為替の影響を抑えて先進国株式に投資したいならば、「たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>」が筆頭候補です。
「つみたてNISA」でも選択できるため、リスクを抑えて運用したい方に向いています。
あなたがこの記事をご覧になることで、「たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>」の商品性と、為替ヘッジの有無が将来の運用にどのような影響を与えるかを学ぶことができます。
業界のトップバッターになるような商品ではありませんが、痒いところに手が届くような、脇を固める商品の1つですので、知っておいて損は無いと思います。
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たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>とは
たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>(協会コード:4731116A)はアセットマネジメントOneが運営する、「つみたてNISA」対応の投資信託です。
たわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジあり> | アセットマネジメントOne
信託報酬などの基礎的なデータはこちらのページをご覧ください。
貴重な「為替ヘッジ付き」投信
たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>のライバルは?
そもそも、たわらノーロード先進国株式には以下の2種類あり、いずれも「MSCI コクサイインデックス」をベンチマークにしています。
- たわらノーロード先進国株式:為替ヘッジなし
- たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>:為替ヘッジあり
- いずれも日本を除く先進国の株式に投資する商品です
- 先進国のうち、約65%はアメリカ株式で、残りはEUや環太平洋の国々です
よく知られている「たわらノーロード先進国株式(為替ヘッジのないほう)」はニッセイ外国株式インデックスファンドやeMAXIS slim 先進国株式インデックスがライバル商品です。
一方、たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>のライバルは「iFree 外国株式インデックス(為替ヘッジあり)」や「Fund-i 外国株式・為替ヘッジ型」 です。
為替ヘッジの有無の違いから、たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>と、ヘッジのないニッセイ外国株式インデックスファンドやeMAXIS slim 先進国株式インデックスを直接比較することはできません。
為替ヘッジとは何か
為替ヘッジは、為替変動リスクを回避・低減するために行われます。
外貨の先物取引やオプション取引を利用して、為替変動リスクを回避すること。
海外資産に投資する場合、外貨建てでは運用収益が得られたとしても、為替変動により円換算すると資産価値が下がる可能性があり、為替ヘッジを行うことで、こうした損失を抑制できる。
通常、円高による為替差損を回避する目的で行われることが多く、外貨建て資産に投資をすると同時に外貨売り円買いの先物予約をして将来の為替変動に備える。その際、為替相場の円安局面で得られる為替差益は犠牲になる。また、為替ヘッジする際には2国間の短期金利差相当のヘッジコストがかかる。
出典:為替ヘッジ(かわせへっじ) | 野村證券
上記引用を要点だけまとめると、
- 円高による為替差損を回避できる(円高時に発生する損失を軽減する)
- 円安による為替差益は犠牲になる(円安時に発生する利益は少なくなる)
- 為替ヘッジに伴うコストが発生する(ヘッジコストは投資信託の利益を減らす)
為替の影響を極力無くすことで、基準価額の触れ幅を小さく抑えることができます。
つまり、為替ヘッジのない商品に比べて、ローリスクローリターンな成果を期待できるのです。
以下は、たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>の目論見書から引用した、主要資産クラスの年間騰落率(とうらくりつ)との比較を示した図です。
ここで注目すべきは、たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>(左の青)と先進国株(MSCI コクサイインデックス(ヘッジなし))の比較です。
為替ヘッジ付きのたわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>は最大値・最小値ともに低く抑えられ、商品価格(基準価額)のブレ幅が小さくなることで、より安定的に資産形成できる商品になっているのです。
ここまでまとめると
- たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>は、為替リスクの影響を取り除きつつ、先進国株式に投資
- 為替ヘッジすることで、円安で生じる利益が失われるが、円高での損失も軽減できる
毎月1万円投資すると20年後いくらに?
