正直存在感がありませんが、「SSGA全世界株式インデックス・ファンド」は画期的な商品になるはずでした。というのも、この商品は「つみたてNISA」対象商品としては初めて、文字通り「全世界株式」に投資できる商品だったからです。
しかし現在は、
- eMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド(いわゆる楽天VT投信)
- たわらノーロード全世界株式
などの低コストなライバル商品に後塵を拝する形となってしまいました。
SSGA全世界株式インデックス・ファンドはネット証券ほか、いくつかの銀行で購入できるため、上記3種のライバル商品が売ってない場合に限り、選択肢に入れて良いと思います。
なお、他の全世界株式ファンドについては以下の記事もご覧ください。
では、特徴を詳しく見ていきましょう!
[スポンサーリンク]
SSGA全世界株式インデックス・ファンドとは
SSGA全世界株式インデックス・ファンドとは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)が設定する投資信託の1つです。
日本ではあまりなじみがありませんが、SSGAは世界(米国)では屈指の資産運用会社で、特に海外ETF(米国ETF)を購入する際に目にすることが多い企業です(SPDRシリーズ)。
信託報酬や純資産などの基本情報
購入手数料 | 0% (ノーロード) |
信託報酬 実質コスト | 0.528% 0.608% |
信託財産留保額 | 0.3% |
換金手数料 | 0% |
運用期限 (償還日) | 無期限 (償還なし) |
基準価額 | SSGA公式 |
純資産(ベビー) 純資産(マザー) | 13億円 後述 |
SBI証券ランキング つみたてNISA 設定件数 | ランク外 |
信託報酬が0.5%台(税込)と、低コストさを争うeMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)やたわらノーロード全世界株式に比べて若干高コストです。この点が、SSGA全世界株式インデックス・ファンドがつみたてNISAの標準的なファンドになれなかった要因です。
信託報酬ランキング(2019年11月)
108位
SBI証券で2019年11月6日時点で取り扱う153本のつみたてNISA対象投信との比較。
マザーファンド
SSGA全世界株式インデックス・ファンドのマザーファンドは以下の3本から構成されています。
- 外国株式インデックス・オープン・マザーファンド(1,551億円):先進国株式部分
- エマージング株式インデックス・ファンド(53億円):新興国株式部分
- ジャパンエクイティ・インデックス・マザーファンド(67億円):日本株式部分
SSGA全世界株式インデックス・ファンドの投資先
SSGA全世界株式インデックス・ファンドは日本を含む先進国と新興国の株式に投資します。おおよそ以下で着色した国々が投資対象です。
全世界株式の時価総額の半分はアメリカです。そのため、SSGA全世界株式インデックス・ファンドもおおよそ資産の半分をアメリカに投資し、残りの半分を日本や欧州諸国、そしてインドや中国、台湾などの新興国に投資します。この商品は日本にも投資しますので、文字通り全世界株式が投資対象なのです。
オールカントリーを参考にすれば、先進国・日本・新興国の比率はおおよそ以下の比率になります。
- 先進国:81%(このうちおおよそ6割超がアメリカ)
- 日本:7%
- 新興国:12%
SSGA全世界株式インデックス・ファンドのベンチマークはMSCI ACWI(オールカントリーワールドインデックス)です。
一般にはACWI連動の投資信託は日本を除く場合が多い(ACWI(除く日本))のですが、繰り返すようにこの投資信託は日本も含みます。
SSGA全世界株式インデックス・ファンドの主なライバル商品は以下の通り。
- eMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド(いわゆる楽天VT投信)
- たわらノーロード全世界株式
- バンガード・トータル・ワールド・ストック(VT)
eMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)やたわらノーロード全世界株式は信託報酬0.1%台で楽天・全世界株式インデックス・ファンドも信託報酬0.2%台で購入できます。信託報酬が低いほど私たち個人投資家が享受する利回りは高くなりますから、特別な理由が無い限りeMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)を選ぶのがベターです。
SSGA全世界株式インデックス・ファンドの将来予想
20年後の運用予測
アセロラを使って将来を予測してみましょう。アセロラの元データはJPモルガンアセットマネジメントの超長期マーケット予測2019を利用しています。
全世界株式 | |
---|---|
リターン | 4.40% |
リスク | 19.09% |
1年間の見込み損失額 | 投資額の33.8% |
※JPモルガンAMの超長期マーケット予測2019のデータを利用
ここでは、毎月1万円を20年間積み立てた場合の将来予測を求めてみました。
以下で述べる結果は、あなたの将来の運用成績を保証しませんので参考程度にご利用ください。
20年後はいくらに?
出典:JPモルガンAMの超長期マーケット予測2019のデータを利用しアセロラで算出
出典:JPモルガンAMの超長期マーケット予測2019のデータを利用しアセロラで算出
この計算では、240万円(毎月1万円 × 12ヶ月 × 20年)の積み立てに対し、中央値で331.2万円、平均388.8万円の運用成績になりました。うまく行けば、20年で投資額の1.5倍~2倍近くに達する可能性があります。
一方、20年後の元本割れの確率は27.1%でした。元本が割れて終わった場合、下位10%の運用成績は174万円(-66万円)ですので、大きく元本を割り込む可能性があります。
暴落回復シミュレーション
毎月1万円ずつ積み立てていたとして、仮にリーマンショックと同等の下落を経験したときに、その後何年含み損が続くかを求めてみました。今回のポートフォリオでは、運用5年目に-50.3%のリターン(投資額が半減)になるものと仮定します。
この計算では、5年目(暴落発生時)に全てのデータが含み損になります。その後、50%のデータが回復するのは13年目(暴落発生から8年目)です。一方、40%のデータはその後20年目まで運用しても含み益に戻りませんでした。
結果として、SSGA全世界株式インデックス・ファンドは買いなのか
繰り返すように、信託報酬が高いためにeMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンドほどの優位性がありません。強いて挙げれば、一部都市銀行でも購入できる点がメリットですので、あなたがその都市銀行利用者である場合に選択の余地があると思います。
購入できる金融機関
SSGA全世界株式インデックス・ファンドは2019年7月23日時点で主要ネット証券と一部の都市銀行で販売しています。
- SBI証券
- auカブコム証券(旧:カブドットコム証券)
- 静岡銀行
- 中国銀行
- 東京スター銀行
- 東北銀行
- 松井証券
- マネックス証券
- 三井住友信託銀行
- 楽天証券
楽天カードを使って積立投資すると楽天スーパーポイントが付与されるのでお得ですが、楽天証券で買うならeMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)を買ったほうが良いです。静岡銀行や中国銀行などの都市銀行を利用する際には検討の余地ありです。
[スポンサーリンク]
まとめ
- つみたてNISA対応のSSGA全世界株式インデックス・ファンドは、日本を含む先進国と新興国の株式に投資。MSCI ACWIをベンチマークにする
- ライバルはeMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンド(いわゆる楽天VT投信)など。残念ながら信託報酬の高さゆえに競争力がない
- ネット証券で購入するならオールカントリーを。地方銀行でSSGA全世界株式インデックス・ファンドが扱われている場合に限り、検討候補に入れて良い
つみたてNISA対象のインデックスファンドとしては、信託報酬がやや高い部類に属するのが残念な点ですね。当初登場時はSNSでも話題になったのですが、その3週間後に登場した楽天・全世界株式インデックス・ファンドに話題をかっさらわれたのを今でも覚えています。
あなたがネット証券を利用する限り、本商品の購入を検討する必要はありません。販売対象の地方銀行利用時にはチェックしてみても良いと思います。