大丈夫だ、問題ない。
@DIMEというメディアで「デメリットも確認を!これから始めたい人のための「つみたてNISA」入門(筆:大堀貴子氏)」という記事が2019年11月8日に配信されていたのですが、記事の内容に疑問を感じるものだったので、紹介したく思います。
デメリットも確認を!これから始めたい人のための「つみたてNISA」入門 | DIME
記事そのものは読んでもらうとして、概要だけ紹介すると以下の通り。
- まずつみたてNISAの特徴を解説(よくある話)
- しかし、今は相場が高値でつみたてNISAをはじめるタイミングが悪い(えっ!?)
- つみたてNISAよりも一般NISAで下落相場に賭けよう(マジっ!?)
つみたてNISA入門なのに、結論が「一般NISAを始めよう」にすり替わっていて、なぜか丁寧につみたてNISAのやめ方まで紹介されています。
つみたてNISA入門なのに??
記事の主張に従うと、投資家は定期的に相場やファンダメンタルズ(業績・経営状況)などをチェックする投資を選ぶことになります。
しかし、それはつみたてNISAとはまったく逆向きの運用手法なので、もうちょっとつみたてNISA側の「言い分」をフォローしたいと思いました。
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つみたてNISAは将来の株価を予想しない投資
将来から振り返ったときに現在は高値と言えるのか
まだまだ値上がりする可能性はありますが、こういった高値圏で、長期積立を始めてしまうと、最初の1、2年に高い価格で買ってしまう可能性があります。
例えば、基準価額が1万円で毎月3万円分1年間買付して、翌年8,000円に下がってしまった場合、7万円損してしまいます。
したがって、つみたてNISAは、景気悪化などで大きく下がった後に始めた方が、運用益は良くなると考えられ、今始めるべきではないと考えられます。
確かに、過去数年の株価から見ると、現在の株価は高値です。
ダウ工業株価はここ数日でも史上最高値を記録したばかりですし、日経平均株価もバブル後最高値に近い水準にあります。
ですが、将来から振り返って現在の株価を見たときに、現在の株価が高値だと言えるのでしょうか。
正直なところ、それは私たちにはわからないはずです。
ちょっと逆のことも考えてみましょう。
例えば、大堀貴子氏の記事通りに1年後に株価が下落したとします。
その場合、今度は「株価はもっと下がるのではないか」と怖くなってしまい、つみたてNISAを始めるのは難しくなると思いませんか。
「高値」と同じように、どこが株価の底かも、やはり過ぎ去ってみなければ分からないのです。
今でこそ「リーマンショック後に買っておけば」と言えますが、リーマンショック当時に「株を買おう」と言えた猛者は極少数です。
つみたてNISAの始め時を株価から判断しないほうが良い
今の相場が高値なのか安値なのかわからないからこそのつみたてNISA。
つみたてNISAは将来の相場を予想しないことを前提に行なう投資です。
だから「ドル・コスト平均法」という考え方があり、毎月積み立てることで、購入タイミングのリスクを分散させているのです。
記事中でもドル・コストのメリットを紹介しているはずなんですが。
もちろん、将来の価格を予想してトレードしても良いのですが、そういう人にはつみたてNISAは合わないと思います。
「今が高値だから」と言う人はたまにいる
週刊誌などのコンテンツで「今は高値だから投資を始めるべきではない」と述べる人はたまにいます。
以下の記事では、ある金融商品 = つみたてNISAを利用すべきでない3つの理由を述べ、そのうち1つに「安いときに買うべき」と述べています。
株高の今だからこそ手を出してはいけない、ある「金融商品」 | マネー現代
投資商品の最も合理的な買い方は、高かったら買わない、安ければ買うという方法。下がっている1月から9月までは買って、10月、11月、12月という高くなる期間は買わないほうが、投資としては儲かることは誰にでもわかるでしょう。
毎月1万円の投資資金があるなら、何も毎月同じ日に高くても安くても買って投資コストを上げなくても、安い時だけ買えばいいではないでしょうか。
つまり、(ドル・コスト平均法は)投資商品の買い方としては、合理的ではないということです。
確かに、投資は安いときに買って、高いときに売れば利益が出ます。
でも、今が安いか高いか、誰でも簡単に判断できたら苦労しないですよね。
この記事が出たのは2017年11月のことで、日経平均株価が16連騰を記録した少し後のことです。
日経平均株価はその後停滞しましたが、世界的には株価はさらに上昇し続けたのです。
つまり、eMAXIS slim 先進国株式インデックスなどを買っていたら儲かっていたわけで、2017年が「株高」との判断は不適切でした。
正直、こういう話は週刊誌が売れれば良いので、いつも的中するとは限らないんですよね。
なお、計算はしていませんが、日経平均株価を「買った」としても、2019年11月時点では利益が出ていると思います。
現代の記事を書いた荻原博子氏は「アンチ投資」で有名なので、投資を推奨する記事は書かないと思いますw
情報を鵜呑みにしないように注意してほしい
(弊ブログの読者様にはいらっしゃらないと思いますが)大堀貴子氏の記事を見て「じゃあインバースETFでもを買おうか」と思った人は注意が必要です。
(一般)NISAは、つみたてNISAより投資対象が豊富なため、金融危機時に値上がりする可能性のある、金に投資する投資信託、ベア型(インバース)ETF・投資信託などに投資できます。
★インバースETF(ベアETF)とは?
株価が下がると儲かるETFのこと。今後株価が下がると予想してインバースETFを買っておくと、将来利益が出ますよね。と言う話。
というのも、氏が提案する運用方法は、定期的に株価やファンダメンタルズを見て、売り買いのポジションを変えなければいけない方法だからです。
当然これは仕事の合間にチェックしなければいけないことなので、相場に向きあう労力がかかります。
そのため、楽をしようとすると、おおよそ誰かの投資判断のマネをすることになります。
誰かの投資判断に便乗する投資は楽なのですが、いつまで経っても自分の経験になりませんし、うまくいくとも限りません。
個人的には、必ずあなた自身が必ず考えて解釈した上で、判断を取るべきだと思っています。
安易なまねっこはオススメできません。
#拡散希望️
個別株や高配当株投資(ETF除く)されている方に質問です。投資先の経営状況をどうやって調べていますか?
他に方法あればリプお願いしますm(_ _)m
— ナザール@積立投資で3,000万円作る (@invester_Nazal) November 7, 2019
★投票結果(投票数:199)
- 財務諸表を見てます!:18%
- スクリーニングサイトや四季報:19%
- 有名ブロガーのマネ:34%
- 回答見る:30%
そういった状況判断ができなければ、つみたてNISAをお選びください。
つみたてNISAは相場の価格を気にしないので、株価やファンダメンタルズを調べる必要もないからです。
もちろん、私の言葉だけを信じる必要もありません。
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まとめ
- 現在が高値か安値かを判断するのは難しい。将来振り返ったときに、現在の株価は必ずしも高値とは限らない
- つみたてNISAは現在の株価の判断をしない。「割安になったら始める」といった考え方はしない
- 投資の判断を誰かに委ねないほうがよい。必ず自分自身で考えて運用すること。それが難しいなら、つみたてNISAのほうが良い
別に投資はつみたてNISAに限らないので、つみたてNISAやりながらインバースETF買うような運用をしても良いと思います。
それだけ投資の「やり方」がたくさんある、といういことですから、あなたにあったものを見つけられれば良いですね、と。
もし、「自分で考えるのが難しい」と感じた場合には、インバースETFよりもつみたてNISAのほうが向いていると思いますが。