乱数シミュレーション(モンテカルロ法)にて、たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>の将来を予想しました。
以下で述べる結果は、あなたの将来の運用成績を保証・約束するものではありません。
MSCIコクサイインデックスの過去のデータを使う
今回はたわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>がベンチマークにする、MSCIコクサイインデックスの過去のデータを使います。
野村アセットマネジメントの投信アシストによると、為替ヘッジを行ったMSCIコクサイインデックス(円ベース・為替ヘッジあり)の2003年以降の成績は、
- リターン:8.4%
- リスク:13.2%
出典:投信アシスト | 野村アセットマネジメント(2018年3月27日時点・為替ヘッジあり)
でした。
また、同期間で為替ヘッジのなかったデータは、
- リターン:9.3%
- リスク:18.9%
出典:投信アシスト | 野村アセットマネジメント(2018年3月27日時点・為替ヘッジなし)
でした。
リスクリターンから将来成績を求める
平均リターンから将来の成績を見積もる
上記の数値に基づき、リスクリターンから将来成績を求めると以下のようになります。
ヘッジあり | ヘッジなし | |
---|---|---|
計算回数 | 1,000回 | 1,000回 |
運用年数 | 20年 | 20年 |
総投資金額 | 240万円 (1万円 × 12ヶ月 × 20年) | 240万円 (1万円 × 12ヶ月 × 20年) |
最高評価額 | 2,259万円 (+2,019万円) | 2,847万円 (+2,607万円) |
最低評価額 | 170万円 (-70万円) | 120万円 (-120万円) |
平均評価額 | 633万円 (+393万円) | 692万円 (+452万円) |
元本割れ回数 | 10回 | 51回 |
元本割れ確率 | 1.0% | 5.1% |
この2つの結果は、
- 為替ヘッジあり:たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>
- 為替ヘッジなし:たわらノーロード先進国株式
にそれぞれ対応します。
過去のデータも、また試算上の結果も、たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>はたわらノーロード先進国株式よりローリスクリーリターンになりやすいのです。
「リスク許容度」の低い投資家にとっては、ニッセイ外国株式インデックスファンドやeMAXIS slim 先進国株式インデックスよりも適した商品なのです。
ここまでまとめると
- 過去のデータもまた、たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>はたわらノーロード先進国株式よりローリスクローリターンになる可能性を示す
- ニッセイ外国株式インデックスファンドやeMAXIS slim 先進国株式インデックスなどの有名投信よりも利益は少なくなります
たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>に投資して失敗しないために
たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>に投資して「失敗した!!」と後悔しないために、上手くいかなかったときのケースも考えておきたいと思います。
「投資はいつも儲かる」とは限らないので、ダメだったときのことを検討するのも大切なんです。
どのような理由で値下がりするか
先進国の株式へ投資する商品ですので、株価が基準価額に大きく影響を与えます。
- 株価リスク:アメリカやEU諸国の株式市場が値下がりすると、基準価額も下がります
為替ヘッジのおかげでローリスクではあるものの、それでも1日で投資額の1~2%程度の値動きを経験することもあります。
「株式に投資する商品の中ではローリスク」であるとお考えください。
1年間で生じる「見込み最大損失額」はいくらか
投信アシストのリスクとリターンを使って、投資した時に生じうる「見込み最大損失額」を算出しました。
仮に1年間で「酷い下落相場」を経験した際、投資額のいくらを失うかを求めたもので、過去のデータに基づく算出ですので、目安としてご覧ください。
たわら | |
---|---|
リターン(%) | 8.4 |
リスク(%) | 13.2 |
見込み最大損失額 (投資額の%) | 18 |
計算上は、1年間で18%下落する可能性があります。
参考までに、2008年のリーマンショックでは、急速な円高も重なり、円換算のMSCIコクサイインデックス(ヘッジ有り)は1年間で評価額の40%の下落を経験しました。
本商品よりもう少し元本保全性を重視するならば、債券にも投資を行うバランスファンドを選ぶことになります。
どこで売ってる?
SBI証券や楽天証券を筆頭に、複数の証券会社や銀行で販売しています。
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まとめ
- たわらノーロード先進国株式<為替ヘッジあり>は、為替の影響を抑えて先進国株式に投資するための商品
- 主なライバルはiFree外国株式インデックス(為替ヘッジあり)など。eMAXIS slim 先進国株式インデックスなどとは運用方針が異なっている点に注意
- 為替ヘッジの分だけ、リスクとリターンが下がる。とはいえ、株式そのもののリスクは大きいので、より低リスクさを重視するなら、債券を含むバランスファンドを検討しよう
投信ブロガーは為替ヘッジのない商品(例えばeMAXIS slim 先進国株式インデックスなど)を選んで、積極的にリターンを狙うポートフォリオ(アセットアロケーション)を組んでいることが多いです。
とはいえ、全ての投資家が積極的にリスクをとれるとは限らないので、「もっとミドルリスクミドルリターンな商品が無いかな」と思ったときに選択肢の1つに加えて良いと考えます。
あなたが40代か50代で、投資に振り回されずに資産形成に取り組みたいと考えたときに、選択肢の1つになると思います。