2019年7月22日より、たわらノーロードシリーズより「たわらノーロード全世界株式」の販売が開始されました。
「たわらノーロード全世界株式」はその名の通り「全世界株式」に投資する商品で、以下の商品がライバルです。
- eMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド(いわゆる楽天VT投信)
- SSGA全世界株式インデックス・ファンド
- バンガード・トータル・ワールド・ストック(VT)
2019年11月現在で、本商品は純資産が伸びておらず、低コストなものの販促では完全に失敗しています。
残念ながら、登場が遅すぎましたね。
この記事では、一緒に「たわらノーロード全世界株式」および全世界株式の特徴について見ていきましょう!
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たわらノーロード全世界株式とは
たわらノーロード全世界株式とは、アセットマネジメントOneが設定する投資信託の1つで、低コストインデックスファンドシリーズ「たわらノーロード」の1つです。
たわらノーロードシリーズは同社の低コストインデックスファンドシリーズで、業界最低とは言わないものの、全体的に信託報酬の抑えられたファンドがそろえられています。
最小分散ファンドや為替ヘッジファンドなど、他社にはないファンドを扱っているのも特徴です。
信託報酬や純資産などの基本情報
購入手数料 | 0% (ノーロード) |
信託報酬 実質コスト | 0.132% – |
信託財産留保額 | 0% |
換金手数料 | 0% |
運用期限 (償還日) | 無期限 (償還なし) |
基準価額 | アセマネOne公式 |
純資産(ベビー) 純資産(マザー) | 1.5億円 – |
SBI証券ランキング つみたてNISA 設定件数 | – |
信託報酬は脅威の0.1296%!この低コストさに対抗するため、eMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)も信託報酬の引き下げを発表するほどです。
信託報酬ランキング(2019年11月)
7位
SBI証券で2019年11月6日時点で取り扱う153本のつみたてNISA対象投信との比較。
マザーファンド
たわらノーロード全世界株式のマザーファンドは以下の3本から構成されています。
- 外国株式パッシブ・ファンド・マザーファンド:先進国株式部分。たわらノーロード先進国株式と共通
- エマージング株式パッシブ・マザーファンド:新興国株式部分。たわらノーロード新興国株式と共通
- MSCIジャパン・インデックス・マザーファンド:日本株式部分。(おそらく)新設
たわらノーロード全世界株式の投資先
たわらノーロード全世界株式は日本を含む先進国と新興国の株式に投資します。おおよそ以下で着色した国々が投資対象です。
全世界株式の時価総額の半分はアメリカです。そのため、たわらノーロード全世界株式もおおよそ資産の半分をアメリカに投資し、残りの半分を日本や欧州諸国、そしてインドや中国、台湾などの新興国に投資します。この商品は日本にも投資しますので、文字通り全世界株式が投資対象なのです。
オールカントリーを参考にすれば、先進国・日本・新興国の比率はおおよそ以下の比率になります。
- 先進国:81%(このうちおおよそ6割超がアメリカ)
- 日本:7%
- 新興国:12%
たわらノーロード全世界株式のベンチマークはMSCI ACWI(オールカントリーワールドインデックス)です。
一般にはACWI連動の投資信託は日本を除く場合が多い(ACWI(除く日本))のですが、繰り返すようにこの投資信託は日本も含みます。
他のたわらノーロードシリーズとの投資先の違い
混乱しやすい他のたわらノーロードシリーズとの違いを簡単に表にまとめます。
商品名 | 日本 | 先進国 | 新興国 |
---|---|---|---|
全世界株式 | ○ | ○ | ○ |
日経225 | ○ | × | × |
TOPIX | ○ | × | × |
先進国株式 (為替ヘッジなし) | × | ○ | × |
先進国株式H有 (為替ヘッジあり) | × | ○ | × |
NYダウ ※つみたてNISA非対応 | × | ○ (米国のみ) | × |
主なライバル商品
たわらノーロード全世界株式の主なライバル商品は以下の通り。
- eMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド(いわゆる楽天VT投信)
- SSGA全世界株式インデックス・ファンド
- バンガード・トータル・ワールド・ストック(VT)
eMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)が信託報酬の引き下げを発表したため、2019年8月9日以降はたわらノーロード全世界株式と同じ信託報酬になります。たわらノーロード全世界株式の商品としては魅力ですが、まだ新規設定されたばかりのため、今のところはeMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)を選んでおくのがベターだと思います。
たわらノーロード全世界株式の将来予想
20年後の運用予測
アセロラを使って将来を予測してみましょう。アセロラの元データはJPモルガンアセットマネジメントの超長期マーケット予測2019を利用しています。
全世界株式 | |
---|---|
リターン | 4.40% |
リスク | 19.09% |
1年間の見込み損失額 | 投資額の33.8% |
※JPモルガンAMの超長期マーケット予測2019のデータを利用
ここでは、毎月1万円を20年間積み立てた場合の将来予測を求めてみました。
以下で述べる結果は、あなたの将来の運用成績を保証しませんので参考程度にご利用ください。
20年後はいくらに?
