2017年に誕生した「楽天・全米株式インデックス・ファンド」は「Fund of the year 2018」でも第4位に入賞する注目投信。
投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018
これまでありそうでなかった、アメリカの株式に広く投資できる貴重な投資信託なんです。
しかも「つみたてNISA」にも対応!
以下、楽天・全米株式インデックス・ファンドの特徴、および乱数シミュレーションを利用した将来の予想成績や、生じる可能性のある損失見込み額を紹介します。
この記事をご覧になることで、楽天・全米株式インデックス・ファンドの特徴に加え、eMAXIS slim 米国株式(S&P500)などライバルとの違いも学べます。
Contents
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楽天・全米株式インデックス・ファンドとは
楽天・全米株式インデックス・ファンド(協会コード:9I312179)は楽天投信投資顧問が設定・運営するインデックスファンドで、アメリカに拠点を置く企業のみを投資対象とします。
楽天・全米株式インデックス・ファンド | 投資信託・ETFなら楽天投信投資顧問
信託報酬や純資産などの基本情報
情報は2019年5月23日現在。
購入手数料 | 0% (ノーロード) |
信託報酬 実質コスト | 0.1596% – |
信託財産留保額 | 0% |
換金手数料 | 0% |
運用期限 (償還日) | 無期限 (償還なし) |
基準価額 | 楽天投信公式 モーニングスター |
純資産(ベビー) 純資産(マザー) | 283億円 – |
SBI証券ランキング つみたてNISA 設定件数 | 5位 (2019年4月) |
アメリカのみを投資対象とする貴重なインデックスファンド
楽天・全米株式インデックス・ファンドは、指数「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」への連動を目指します。
Nearly 4,000 constituents across mega, large, small and micro capitalizations, representing nearly 100% of the U.S. investable equity market, comprise the CRSP US Total Market Index.
和訳: CRSP US Total Market Indexは、アメリカの株式市場のほぼ100%に近い、超大型株から小型株まで4000近い企業を含む
出典:CRSP U.S. Total Market Index(英語)
2019年5月23日現在、「つみたてNISA」でアメリカの株式市場全体を投資対象とするインデックスファンドは「楽天・全米株式インデックス・ファンド」のみですので、楽天・全米株式インデックス・ファンドに対する直接のライバルは存在しません(例えばeMAXIS slim 米国株式(S&P500)は500銘柄のみに投資するので、投資範囲が違います)。
アメリカのみに直接投資するメリットは?
なんだかんだ言っても、アメリカは世界経済の中心であり牽引役です。
「アメリカ市場に丸ごと投資して、経済成長の果実を受け取りたい」と考えたときに、楽天・全米株式インデックス・ファンドを選ぶのです。
これにより、株式会社アメリカというものを買うことになりますね。米国株といっても、個別企業では急激に株価が伸びたり、ずっと下がりっぱなしの株もあります。ですが米国株全体を買うことによりこれのリスクを低くすることができます。
kaedenaさんは「アメリカという会社を買うようなもの」と表していますね。
では、デメリットは?
楽天・全米株式インデックス・ファンドに投資したお金は全てアメリカ市場の影響を受けます。
分散性は「eMAXIS slim 先進国株式インデックス」や「ニッセイ外国株式インデックスファンド」など、「MSCI コクサイインデックス」に連動する投資信託に劣ります。
ただ、「MSCI コクサイインデックス」も約6割をアメリカ市場に依存(下図参照)するため、程度の差はあれ、アメリカの影響は避けられないですね。
楽天投信のファンドで言えば、「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」のほうが分散性が高めです。
- 楽天全世界:世界の企業の成長を、あなたの利益に
- 楽天全米:アメリカにある企業の成長を、あなたの利益に
仕組みは「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」と同じ
楽天・全世界株式インデックス・ファンド同様、楽天・全米株式インデックス・ファンドは米国バンガード社の「バンガード・トータル・ストック・マーケット(VTI)」に投資するのみです。
バンガード®・トータル・ストック・マーケットETF(pdf)
そのため、楽天・全米株式インデックス・ファンドは「楽天VTI投信」と呼ばれることもあります。
楽天・全米株式インデックス・ファンドを選ぶか?海外ETFの「VTI」に直接投資か?
