円換算したNYダウ平均株価の1949年から2020年のデータを利用し、一括投資した際の保有期間リターンを求めました。
個人投資家が米国株を見る際、無意識的にドル建ての数値をそのまま見ていることが多いです。しかし、実際には為替で大きくパフォーマンスが変わることに加え、日本人にとっては円建てのほうが重要なので、今回は円建てでのパフォーマンスを求めてみました。
結論を述べると、この期間は全体的には円高になる傾向があったため、円換算したNYダウ平均株価はドル建てのものよりも運用成績が悪くなりました。日本人が米国株に投資するにあたって、為替は厄介な存在であることを忘れないようにしたいですね。
では、一緒に見ていきましょう!
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円建てでのパフォーマンスを求める
NYダウ平均株価の過去の時系列データから円換算後のパフォーマンスを求め、そこから一括投資時の保有期間リターンを求めました。以下がそのグラフで、参考までにドル建てのNYダウ平均株価と日経平均株価も併せて掲載しています。
戦後、円とドルのレートは固定されており、1ドル360円でした。この固定レートは1970年代に廃止され、その後は変動を繰り返しつつも円高に進みました。といった経緯から、1949年を基準にすると、円建てのダウ平均株価のパフォーマンスはドル建てのダウ平均株価に劣ります。
実際に保有期間リターンを求めると以下のようになります。
★1949年以降のダウ平均株価を円建てで見ると
- 利回りが低くなる
- 元本割れで終わる確率が高くなる
- 1日あたりの資産の変動が大きくなる
円建てのダウ平均株価に30年投資した時の利回り(中央値)は4.4%でした。ドル建てでは7.8%なので、この差は大きいです。
また、元本が割れなくなった保有期間は、円建てのダウ平均株価の場合、28年も要しました(ドル建ては18年)。
さらに、1日当たりの株価の標準偏差は、円建てのダウ平均株価が1.18で、ドル建ての0.97よりも大きめでした。これはダウ平均株価を円建てで見た際に、株価の変動と為替の変動が合算されたためです。
以上のように、為替の変動に伴う悪い影響が大きく出てしまいました。
投資することでどのくらいお金が増えたか
保有期間リターンを見ても、お金が増えるイメージと結びつきにくいので、違う視点でのグラフを紹介しましょう。
以下は、円建てのダウ平均株価に一括投資した時に、保有年数に応じてお金が何倍に増えたかを示すものです。例えば、この期間のどこかで1年間投資した時、投資家が享受する結果は0.47倍(元本割れ)から1.76倍でした(一番左端の結果)。
平均値(橙)と中央値(青)は約30年間で約4倍になっています。つまり、「過去のあるタイミングでダウ平均株価に100万円投資した場合、30年後には約400万円になった」というのが平均的な結果です。
ちなみにドル建ての場合には30年間の保有で約9倍(平均値・中央値)に達しました。ライフプランを考える際に、この差はあまりにも大きいですね(名目リターンなので、インフレを考慮するともう少し変わると思います)。
なお、NYダウ平均株価に連動する投資信託は以下の記事でも紹介しています。
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まとめ
- 1949年から2020年までのNYダウ平均株価の円建て価格から保有期間リターンを求めた
- この期間は全体的には円高に為替が進んだため、日本人から見るとNYダウ平均株価の期待利回りは低くなっている
- 日本人にとっては円建てのパフォーマンスが重要であることも忘れないようにしたい
個人的には、こういった過去のパフォーマンスをそのまま将来の期待成績に外挿するのではなく、より保守的な見積もりに抑えておくのが無難だと思います。今回例題にしたNYダウ平均株価なら「為替で-2%、積立投資で-2%で期待値は3%ほどぐらいでライフプランを立てる」といったイメージです。
それなら実際の運用成績が多少悪かったとしても、マネープランが狂うことはないと思いますが、いかがでしょうか。
100年分の円建てダウ平均株価も作ったので、併せてご覧ください。
他の米国株の話題は以下よりご覧ください。