出典:JPモルガンAMの超長期マーケット予測2019のデータを利用しアセロラで算出
出典:JPモルガンAMの超長期マーケット予測2019のデータを利用しアセロラで算出
この計算では、240万円(毎月1万円 × 12ヶ月 × 20年)の積み立てに対し、中央値で331.2万円、平均388.8万円の運用成績になりました。うまく行けば、20年で投資額の1.5倍~2倍近くに達する可能性があります。
一方、20年後の元本割れの確率は27.1%でした。元本が割れて終わった場合、下位10%の運用成績は174万円(-66万円)ですので、大きく元本を割り込む可能性があります。
暴落回復シミュレーション
毎月1万円ずつ積み立てていたとして、仮にリーマンショックと同等の下落を経験したときに、その後何年含み損が続くかを求めてみました。今回のポートフォリオでは、運用5年目に-50.3%のリターン(投資額が半減)になるものと仮定します。
この計算では、5年目(暴落発生時)に全てのデータが含み損になります。その後、50%のデータが回復するのは13年目(暴落発生から8年目)です。一方、40%のデータはその後20年目まで運用しても含み益に戻りませんでした。
「インデックス投資(つみたてNISA)は機械的に積み立てよう」とは言われるものの、できれば暴落は回避したいなと思う結果ですね。
暴落シミュレータは今後作りたいツールの1つ。
結果として、たわらノーロード全世界株式は買いなのか
商品としては良いと思いますが、純資産ベースではeMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)が先行していますので、敢えてこちらを選ぶ強いメリットは今のところないと思います。
商品の特徴自体はどちらも同じですので、「いや、自分は三菱UFJ国際投信のやり方が嫌いなんだ」という方はこちらをお選びください。
購入は楽天証券かSBI証券から
たわらノーロード全世界株式は楽天証券とSBI証券で販売しています。
販売会社 | たわらノーロード全世界株式 | アセットマネジメントOne
楽天証券なら楽天カードを使って積立投資すると楽天スーパーポイントが付与されるのでお得です。
数日遅れましたが、SBI証券でも販売が開始されました。
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まとめ
- つみたてNISA対応のたわらノーロード全世界株式は、日本を含む先進国と新興国の株式に投資。MSCI ACWIをベンチマークにする
- ライバルはeMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンド(いわゆる楽天VT投信)など。特にオールカントリーは直接的なライバル
- 商品性自体は悪くないが、後発という理由から、通常はオールカントリーを選んでおけば良いと思う
個人的な希望としては、この商品を銀行窓口やネットバンキングでも販売して欲しいですね。そうすれば純資産などすぐに集まるので、オールカントリーの強力なライバルになると思うのです。
残念ながらどの投信会社も低コストファンドを銀行(特に窓口)で売らないことが多いので、結局ネット証券依存になってしまい、知名度で負けてしまうことが多いと感じます。
この商品にはオールカントリーを刺激する強力なライバルとして頑張って欲しいです。