VTIは、SBI証券や楽天証券、マネックス証券を利用することで直接投資することもできます。
ここでは、楽天・全米株式インデックス・ファンドを選ぶか、VTIを選ぶかを比較してみましょう。
楽天VTI投信 | VTIへの直接投資 | |
---|---|---|
運用する お金の単位 | 日本円 | 米ドル |
分配金 | (おそらく)無し | あり |
最低投資額 | 100円 | 146.09ドル (時価で変動) |
使える 非課税制度 | 一般NISA つみたてNISA ジュニアNISA | 一般NISA ジュニアNISA |
楽天・全米株式インデックス・ファンドを選ぶべきケース
- 日本円で運用したい
- 毎月積み立てて運用したい
分配金が欲しいならば、VTIへの直接投資のほうが良いかもしれません。
事実上のライバルは「iFree S&P500インデックス」と「eMAXIS slim 全米株式(S&P500)」
楽天・全米株式インデックス・ファンドの事実上のライバルは「iFree S&P500インデックス」と「eMAXIS slim 全米株式(S&P500)」です。
iFree S&P500 インデックス | 大和証券投資信託委託
「iFree S&P500インデックス」は全米の主要500銘柄に投資する商品で、時価総額ベースでは約8割をカバーします。
一方、「eMAXIS slim 全米株式(S&P500)」も全米の主要500銘柄を投資対象とします。
以下は楽天・全米株式インデックス・ファンドとiFree S&P500インデックス、eMAXIS slim 全米株式(S&P500)の特徴を比較したものです。
eMAXIS S&P 500 | iFree S&P 500 | 楽天全米 | |
---|---|---|---|
投資先 | 全米500銘柄 | 全米500銘柄 | 全米約4,000銘柄 |
純資産 | 181億円 | 72億円 | 415億円 |
信託報酬 | 0.1728% | 0.243% | 0.1596% |
楽天・全米株式インデックス・ファンドとiFree S&P500インデックス(およびeMAXIS slim 全米株式(S&P500))の商品性に基づき、それぞれ米国株ETFである「VTI」と「VOO」に見立て、比較を行いました。
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド:バンガードのETF「VTI(Vanguard Total Stock Market ETF)」に投資する
- iFree S&P500インデックス:S&P500の構成銘柄に投資するので、類似する米国ETFは「VOO(Vanguard 500 Index Fund)」
- Portfolio 1 : VTI・・・$24,175
- Portfolio 2 : VOO・・・$24,461
その結果、2011年からの運用成績はVTIもVOOもほぼ同じだとわかります。
同じ成績の場合、信託報酬が運用成績にかかわりますので、より信託報酬の低い楽天・全米株式インデックス・ファンドが有利になるかもしれません。
ほぼ誤差みたいなものですけどね。
「楽天・全米株式インデックス・ファンド」に毎月1万円投資すると20年後いくらに?
乱数シミュレーション(モンテカルロ法)にて、楽天・全米株式インデックス・ファンドの将来を予想しました。
以下で述べる結果は、あなたの将来の運用成績を保証・約束するものではありません。
米国の代表的な指数「S&P500」を利用する
「投信アシスト」や「myINDEX」では、CRSP USトータル・マーケット・インデックスのリスクとリターンを公表していないため、今回はアメリカのメジャーな指数の1つ「S&P500」のリスクリターンを使います。
米S&P社が提供する外国株式インデックス(米国株価指数)。
対象は新興市場を含む米国市場の全銘柄で、米国株式市場全体の時価総額上位85%をカバーする広範なインデックス。シリーズの中でも、S&P 500(S&P500種)は、1957年から算出され、50年以上歴史のある、米国市場を代表する有名なインデックス。
myINDEXによると、日本円ベースでの「S&P500(配当込み)」の過去20年間の成績は、
- リターン:6.6%
- リスク:18.6%
出典:S&P 500 (配当込み) (円) | myINDEX(2018年1月末時点)
でした。
リスクリターンから将来成績を求める
上記数値に基づき、リスクリターンから将来成績を求めると以下のようになります。
計算回数 | 1,000回 |
運用年数 | 20年 |
総投資金額 | 240万円 (1万円 × 12ヶ月 × 20年) |
最高評価額 | 3,602万円 (+3,362万円) |
最低評価額 | 86万円 (-154万円) |
平均評価額 | 508万円 (+268万円) |
元本割れ回数 | 126回 |
元本割れ確率 | 12.6% |
過去とさほど変わらない結果になると、240万円の投資に対して508万円となります。
このケースでは、
- 通常の積立投信なら、268万円の20.315%である約54万円を納税
- つみたてNISAなら、利益は全てあなたのもの!
というわけですね。
楽天・全米株式インデックス・ファンドの「見込み最大損失額」
以下は、myINDEXのリスクとリターンを使って、楽天・全米株式インデックス・ファンド(厳密にはS&P500)に投資した時に生じうる「見込み最大損失額」を算出しました。
過去のデータに基づく算出ですので、目安としてご覧ください。
楽天・全米株式 | |
---|---|
リターン(%) | 6.6 |
リスク(%) | 18.6 |
見込み最大損失額 (投資額の%) | 31 |
計算上、楽天・全米株式インデックス・ファンドの時価は、1年間で31%下落する可能性があります。
2008年のリーマンショックでは、急速な円高も重なり、円換算のS&P500は評価額の49%の下落を経験しました。
20年という長い目で見れば利回り約7%でも、単年でみればもっと大きな変動を経験する可能性があることは承知の上で投資なさってください。
どこで購入できる?
楽天・全米株式インデックス・ファンドはSBI証券や楽天証券など、ネット証券を中心に販売されています。
- HS証券
- SBI証券
- 岡三オンライン証券
- auカブコム証券(旧:カブドットコム証券)
- GMOクリック証券
- ジャパンネット銀行
- ソニー銀行
- 立花証券
- フィデリティ証券
- 松井証券
- マネックス証券
- 楽天証券
- 岩井コスモ証券
- 栃木銀行
SBI証券や楽天証券のつみたてNISAを利用して購入すると、ポイントがつくのでよりお得に運用できます。
iDeCoで購入したい場合は?
楽天証券のiDeCoプランにて購入できます。
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まとめ
- 楽天・全米株式インデックス・ファンドは「つみたてNISA」を使って「アメリカのみ」に投資できる貴重な投資信託。直接のライバル商品はない
- 「MSCI コクサイインデックス」と比較するとハイリスクハイリターンに。「iFree S&P500インデックス」よりはローリスクローリターンに
- アメリカの経済成長に期待するときに投資しよう
筆者個人としては、「分散性」を考慮して、楽天・全米株式インデックス・ファンドよりもMSCI コクサイインデックスに連動する投資信託を(eMAXIS slim 先進国株式など)を選びたくなります。
このあたりは個人の価値観もあるので、どちらが正解かは正直難しいところです。