1987年以降の「3地域均等型とオールカントリー」を比較しました。あまり3地域均等型のことを話題にする方はいないのですが、全世界株式の1つの商品ということで比較してみたくなったのです。
★使った指数とその保有比率
- 3地域均等型(Japan 33% + Kokusai 34% + Emerging Market 33%)
- オールカントリー:ACWI 100%
いずれもドル建てとする
eMAXIS slim 全世界株式(3地域均等型)やeMAXIS slim 全世界株式(オールカントリー)が設定されたのはここ数年のことで、バックテストするにはあまりにも期間が短すぎます。
そこで、ベンチマークのデータを活用し、3地域均等型やオールカントリーを模したアセットアロケーションから、「もしも1987年から商品があったら」との仮定でパフォーマンスを比較してみました。
結論を述べると、今後も米国株の天下が続くと予想するならオールカントリーを、次に利益の出る市場がどこかわからない場合には3地域均等型を選んだほうが合理的です。
では、一緒に見ていきましょう!
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比較結果
3地域均等型 | オールカントリー | |
---|---|---|
標準偏差※ | 5.25 | 4.37 |
利回り (5年) | 4.4% | 5.1% |
元本割れ率 (5年) | 23.6% | 23.3% |
利回り (10年) | 5.0% | 5.0% |
元本割れ率 (10年) | 1.5% | 8.6% |
※1か月の値動きの大きさ。数値が小さいほど穏やか。
掲載したデータの範囲内では、オールカントリーが優れました。特に標準偏差が小さくなっています。これは3地域均等型が新興国株式を多く含むため、値動きが大きくなっている点が挙げられます。
以下は3地域均等型とオールカントリーの保有期間と運用利益(投資した金額が何倍になったかを示します。1を割ると元本割れ)の関係です。
上図では長期間保有するほど最大値から最小値まで、3地域均等型の成績がやや高くなる傾向にあります。特に3地域均等型の最大リターンは、保有期間が15年を超えるとかなり上振れしていますね。これは新興国株式の爆発力のおかけかもしれません。
一方、最大値から最小値までのブレが小さく抑えられているのがオールカントリーです。オールカントリーの構成国の比率は、時価総額で変わりますが、おおよそ米国株を主体に構築されています。そのため、米国株の安定さが影響してそうです。
この結果はドル建てなので、為替の影響で安定的に見えている可能性があります。
以下は3地域均等型とオールカントリーの保有期間と元本割れ確率の関係です。だいたい15年ほど保有すれば、どんなに悪いタイミングであっても(ドル建てでは)元本割れしなくなります。
1987年から投資した場合
仮に、1987年末から3地域均等型とオールカントリーに投資した時の成績は以下のようになります。この期間であれば3地域均等型が上回ります。
なぜ、3地域均等型が良い成績だったのでしょう?それはこの期間に日本株や新興国株式のバブルがあったためです。
米国株を主体にしたオールカントリーは、米国株のリターンを大きく受け取れるものの、それ以外の市場のリターンがどうしても小さくなってしまいます。一方、3地域均等型は米国株のリターンこそ控えめながら、日本株や新興国株式のリターンはオールカントリーよりも受取りやすいのです。
つまり、今後も米国株の天下が続くと予想するならオールカントリーを、次に利益の出る市場がどこかわからない場合には3地域均等型を選んだほうが合理的です。
ちなみにある一点を基準にしたグラフは不公平なので、1年間保有した時のリターンをつないだグラフも紹介しましょう。
このグラフを見ると、オールカントリーが上回る時と、3地域均等型が上回る時が交互にあることがわかります。ただ、意外にも全体的にはそこまで大差がありませんね。
3地域均等型は上下へのブレが大きいので、その点はやはり新興国株式の影響なんだと思います。
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まとめ
- 1987年にeMAXIS slim 全世界株式(3地域均等型)やeMAXIS slim 全世界株式(オールカントリー)があったとして、パフォーマンスを比較
- 3地域均等型は最大リターンの上振れが大きい。それ以外のリターンは意外にもオールカントリーとそこまで変わらない
- オールカントリーは米国のリターンを受け取りやすく、それに対して3地域均等型は日本株や新興国株式のリターンを受け取りやすい
3地域均等型はいいですね!売れてない商品のイメージが強かったものの、ちょっと乗り換えたくなりました。値動きはやや大きいですが、今のところはうまく回っているように思います。
一方、オールカントリーは米国株偏重な商品ですので、現在の市況では支持されやすいですね。
どちらが勝つかは、米国市場の株高がどこまで続くかにかかっていると思います。
3地域均等タイプと時価総額型の全世界株式の具体的な商品の比較は以下をご覧ください。
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