定的な成績になると思います。
いずれの商品も、時には投資したお金の数十%程度を失う可能性があります。どうかブログやネットの声に流されずに、「自分がその損失に耐えられるか」という点は考えてみてほしいです。
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4つのファンドを様々な観点から比較してみよう
今回は冒頭で挙げた4つのファンドを様々な観点から比較してみます。
信託報酬と純資産
信託報酬 (%) |
つみたてNISA 低信託報酬 ランキング (位) |
純資産 (百万円) |
つみたてNISA 純資産ランキング (位) |
|
---|---|---|---|---|
iFree S&P500インデックス | 0.2475 | 78 | 10033 | 62 |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.0968 | 2 | 81879 | 11 |
SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド | 0.0938 | 1 | 28483 | 26 |
楽天・全米株式インデックス・ファンド | 0.162 | 27 | 85023 | 9 |
農林中金<パートナーズ>つみたてNISA米国株式 S&P500 ※参考 |
0.495 | 125 | 2655 | 101 |
発行口数(どれだけ買われているか)の比較
まずは発行口数の推移を紹介します。口数が多いほど多くの投資家が買っていることを示します。
出典:SBI証券のデータから筆者作成
★凡例
- 青:SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド
- 橙:iFree S&P500 インデックス
- 灰:楽天・全米株式インデックス・ファンド
- 黄:eMAXIS slim 米国株式(S&P500)
このグラフに基づくと、最も発行口数が多いのは楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)です。それをeMAXIS slim 米国株式(S&P500)が猛追する形になっています。もっとも設定が早かったiFree S&P500 インデックスはほとんど口数が増えておらず、積極的に買っている人は少なめです。
SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド(SBIVOO)は設定からまだ時間が経っていないものの、口数の増加に勢いがあります。
おそらく将来的には、eMAXIS slim 米国株式(S&P500)が楽天VTIを追い抜き、もっとも買われている米国株ファンドになるはずです。SBIVOOが楽天VTIを抜くかどうかはまだわかりません。
パフォーマンスの比較
今度は重要なパフォーマンスの比較についてチェックしましょう。以下はSBIVOO設定後の、4つのファンドのパフォーマンスを比較したものです。2016年9月を100にそろえています。
出典:SBI証券のデータから筆者作成
★凡例
- 青:SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド(SBIVOO)
- 橙:iFree S&P500 インデックス
- 灰:楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)
- 黄:eMAXIS slim 米国株式(S&P500)
このグラフによると、4つのファンドの運用成績はほぼ一緒です。たまに線が二重になっている部分は、楽天VTIが他の3つの商品より運用成績が劣る部分です。厳密には楽天VTIと他の投資信託のベンチマークは異なりますが、どちらが成績が良いかと言われたら、S&P500に連動するslim 米国株式などのほうが良い成績になりやすいです。
ちなみに、以下は騰落率(とうらくりつ)をiFree S&P500 インデックスで規格化したもので、他の3つの投資信託がiFree S&P500 インデックスよりもどの程度、騰落率にばらつきがあるかを示したものです。
騰落率とは、ある期間の始めと終わりとで価格がどれだけ変化したかを表すものです。例えば、価格が100円の運用商品が105円になれば5%の上昇、90円になれば10%の下落となります。
出典:SBI証券のデータから筆者作成
楽天VTIやSBIVOOのように、ETFをマザーにした投資信託のパフォーマンスにややばらつきが出やすい点はしばしば話題になりやすいテーマです。
今回の比較においても、SBIVOOや楽天VTIはiFree S&P500 インデックスやeMAXIS slim 米国株式(S&P500)に対して騰落率のばらつきの大きさが目立ちます。微妙な差ではありますが、「指数をできるだけ正確に再現する(トラッキングする)」という意味では、SBIVOOや楽天VTIはやや不利です。
「iFree」も実は捨てがたい
以下はiFree S&P500 インデックスとeMAXIS slim 米国株式(S&P500)のパフォーマンスの比を取ったもので、1を下回るとslim 米国株式が優位であることを示します。
出典:SBI証券のデータから筆者作成
信託報酬だけ見ると、eMAXIS slim 米国株式(S&P500)のほうが低コストです。しかし、実際にはそれ以外のコストもかかるため、両者の差は複雑に変化しています。
slim 米国株式が設定された2018年から1年ほどはiFree S&P500 インデックスのパフォーマンスが優位でした。最近でこそslim 米国株式のほうが優位になりつつあるものの、その差は思ったよりは小さめです。
商品選定のポイント
基本的にはこんな感じでいいと思います。
★米国株式インデックスのおすすめ
- eMAXIS slim 米国株式(S&P500)を扱っているなら、それを買う
- eMAXIS slim 米国株式(S&P500)を扱っておらず、iFree S&P500 インデックスがあるなら、それを買う
ここでは、パフォーマンスの安定さや指数を正確にトラッキングできているかを重視して、eMAXIS slim 米国株式(S&P500)を提案します。
ちなみに、SBI証券でSBIVOOを買うか、楽天証券でeMAXIS slim 米国株式を買うかは、以下の記事で検証しています。その結果、楽天証券とslim 米国株式のペアが優位でした(楽天カードを使った場合)。
「信託報酬が低いから」「みんな買ってるから」という理由でSBIVOOを買ってもよいと思いますが、パフォーマンス的には楽天証券でeMAXIS slim 米国株式(S&P500)を買うのが一番良い成績になると思います。
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まとめ
- つみたてNISAで購入できる主な米国株式インデクスファンドを比較
- 検証結果によると、eMAXIS slim 米国株式(S&P500)を楽天証券で楽天カード積立にて買うのが一番
- eMAXIS slim 米国株式(S&P500)を扱っていない金融機関ならiFree S&P500 インデックスでもいい。SBIVOOは低コストだが、トラッキングにはやや難あり
正直、好きなものを選べばよいと思いますが、「どれがいいの?」と迷子になった場合には参考になれば幸いです。
なお、米国株式は値動きの大きい結果になりますので、人によってはもっとリスクを抑えてバランスファンドを選んだほうが幸せになれるかもしれません。というわけで、この記事は「みんな米国株を買ってるし。。(自分も買いたいなぁ)」と感じてる方にささげたいと思います。