2018年から「つみたてNISA」が始まってしばらく経ちますが、投資信託選びは終わりましたか?
もし、まだ決めかねているならば、様々な観点から、投資する商品の絞込みを行ってみてはいかがでしょうか。
以下では、難しいテクニカルな方法ではなく、あなたの現状に合わせて「つみたてNISA」の商品を絞りこむ方法を7つ紹介します。
もっと知識を駆使して銘柄を選ぶ方法は以下を。
銘柄選びには自信がないので、「だれかに選んで欲しい」と考えているなら、以下を。
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手順1:今後何年運用できるか
65歳(引退予定年齢) – 現在の年齢 = 「つみたてNISA」を使える期間
今後、何年「つみたてNISA」に投資できるか考えます。
- 現在の年齢
- 何歳で引退するか
例えば引退予定が65歳なら、「65 – 現在の年齢 = つみたてNISAを使える期間」です。
この「つみたてNISA」を使える期間は、最低10年は欲しいです。
「つみたてNISA」で使う「インデックス投資」は、計算上は運用期間が短いほど、元本割れで終わる確率が高まるからです。
もし、「つみたてNISAを使える期間」が数年しかないならば、「つみたてNISAは使わずにNISA(一般NISA)を使う」選択もOKです。
なお、株式を買って株主優待や配当金を欲しい場合も「NISA(一般NISA)」をお選びください。
なぜ65歳を基準に?
現在の労働体系は60~65歳程度を定年とするので、今回は65歳としました。
例えばあなたが「70歳まで働く」と考えるのでしたら、「70 – 現在の年齢 = つみたてNISAを使える期間」と考えても良いです。
ここはNISAがどうこうではなく、あなたの人生設計をどう考えるべきか、のほうが大切なポイントです。
あなたは将来、何歳ぐらいまで働いて、何歳で引退したいと考えていますか?
手順2:損したくないか。儲けたいのか
リスク許容度を考えよう
「つみたてNISA」を通じて、以下のどちらを選びますか。
- 損失を回避できるなら将来の利益の一部は捨てても良い
- 多少損をする可能性も承知で大儲けしたい
この価値判断は「リスク許容度」と呼ばれます。
あなたが、あなた自身の「リスク許容度」以上のリスクを取ってしまった場合、投資は失敗することが多いです。
「リスク許容度」を越えた商品を購入すると、投資のことで頭がいっぱいになってしまい、感情的な運用に囚われるからです。
一般的な資産運用と同様、「つみたてNISA」もリスクとリターンの関係はトレードオフです。
- 損しないことを重視すると、値動きの小さいローリスクリーリターンな商品を選択しますので、儲けの期待値も少なくなります
- 儲けたいことを重視すると、値動きの大きいハイリスクハイリターンな商品を選択しますので、儲けの期待値も大きくなります
なお、「つみたてNISA」のメリットを最大限活かすためには、ハイリスクハイリターンな商品を選ぶべきです。
「つみたてNISA」のメリットは、儲けにかかる税金をゼロにすることなので、利益は大きいほどに非課税額も大きくなるからです。
低リスクな商品 = バランスファンド
バランスファンドは「つみたてNISA」対応商品の中で低リスクな商品です。
以下はバランスファンドの代表的な商品例です。
- 世界経済インデックスファンド
- eMAXIS slim 8資産均等型
- Funds-i 内外7資産バランス
また、極力低リスクさを重視すると、特に債券比率の高い
- たわらノーロード バランス(堅実型)
- 三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)
などが候補になります。
ローリスク = 債券ファンドなのでは?
一般に、ローリスクローリターンの運用には債券ファンドが使われます。
しかし、「つみたてNISA」では債券100%のファンドは用意されていないため、できるだけ債券の多いバランスファンドを選ぼう、という考え方です。
高リスクな商品 = 株式100%で運用されるファンド
株式100%で運用されるファンドは高リスク商品です。
- eMAXIS slim 先進国株式インデックス
- 野村つみたて外国株投信
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド
- ひふみプラスやひふみ投信
「つみたてNISA」では株式100%で運用されるファンドのほうが種類は多めです。
手順3:インデックスファンドかアクティブファンドか
「つみたてNISA」では、インデックスファンド以上にハイリスクハイリターンになるかもしれない、アクティブファンドも選べます。
- ひふみ投信
- ひふみプラス
- セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
アクティブファンドには「つみたてNISA」を使える20年間、現在と同じパフォーマンスを出せるか、という問題があります。
特にこだわりがなければ、インデックスファンドをお選びください。
ここまでまとめると
ここまで、あなたは以下の事柄を決めたはずです。
- 「つみたてNISA」を利用できる年数
- 「つみたてNISA」を利用した際にリスクを取るか(株式100%か)、リスクを抑えるか(バランスファンドか)
- インデックスファンドかアクティブファンドか
アクティブファンドを選んだ場合には、そもそも選択肢が少ないため、ほぼ答えが出ています。
一方、インデックスファンドを選ぶなら、以下の質問を通じて投資信託をさらに絞り込みます。
手順4:日本にどのくらい投資するか
多くの人は日本円を持ちすぎている
- 資産の多くを株式や投資信託を通じて海外に投資している(資産の大半を海外に向けている)
- 資産の多くを日本円の現金や定期預金、国内株式として保有している(資産の大半を国内に向けている)
を確認します。
一般に、多くの人は日本円での現金や定期預金を多く保有しますので、「つみたてNISA」では敢えて海外へ投資することでリスクを分散させます。
具体的には、
- 日経平均
- TOPIX
- JPX日経
の名前が付く投資信託は投資不要です。
なぜ海外へ投資したほうが良いのか
例えば、
- 「つみたてNISA」で「ニッセイTOPIXインデックスファンド」に投資(投資先はTOPIX(東証株価指数)構成銘柄)
- その他の資産は日本円の現金と定期預金
といった組み合わせで運用した場合、金融資産は全て日本の経済力に依存します。
日本国内だけにお金を回した場合、将来円安になった時に、外貨や海外資産が高額になってしまい、輸入品・燃料を購入できなくなったり、海外に行けなくなったりしてしまいます。
極論を言えば、「あなたが没落した日本を捨てて海外に脱出したくなっても、お金が足りなくて海外に出られない」のです。
そこで、例えば
- 「つみたてNISA」でeMAXIS slim 先進国株式インデックスに投資(投資先は日本を除く先進国)
- その他の資産は日本円の現金と定期預金
と投資先を振り分けることで、国内資産と海外資産のバランスを確保できます。
これならば、将来円安になっても、eMAXIS slim 先進国株式インデックスの値上がりでカバーできるため、あなたの生活は守られる可能性が高まります。
手順5:新興国(インドや中国)株式に投資するか
あなたは、将来、以下のどちらが当てはまると思いますか?
