「全世界株式(eMAXIS slim 全世界株式(オールカントリー))に投資すべきか?米国株式(eMAXIS slim 米国株式(S&P500))に投資すべきか?」という質問はよくあるものなのですが、その1つの回答として「全世界株式も米国株式も両方投資する」という話になることがあります。
これは最近10年に限定して見ると確かに正しい判断でした。ある程度の分散性も確保された上で、中間的なパフォーマンスを得られたからです。
しかし、私たちは過去の相場以上に将来のことを考えるべきですから、過去の相場に解釈を引き摺られすぎないことも大切です。
そこで、この記事では「全世界株式と米国株式に同時に投資する」ことがどういったことを意味するかを紹介します。
なお、筆者は全世界株式を選びましたので、どちらに投資するか迷っていましたら下記記事も是非ご覧ください。
[スポンサーリンク]
過去10年は正解だった
全世界株式と米国株式の両方に投資することは、ある意味で正解でした。
米国株式一本に限定すると「米国のみ」という一国に集中するリスクを抱える一方で、全世界株式に分散するとリターンが減ってしまうという状況下で、「両方に投資する」ということはそのバランスを取れた選択になったからです。
この成績を見たら、少なくとも最近始めた方は新興国株式を買おうとは思わないでしょう。その新興国株式も含む全世界株式は、米国株式以上に大きくパフォーマンスを落としています。誰だって、「米国株こそ正義!」と感じるチャートですね。
しかし、ここでの重要なポイントは過去の成績はあくまで過去のもので、将来の運用成績を保証しない点です。
同時に投資する = 米国株比率を重視しているだけ
知っておいて欲しい事柄は、「全世界株式と米国株式に同時に投資する」ということは、単に米国株をオーバーウェイト(配分比率を高めている)だけの話です。
例えば、全世界株式(eMAXIS slim 全世界株式(オールカントリー))と米国株式(eMAXIS slim 米国株式(S&P500))を1:1の比率で保有した場合の3つで、アセットアロケーションをシンプルに考えると以下のようになります。
米国株 | 全世界株 | 米国株50% 全世界株50% | |
---|---|---|---|
米国株 | 1 | 0.6 | 0.8 |
米国株以外 | 0 | 0.4 | 0.2 |
もし、10年後に米国株の株価が1.5倍になり、米国株式以外の地域の株価が2.0倍になったら、この3つのポートフォリオはどうなるでしょうか。
米国株 | 全世界株式 | 米国株50% 全世界株50% | |
---|---|---|---|
運用成績 | 1.5 | 1.7 | 1.6 |
運用成績が米国株 < 全世界株式となった場合、当然ですが、米国株比率の低いポートフォリオほどリターンが多くなります。
2020年の現状からは信じられませんが、リーマンショック以前までさかのぼると、米国株が全世界株式に負けている時代もありました。新興国投資が注目を浴びていた時代です。
歴史上、米国株が何年も低迷し続けた時代もありました。現在の上昇トレンドが未来永劫続くとは限らない点は、頭の片隅に入れておく必要があります(米国に限らず、どの市場も現在の状況が永遠に続く保証はありません)。
リターンの源泉を分散する
最近は、米国株も全世界株式も暴落時に似たような値動きを示すことから、「分散する意味が無い(だから米国株式を選ぶ)」との意見を目にすることも多々あります。
しかし、本当の分散投資とは、リターンの源泉(= リスクの源泉)そのものを分散させることも大切だと筆者は思ってます。
個人的に「米国株より全世界株式を選ぶべき」というつもりはありませんが、初心者にとって扱いやすい(解釈しやすい)のは全世界株式である点は述べておきます。その上で米国株を加えたい時は、自分の資産が米国株と命運を共にしやすくなることは知っておいた方が良いと思います。
全世界株式と米国株式に同時に投資することは、難しい選択を簡単にするための聖杯ではなく、ただ単に米国株を多めに買ってるだけの話なのです。
効率的市場仮説から考えると、米国株のオーバーウェイトは「米国株は世界市場において未だ過小評価を受けているので、適切と思える配分に調整した」との解釈になりますね。
もしあなたが、全世界株式と米国株式に同時に投資しているなら、米国株比率を高める根拠はお持ちですか?
[スポンサーリンク]
まとめ
- リーマンショック以降、米国株を重点的に保有するのは正解だった。しかし、米国株が長期間調整していた時代があったことも忘れてはいけない
- リーマンショック以前は新興国株式やそれを含む全世界株式を選んだほうが良かった
- 全世界株式と米国株式に同時に投資しているなら、そのポートフォリオを正当化できる根拠も考えてみよう
儲かってる市場に投資したくなる気持ちは十分わかります。が、それがいつまでも続くとは限らない点だけは忘れないようにしたいですね。
他の全世界株式の記事もどうぞ。オールカントリーを選ぶか、除く日本を選ぶかといった記事も書いてるのでよかったらご覧ください。
先進国株式との比較等は、以下の記事をご覧ください。