【モンテカルロ】投資信託のシャープレシオと元本割れ率の関係

シャープレシオと元本割れ率(%)の関係モンテカルロシミュレーション

今回は、投資信託のシャープレシオを見ただけで、将来の元本割れ率を簡単に想像できるようになろうという話です。

乱数で投資信託の将来成績を予測する「モンテカルロシミュレーション」を利用して、いくつかの条件別に求めてみました。

モンテカルロシミュレーションは、シミュレーション対象から得られる結果が正規分布になることを前提にしています。

本記事では投資信託の運用成績が正規分布になることを前提に計算しますが、事実としてはそうなっていない可能性もありますので、あくまで予備知識ということでご覧ください。

【モンテカルロ】投資信託の運用成績は本当に正規分布になるのか検証してみた
過去2つの記事で、モンテカルロ法を用いた投資信託の将来の予想元本割れ率の推移を紹介しました。 投資信託の将来予測において、モンテカルロシミュレーションを利用する際には、その運用成績が正規分布になることを前提に行ないます...

以下、つみたてNISAで購入できるインデックスファンドを運用することを念頭に話を進めます。

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シャープレシオとは

シャープレシオとは投資信託の成績を表す指標の1つ

リスク(標準偏差)1単位当たりの超過リターン(リスクゼロでも得られるリターンを上回った超過収益)を測るもので、この数値が高いほどリスクを取ったことによって得られた超過リターンが高いこと(効率よく収益が得られたこと)を意味します。異なる投資対象を比較する際に、同じリスクならどちらのリターンが高いかを考えるときに役立ちます。
このシャープ・レシオは、リスク調整後のリターンを測るものとして、投資信託の運用実績の評価などにも利用されます。

出典:シャープ・レシオ | SMBC日興証券

シャープレシオは投資信託の過去の運用成績を評価する際に利用する数値で、高い数値になるほど、リスクを抑えて安定的なリターンを得た結果であることを示します。

例えば、myINDEXのデータによると、過去20年の下記の資産クラスのシャープレシオは

  • 日本株:0.26
  • 先進国株:0.32
  • 新興国株:0.38
  • 日本債券:0.76
  • 先進国債券:0.33
  • 新興国債券:0.67

だそうです(2018年11月12日現在)。

無リスク資産のリターンを0とした場合、シャープレシオが1を超えると「リスク<リターン」となり、絶対に儲かる資産クラスになります。

短期的に1以上になることは大いにあるでしょうが、10年や20年といった長いスパンで見た場合には、0.2~0.8ぐらいの間に収まるのが普通です。

切り取るスパンによって数値が変わるので、慎重に扱ったほうが良いデータです。

シャープレシオを扱う際の注意点

日経新聞のサイトでは、シャープレシオを扱う際に以下のような点に注意すべし、と書かれています。

  • リターンがマイナスになると、リスクが高いほどシャープレシオが高くなってしまう
  • シャープレシオだけでは、ハイリスクハイリターン or ローリスクローリターンの判別が難しい
  • シャープレシオは過去の数字から求めるもので、将来の成績を保証するものではない

出典:運用効率を測るシャープレシオ(気になる投信用語) | 日本経済新聞

シャープレシオ別に元本割れ率を求める

さて、本題。

今回はシャープレシオのスコア別にモンテカルロ法を行い、元本割れ率がどのように変化するかを調べてみました。

入力データ

リターンとリスクから求まるシャープレシオを「0.2~0.8(0.1刻み)」で用意し、各データをモンテカルロで計算します。

入力データ
リターン
(%)
リスク
(%)
シャープレシオ
2100.2
3100.3
4100.4
5100.5
6100.6
7100.7
8100.8

これを、

  • 1年
  • 5年
  • 10年
  • 20年
  • 30年

の5つの年数で運用し、それぞれの元本割れ率がどのように変化するかを求めます。

なお、1データあたりの計算回数は10,000回です。

検証PCはちょっと古いCore i7ですが、それでも1万回の計算は時間がかかりますね。

計算結果

というわけで、図にしましたのでどうぞ。

シャープレシオと元本割れ率(%)の関係

基本的に言えることとして、

  • 運用年数が長くなるほど、元本割れで終わる可能性は低くなる
  • シャープレシオが高いほど、元本割れで終わる可能性は低くなる

の2点があります。

つみたてNISAの運用期限である20年の場合、シャープレシオが0.45程度より小さい場合には、元本割れで終わる可能性が5%以上残ります。

先に述べた株式のシャープレシオは0.2~0.4程度なので、20年運用し終えても元本が割れている可能性は否定できません。

つみたてNISAは20年間の制度ですが、投資信託の運用も20年で終える必要はまったくないので、できる限りは長く運用し続けたいと感じる結果ですね。

つみたてNISAの運用期限である20年運用終了時点での元本割れ率
リターン
(%)
リスク
(%)
シャープレシオ元本割れ率
(%)
2100.225.6
3100.315.3
4100.47.9
5100.53.4
6100.61.4
7100.70.4
8100.80.1

以下は上記グラフの元になったデータです。

シャープレシオと運用年数別元本割れ率(%)の関係
0.20.30.40.50.60.70.8
1年41.4538.1334.7931.0427.6624.0621.55
5年36.9628.7122.7217.9612.68.385.6
10年31.7822.6915.179.575.923.201.43
20年25.6315.327.873.351.400.420.05
30年22.5210.913.921.170.430.100.02

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まとめ

  • シャープレシオは投資信託の運用効率を図る際に使われる指標の1つ。数値が高いほど、価格変動を抑えつつ、安定的なリターンを出してきた商品と言える
  • シャープレシオは過去のデータから求まるもので、将来の成績を保証するものではない。あくまで過去の運用効率が良かった or 悪かったというだけ
  • 投資信託の運用成績が正規分布になると仮定した場合、つみたてNISA終了後(20年経過後)でも元本が割れている可能性は5%以上ぐらい。計算上はもっと長く運用したほうが良い

今回は掲載したグラフの結果を知りたかっただけなので、それ以上書くことがないです。

いろんな研究成果にもあるように、できるだけ長く運用することを心がけよう、ということで。

余談:シャープレシオを高める方法はあるか

誰でも簡単にできるシャープレシオを高める方法は、運用コスト(信託報酬 + 実質コスト)の低い投資信託を運用すること

あなたがこれから投資信託を選ぶ際には、選択時点で一番コストのかからない投資信託を選ぶことを心がけると良いと思います。

それ以外の方法は微妙です。

過去のデータに基づく限りは債券をポートフォリオに入れてやることなのですが、例えば日本債券がマイナス金利になるほどに価格が上昇してしまい、扱いにくい商品になってしまいました。

書籍「インデックス投資は勝者のゲーム(2018年)」では、今後10年間の株式のリターンは低めになるだろうと見積もられており、現在よりもシャープレシオは低下する可能性さえもあります。

といった状況も踏まえると、低コストな投資信託を選んだら、シャープレシオで右往左往せずに、ただひたすらに投資し続けることが最良かもしれませんね。

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