- インドや中国などの新興国の株価は将来上がるだろう
- インドや中国などの新興国の株価は将来もそれほど上がらないだろう
株価が上がると思うなら、新興国株式を投資先に含めます。
- 三井住友DCつみたてNISA全海外株インデックスファンド
- 野村つみたて外国株投信
- 世界経済インデックスファンド
あまり上がらないと思うなら、新興国株式は外します。
- ニッセイ外国株式インデックスファンド
- eMAXIS slim 先進国株式インデックス
どちらが正しいかは将来にならなければわかりませんので、あなたの感覚でお選びください。
なお、過去の実績に基づく限り、新興国を投資先に加えると、よりハイリスクハイリターンな運用成績になります。
日々の値動きも大きくなりやすいため、あなたが「自分はリスク許容度が低いな」と感じるなら、新興国は投資先から外したほうが、心の安寧を保てるかもしれません。
手順6:積み立てる銘柄を1つにするか複数にするか
「つみたてNISA」では100本以上の投資信託を選択できますが、多くの人は投資信託1本に投資すれば十分です。
商品1本ならば、複雑な資産のポートフォリオ(アセットアロケーション)やリバランス(アセットアロケーションの微調整)を考える必要もありません。
以下は1本で先進国や新興国の株式に投資できる商品例です。
- 先進国株式(日本除く):eMAXIS slim 先進国株式インデックス
- 先進国株式(日本除く)・新興国株式:野村つみたて外国株投信
- 日本株式・先進国株式・新興国株式:楽天・全世界株式インデックス・ファンド
例えば、楽天・全世界株式インデックス・ファンドを使って全世界に投資すれば、あとはあなたは毎月の積み立てを継続すべく、仕事を頑張るだけです。
もし積み立てる銘柄を複数選ぶ時は、以下を考慮しつつ、アセットアロケーションを考えます。
- 投資先やベンチマークをチェックして、性格の異なる投資信託を選ぶ
- バランスファンドは複数選ばない(どの資産クラスに何%投資しているか、がわかりにくくなるため)
- そのポートフォリオのリスクとリターンはいくらか
アセットアロケーションの決め方は初心者がよく悩むポイントなので、それなら一本で完結する商品を選んだほうが早いです。
手順7:絞り込んだ投資信託の信託報酬をチェック
ここまで来たら、あとはもう機械的な作業です。
絞り込んだ投資信託のうち、最も信託報酬の低いものを選択します。
「つみたてNISA」で成功する秘訣の1つは、コストをできるだけ抑えることです。
「つみたてNISA」対象商品は信託報酬で失敗しにくい
ただ、「つみたてNISA」対象商品はいずれも金融庁が認可した低コストの投資信託ばかり。
ネットの失敗談にあるような、信託報酬の高い「ババ」を引くことはありませんので、初心者でも安心して選択できます。
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まとめ
- 「つみたてNISAを何年使うか」を考えよう。あまりにも利用できる年数が短い場合には、一般NISA(ただのNISA)を利用したほうが良い
- あなた自身のリスク許容度を考えよう。リスクをとれるなら株式のファンドを、とれないならバランスファンドを中心に選ぼう
- 積極的に世界に投資する商品を選ぼう。たった1つの投資信託を選ぶだけで、私達は簡単に先進国株式や新興国株式に投資できる
「つみたてNISA」は確定拠出年金(iDeCo)と異なり、
- いつでも投資を中断できます
- いつでも投資額を増減できます
- 最低100円から投資できます(SBI証券や楽天証券など)
といったメリットがあるので、深刻に考えず「とりあえず試してみる」気持ちも大切です。
「ダメだな」と思ったら、少額投資のうちに積み立てをやめてください。
それなら、万が一運用に失敗したとしても、損失額も少ないままですから。