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リバランスの計算の流れをまとめてみる

5. 運用中に悩むこと・リバランス




2つの資産のリバランスを行うための計算手順例を紹介します。筆者が知りうる限り、リバランスの流れとして、「最初にリバランス対象の資産を洗い出し、エクセルなどに比率を入力し、そこである程度見積もりを行ってから、実際のリバランスを実行する」という形になるかと思います。

今回紹介するのはそのエクセル上で見積もる時の計算手順例です。

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モデルケース

今回はeMAXIS slim 米国株式(S&P500)とeMAXIS slim 先進国債券を6対4の比率で持つポートフォリオを想定しました。基準価額は2021年8月3日時点です。

★2つの投資信託と基準価額

  • eMAXIS slim 米国株式(S&P500):16,632円
  • eMAXIS slim 先進国債券:11,822円

評価額は適当に決めました。

★2つの投資信託の評価額と口数

  • eMAXIS slim 米国株式(S&P500):681,542円(409,778口)
  • eMAXIS slim 先進国債券:301,452円(254,992口)

※合計で982,994円

この評価額の時、米国株と先進国債券の保有比率は69対31です。ここから60対40の配分に近づけるリバランスを考えます

リバランスの計算で用いるモデルケース

なお、今回はセルリバランス(売却を伴うリバランス)で考えます。今回は2つの投資信託しかないので、比率の大きい株式を売却し、比率の小さい債券にスイッチすればOKです。

実際にリバランスの計算してみる

①売る側の計算

最初に売る側(今回は株式)を「いくら売るか」から考えます。ここでは、株式側を50,000口売るとしましょう。この数字は割と適当に決めました。

他のネット証券は知りませんが、SBI証券のiDeCoは売買単位を口数で決めます。

5万口売るとして、売却後の株式の状況を計算すると以下の通りです(カッコ内は計算式)。

★株式から50,000口売った場合

  • 売却後の保有口数:359,778口(= 409,778口 – 50,000口)
  • 換金して得たお金:83,160円(= 16,632円 / 10,000口 × 50,000口)
  • 売却後の評価額:598,382円(= 681,542円 – 83,160円)

ここでやっていることは、現在保有している口数から売却したい口数(今回は50,000口)を引いたときに、残りの口数と評価額、そして換金してお金がいくら戻ってくるのかの計算です。

換金して得たお金を求めるためには、基準価額を10,000で割り、売りたい口数をかけます。10,000で割る理由は、投資信託の基準価額が10,000口をベースにしているためで、1口あたりの値段に直してから、50,000口あたりの価格を求めています。

この金額が求まると、50,000口売却後の評価額は簡単な引き算で求まります。

信託財産留保額が設定されている場合

信託財産留保額が設定されている場合には、戻ってくる金額は信託財産留保額の分だけ少なくなります。信託財産留保額を考慮する時は、基準価額を信託財産留保額の分だけ引き算します。例えば、信託財産留保額が0.5%ならば、16,632円(基準価額) –  16,632円 × 0.5% = 16,549円となり、換金して得るお金は82745円(415円少ない)と求まります。

②買う側の計算

ここまで、株式から50,000口を売却することで、83,160円のお金を入手しました。これを債券に投資します。

★債券に投資した場合

  • 購入できる口数:70,343口 (= 83,160円 / 11,822円 × 10,000口)
  • 投資後の保有口数:325,335口(= 254,992口 + 70,343口)
  • 投資後の評価額:384,611円(= 11,822円 / 10,000口 × 325,335口)

ここでは、まず83,160円で購入できる口数を求めます。口数を求める時には、投資額を基準価額で割り、10,000を掛けます。

購入できる口数が求まると、投資後の保有口数と評価額も求まります。評価額を求める時には、基準価額を10,000で割って(1口あたりの価格に直して)、投資後の保有口数を掛け算します。

計算式がいっぱいでややこしくなりますが、やってること自体は四則演算だけで済みます。

③保有比率を確認する

ここまで来たら、売買後の2つの投資信託の保有する比率をチェックできます。

★2つの投資信託の比率

  • eMAXIS slim 米国株式(S&P500):61%(598,382円(359,778口))
  • eMAXIS slim 先進国債券:39%(384,611円(325,335口))

※合計で982,994円

この数字で良ければ取引実行、良くなければ計算をやり直しです。何度か試行錯誤することを考えると、電卓でやるよりもエクセルで数式を組んだほうが楽ちんですね。

実際の取引は計算結果と微妙に異なります

と、ここまで求めたわけですが、実際の取引結果は計算で得た結果と微妙に異なるものになります。

★計算結果と取引結果が異なる理由

  • 取引のタイムラグがあるため
  • ブラインド取引のため

適用される基準価額がわからない状況で、ファンドのご購入やご換金をお申し込みになる方法をいいます。

投資信託協会のルールにより、ファンドの購入(当初設定の募集時を除きます。)や換金の際、申込当日の受付扱いとなる締切時間は、申込受付日の午後3時となっています(※)。
一方、ファンドの基準価額は申込受付日と同じ日付以降の市場における終値等に基づいて算出されるため、申込当日の受付扱いとなる締切時間においては、基準価額まだ算出されていません

出典:ブラインド方式 | 大和アセットマネジメント

という理由から、1円単位できっちりそろえる必要はなく、だいたい近ければOKってノリで大丈夫です。

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まとめ

リバランス込みで考えると、できるだけシンプルなポートフォリオを組んだほうが楽だと気づきますね。たくさんの投資信託を抱えて、かつ比率を管理しながら運用するのは結構大変です。

株式一本、またはバランスファンド一本ってのは、管理上はかなり楽ちんですね(リスクは考慮するとして)。運用はそういうスタイルにしてしまって、投資以外のところに時間を割くのが正しいインデックス投資のスタイルな気もします。

なお、リバランスの効果については昨日の記事をご覧ください。

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