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人気の海外高配当ETF3種を選ぶ2つの視点

3. 商品選択と組み合わせ




高配当ETFとして人気のある3つの海外ETF(VYM / HDV / SPYD)の選び方を解説します。米国上場の高配当ETFは他にもあるのですが、今回はこの3つだけに絞って紹介します。

★比較する海外ETF

  • VYM:バンガード・米国高配当株式ETF
  • HDV:iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF
  • SPYD:SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF

結論を先に述べると、初心者におすすめできるのはVYMです。いずれも伝統的なインデックススタイルではない(スマートベータと呼ばれます)ものの、特にHDVとSPYDは大胆にカスタマイズされて運用されますので、仕組みを理解して運用できる方向けです。

では、一緒に見ていきましょう!

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1:市場の株価は正しいか?(効率的市場仮説を信じるか)

「株価が正しい?なんのこっちゃ??」って思ったら、あなたにはVYMが向いています

さて、今回挙げた3つの海外ETFのうち、もっとも王道的なインデックス投資に近い商品がVYMです。

VYMは配当利回りの高い銘柄をピックアップし、時価総額(= 株価 × 発行株数)の順番でポートフォリオを作ります。そのため、市場に丸ごと投資する「厳密な」インデックスファンドとはやや異なるものの、3つのETFの中でもっとも「伝統的なインデックスっぽい」商品です。

時価総額に基づくポートフォリオの構築は、企業のニュースや財務などの情報はすべて株価に反映されており、何らかの分析やアノマリーを用いても市場平均を上回ることはできない(= 効率的市場仮説)と考えた時に最適な方法です。

効率的市場仮説とは、現在の株価は、将来に対するあらゆる情報を織り込んだ上で形成されており、世間にある情報をもとに恒常的に利益を上げることはできないという考え方。
つまり、株式市場は効率的に機能しているので、投資家がどんなに独自の調査を実施したり、憶測を立てたりしても、掘り出し物の株式を見つけることはできないといえる。

出典:効率的市場仮説 | MBAのグロービス経営大学院

一方、HDVやSPYDは、時価総額でポートフォリオを作ることは問題があると考え、より大胆なカスタマイズを行います(つまり現在の株価を信認しない)。その問題を解消するために、HDVは銘柄の財務情報に注目して銘柄の採用是非とその比率を決定します。一方、SPYDは条件を満たす銘柄をほぼ同じ比率で保有しようとします。

つまり、VYMは市場の株価が正しいことを前提に構築しており、他の2つの海外ETFは市場の株価になんらかの間違いが含まれ、それを運用に活用することで、超過利益を期待できる可能性を考慮しています

2:財務情報から割安・割高を判断できるか

この質問は、例えばある銘柄の株価と財務情報(ファンダメンタルズ)を見比べた時、「本来の業績よりも不当に高く(安く)取引されているか」と判断できるか?という意味です。

もし、判断できると思うならHDVを選び、できないと思うならSPYDを選びます

HDVがベンチマークとする「モーニングスター配当フォーカス指数(Morningstar Dividend Yield Focus Index)」は「ファンダメンタル・インデックス」と呼ばれる考え方で設計されています。

企業の「配当金」「利益」などを元に銘柄をピックアップし、「指数」を構築するという発想が生まれました。それが「ファンダメンタル・インデックス」です。

出典:ファンダメンタル・インデックスの雄、ウィズダムツリーのETF 【ETF解体新書】 | マネックス証券

HDVにはインデックスを構築するときに、作り手の思想や判断が盛り込まれています。時価総額インデックスでの過大評価(過小評価)を補正しているのです。そのため、インデックス運用ながら、アクティブ運用的な要素を持っているとも言えます。

一方、SPYDは、投資する銘柄の信頼性を「S&P500に含まれている」という点だけで担保しています。しかし、どの銘柄が上がるか(下がるか)は予想せず、すべての銘柄をほぼ等金額で保有することで、リスク分散しています。

SPYDとHDVの違いは、HDVが積極的に銘柄を選定するのに対し、SPYDは株価の痛んできた銘柄を受動的に選びます。

SPYDの思想は「逆張り」です。何らかの理由で時価総額が小さくなった銘柄はやがて反発するだろうとの考え方がリターンの源泉になっています。

運用方針の違いをさっくりまとめると

各高配当ETFの運用方針を簡単にまとめると以下のようになります。一見、並列に比較されることの多いETFですが、運用方針を記載すると結構違うものだと思いませんか?

★各海外ETFの目指すところ

  • VYM:市場の株価は常に正しいとの仮定の上で、配当利回りの高い銘柄を選定する。もっとも伝統的なインデックスに近いスタイル
  • HDV:市場の株価には間違いが含まれる。ファンダメンタルズ(配当の継続性など)の観点から、ポートフォリオを補正することで最適化できると考える
  • SPYD:市場の株価には間違いが含まれる。しかし、どの銘柄が高いリターンを出すかは予想せず、株価の痛んだ高配当銘柄を均等に保有し、将来の反発を期待する

ここまでご覧になって、「で、どれがいいですか?」と聞いちゃう人はVYMを選んでおきましょう。そうすることで、少なくとも狭義のインデックス界隈からいじめられて、心病むことがありません(笑)。

逆に、例えば、資産形成のコアを狭義のインデックスファンド(つみたてNISA等)として、サテライトにHDVやSPYDを据えるやり方は、「運用モデルの分散」としてリスク分散になる・・・かもしれませんね。

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まとめ

  • 市場の株価を常に正しいと思うなら、VYMを選ぶ。ミスプライスが含まれると思うなら、HDVやSPYDを選ぶ
  • HDVは指数の設計者の思想や判断が含まれている。一方、SPYDは株価の痛んだ銘柄を均等に保有し、反発を期待する
  • いずれも伝統的なインデックスのスタイルからは外れるものの、VYMが最も伝統的なスタイルに近い。他の2つの高配当ETFはより大胆にアレンジを加えている

同列に扱われる3つですが、それを選ぶ際の一助になれば幸いです。