今回は中国・韓国・台湾などの新興国株式を中心に構成される「日経アジア300インベスタブルインデックス」に連動する投資信託と、一般的な新興国株式インデックスファンド(MSCIエマージングマーケットインデックスに連動)を比較してみようというお話。
最近知ったところによると、「新興国株式は資源国と工業国で分けて考えたほうが良い」との解釈があるそうです。もともと新興国と言えば資源国が多いイメージでしたが、最近は中国を筆頭に違いますよね、と。
特にコロナショック後は、中国・韓国・台湾は他の新興国株式の運用成績を上回りました。そのため、「新興国」とのくくりで投資するよりも、工業国だけを選択的に投資したほうが良いのでは?と思い、調べてみた次第です。
では、実際の比較を見ていきましょう!
[スポンサーリンク]
比較してみる
今回は以下の2つのファンドを比較します。
★以下の2つを比較
- eMAXIS 日経アジア300インベスタブル・インデックス
- eMAXIS slim 新興国株式インデックス
実はeMAXIS slim 新興国株式インデックスのほうが中国株比率は多いのですが、ブラジルやロシア、南アフリカといったアジア以外の資源国比率も多くなっています。
新興国株式インデックスの国別比率(出典:https://emaxis.jp/fund/252878.html)
日経アジア300iインデックスの国別比率(出典:https://emaxis.jp/fund/253125.html)
そこで、韓国・台湾・インドといった非資源国・地域に高い比率で投資できるeMAXIS 日経アジア300インベスタブル・インデックスを比較対象にすることとしました。
というわけで、比較した結果を下表に示します。日経アジア300インベスタブル・インデックスに連動するファンドの登場は2018年と最近のため、正直この比較は期間が短すぎて参考にもなりません。
eMAXIS 日経アジア300 | eMAXIS slim 新興国株式 | |
---|---|---|
信託報酬 | 0.33% | 0.2079% |
標準偏差※ | 1.26 | 1.30 |
利回り (1年) | -2.1% | -3.1% |
元本割れ率 (1年) | 61% | 64% |
※毎日の価格変動の大きさから算出。小さいほど株価の変動も小さい。
株価的な理由もあって、eMAXIS slim 新興国株式インデックスもeMAXIS 日経アジア300インベスタブル・インデックスも、期待利回りはマイナスになってしまいました。しかし、コロナショックを挟んだこの期間では、日経アジア300インベスタブルインデックスに連動するeMAXIS 日経アジア300インベスタブル・インデックスが相対的に良い成績になりました。
ちなみにeMAXIS 日経アジア300インベスタブル・インデックスは株価変動の標準偏差もわずかに抑えられています。新興国は株価の変動も大きいため、そのボラティリティを抑えられるのは良いことです。
1年間一括投資した場合の保有期間リターンを見ると、大きな違いは見られません。が、なんとなくeMAXIS 日経アジア300インベスタブル・インデックス(日経300i)のほうが良い成績になることが多いようにも見えます。
現実問題として
両者のパフォーマンスがほとんど変わらない場合、「つみたてNISAを使ってeMAXIS slim 新興国株式インデックスを買ったほうが税制面でお得」という結論になってしまいます。ファンドの純資産残高を考慮しても、eMAXIS slim 新興国株式インデックスを選んだほうが無難です。
上述の比較から、eMAXIS 日経アジア300インベスタブル・インデックスは値動きが抑えられていて、新興国株式インデックスよりも利回りが良い可能性があります。「サテライト運用として、選択の余地がある」といったところでしょうか。
[スポンサーリンク]
まとめ
- 韓国・台湾・インドといった非資源国・地域に高い比率で投資できるeMAXIS 日経アジア300インベスタブル・インデックスと一般的な新興国株式インデックスファンドを比較
- 比較の結果、両者の成績はほぼ同等に(ただし、比較期間がかなり短い点に注意)
- 運用成績が似ているなら、つみたてNISAを活用できる一般的な新興国株式インデックスが有利
今回の比較では、正直思ったほどの差が得られませんでした。工業国を重点的に投資するためにはETFでより選択的にポートフォリオを組むしかないのかもしれませんね。
他の新興国株式の話題は以下よりご覧ください。