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上昇相場でアセットアロケーションをより高リターンなものに変更したい時は慎重になろう

3. 商品選択と組み合わせ




例えば、2020年5月のような上昇相場では、周囲で「儲かった」「お金がすごい増えた」といった話を聞くことが増えてきます。

そんな時、あなたの資産があまり増えてなかったりすると、なんだか置いてきぼりくらったように感じたりしませんか?それで「もっと儲かるアセットアロケーションに変えたい」と思い始めることってあると思うんです。

その際に思い出してほしいことを紹介します。

記事の結論は以下の通りで、要は「今の良い状況だけを見ず、悪かったとき(例えば3か月前)のことも考えようね」というお話です。

★記事の結論

  • 上昇相場でリターン重視の配分に変えたくなる気持ちは理解できる。が、リターン重視の配分は3か月前には大きな下落を経験していた
  • 将来の相場は過去のものとを同じとは限らない。未知の経験に驚かないアセットアロケーションを
  • 将来の私たちは、今よりお金を運用しているはず。その分だけ資産の値動きは大きくなっていることを忘れずに

では一緒に見ていきましょう!

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例:バランスファンドから先進国株式インデックスに変えた場合

ここではバランスファンド(例えば4資産均等型)を運用している方が、株式100%のアセットアロケーション(先進国株式)などに変更することを考えてみましょう。

例えば、2020年5月1日の時点で、保有する資産のすべてをバランスファンドから株式100%に変更すると、資産は以下のような推移をたどることになります。

2020年5月からの先進国株式とバランスファンドのパフォーマンスを比較

出典:筆者作成

この1か月で、4資産均等型に投資してた投資家はお金が1.05倍増えた一方で、先進国株式に投資してた投資家は1.1倍増えました。

この差が「周囲はお金が増えているのに、自分だけ増えていない」という状況を作ってるんですよね。

このような差がつく理由は、バランスファンドはアセットアロケーションを保持するために、値が戻ってきた株式を売って、債券などを買っているためです。言い換えれば、バランスファンドは「リスクが低い」ためで、株価上昇時のリターンは限定的です。

だから、「リターンの低い資産(ここではバランスファンド)はやめてリターンの高い資産(ここでは先進国株式)に変更したい」という気持ちも十分理解できます。だって、お金が欲しいのはみんな一緒だから。

ですが、どうか今の相場だけがすべてだと思わないでほしいのです。

今から約3か月前に、私たちがどんな相場を経験したかと言えば、それが以下のグラフです。

2020年2月からの先進国株式とバランスファンドのパフォーマンスを比較

出典:筆者作成

2020年3月、私たちはマジで世界恐慌が来るかもしれないとまで思っていました。現状からは想像がつきにくい気もしますが、わずか3か月前の話です。

★現在の暴落は今後どうなるか(2020年3月23日)

  • そろそろ底値:17%
  • リーマンショック級まで落ちる:33%
  • マジで世界恐慌になる:33%
  • 答えを見る:17%

総投票数:1894

この時、リターンの高い資産(先進国株式)に投資していた人たちは、毎日とんでもない勢いでお金が減っていくのを目の当たりにしていました。一方、リターンの低い資産(バランスファンド)に投資していた人たちは、せいぜい10%減で済みました。

基本的に、期待リターンの高い資産は大きな損失につながる可能性があります。一方、損失額を抑えやすい資産は、大きなリターンは生みにくい特徴があります

この基本原理をどうか忘れないようになさってください。

上昇相場で資産配分を変えたい時は慎重に

というわけで、上昇相場でアセットアロケーションを変更したい場合(現状以上にリターンを追求したい場合)には慎重に検討したほうが良いです。

今回の暴落はわずか3か月でほとんど値を戻してしまいましたが、将来の相場もまったく同じとは限りません。大きな急落がきて、その後数年価格が戻らないかもしれないし、何年もかけてずるずると価格が落ちていく相場があるかもしれません。

個人的には何年もずるずる下がっていく相場のほうが、今回のようなショックよりも脱落者を増やすかもしれないと感じます。

そんな、未経験の状況でも積立投資を継続できるような配分でなければいけないのです。

1つ重要な点として、将来の私たちはおそらく現在よりもより多くのお金を積み立てているはずです。

10万円が10%減るのと、1000万円が10%減るのでは、感じ方も変わるかもしれません。そういったことも踏まえ、それでもリターンを追求したいなら、そうすればよいと筆者は思います。

以前記事にしたように、相場の後追いで「リターン重視→リスク回避→リターン重視」と変更すると、最終的なパフォーマンスが下がってしまう可能性があります。

「相場の後追い」でアセットアロケーションを変更してはいけない
この記事は「アセットアロケーションは途中で変更してもよい」の続きです。運用途中でアセットアロケーションを変更したくなることはあっても、「相場の後追い」での変更はおすすめしません。 「相場が下落したとき...

何度かアセットアロケーションを変えることは仕方ないと思うので、どこかのタイミングで「これがベストだ」と思える配分を決められたらいいですね。

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まとめ

  • 上昇相場でリターン重視の配分に変えたくなる気持ちは理解できる。が、リターン重視の配分は3か月前には大きな下落を経験していた
  • 将来の相場は過去のものとを同じとは限らない。未知の経験に驚かないアセットアロケーションを
  • 将来の私たちは、今よりお金を運用しているはず。その分だけ資産の値動きは大きくなっていることを忘れずに

あなたが2020年3月前に投資を始めていたなら、この質問を忘れないようになさってください。

今から3か月前、あなたはどう考えていましたか?

もし「もう世界経済は終わりだ、積立投資なんて始めないほうが良かった」と思ったなら、その感情を大切にしたほうが良いと感じます。

ちなみに筆者はこちら。

あなたはどうでしたか?