【検証】つみたてNISAの「ノーセルリバランス」は気休めの効果しか得られない

ノーセルリバランスの下落に対する効果運用を見直したい




この記事では、過去の投資信託の基準価額データを利用して、つみたてNISAの長期投資をシミュレートしてみました。つみたてNISAは始まってまだ3年目で、私たちにはまだまだたくさんの時間があります。

その時にどのように運用すればよいか?という指針作りです。

さて、結論から述べると、つみたてNISAのノーセルリバランスなんて「気休め」です。「あとからなんとか調整するよりかは、最初の商品選びの時点で自分に合ったリスクとリターンを商品を選定して、バイアンドホールド(買って長期保有)すべし」という結論に至ります。

それでは一緒に見ていきましょう!

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おさらい:リバランスの目的

基本的にリバランスは現在のアセットアロケーションのリスクを抑えるために利用します。条件によっては「リバランスボーナス」が発生することもあるそうですが、基本的には損失への備えを目的として行うものです。

投資信託のリバランス(保有比率の調整)の必要性を考えてみる
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一般には、リバランスは売却も伴うことが多いのですが、つみたてNISAでは売却に伴って非課税枠が消費されるデメリットがあります。そのため、売却を行わずに積立額を調整したり、追加投資したりするようなリバランス(ノーセルリバランス)が提案されることが多いのです。

今回は、本当に「ノーセルリバランス」が有効かを求めたって話です。

ノーセルリバランスの効果を紹介しよう

というわけで、三井住友TAM外国債券インデックスファンド、三井住友日本債券インデックスファンド、インデックスファンド海外株式(ヘッジなし)の3つの投資信託に、2002年1月から2020年まで積み立てたものとして、リバランスの有無の違いを紹介します。

積立額はつみたてNISAをイメージして、以下のような金額にしました。

★積み立て条件

  • 三井住友TAM外国債券インデックスファンド:5,000円
  • 三井住友日本債券インデックスファンド:5,000円
  • インデックスファンド海外株式(ヘッジなし):33,000円

ノーセルリバランスなので、買った投資信託は売りません。その代わり、投資信託の比率が大きくなりすぎたときに、積み立てを停止し、他の投資信託を買い付ける方法で資産全体のバランスをとることとしました。

この検証では外部から無条件にお金を持ってくることはしておらず、毎月の総投資額は常に固定であるとの前提で行いました。

ノーセルリバランスありなしでの資産の推移(2002~)

以下は、先ほどの3つの投資信託に積み立てたときの資産の推移です。橙色の線(リバランスなし)と青色の線(リバランスあり)はほとんど重なっており、その差は見えにくいです。

 

ノーセルリバランスあり・なしでの2002年からの資産推移

出典:筆者作成

★凡例

  • 橙:ノーセルリバランスなし
  • 青:ノーセルリバランスあり
  • 灰:投資元本

以下は下落率です。このグラフは、下落相場で資産がもっとも多いところからどの程度減ったかを示すもので、よりマイナスになるほど大きく資産が減ったことを意味します。

ノーセルリバランスあり・なしでの2002年からの下落率

出典:筆者作成

★凡例

  • 橙:ノーセルリバランスなし
  • 青:ノーセルリバランスあり

下落率で見ると、ややノーセルリバランスありのほうが下落率が抑えられています。この記事の検証ではノーセルリバランス時に株式から債券にお金を流しているため、その分が下落率を抑えることに役立っています。

ノーセルリバランスありなしでの資産の推移(2018~)

2002年からだとほとんど違いが見えないので、2018年以降のものを拡大しました。橙色の線(リバランスなし)と青色の線(リバランスあり)はほとんど重なっているものの、わずかにリバランスしないほうが利益が多くなっています

ノーセルリバランスあり・なしでの2018年からの資産推移

出典:筆者作成

★凡例

  • 橙:ノーセルリバランスなし
  • 青:ノーセルリバランスあり
  • 灰:投資元本

以下は下落率のグラフです。

ノーセルリバランスの下落に対する効果

出典:筆者作成

★凡例

  • 橙:ノーセルリバランスなし
  • 青:ノーセルリバランスあり

こちらはノーセルリバランスありのほうが下落率が抑えられています。矢印は2018年末から2019年初めの下落ですが、リバランスの有無で1%の差が生じました。

つまり、リバランスの有無で損益に効果があることはわかりました。

最終的な資産は?

この計算では、リバランスなしの資産が「19,539,587円」、リバランスありの資産が「19,281,628円」でした。

おおよそ25万円ほどの差が付きましたが、この差を大きいと感じるか小さいと感じるかは個人による気がします。

ちなみにリーマンショック時の底である2008年11月21日の評価額はリバランスなしの資産が「2,385,112円」、リバランスありの資産が「2,464,351円」で、その差額は約8万円でした。

つみたてNISAではリバランスなんていらないのでは?

というわけで、この検証を踏まえて思ったのが「つみたてNISAでは、基本的にリバランスなんていらないのでは?」という話。そう思った理由を述べていきます。

理由1:リバランスすると非課税枠の満額利用は難しくなる

例えば、以下のような運用を行ってる方って多いと思います。

★みんなこんな運用してない?

  • つみたてNISAで米国株式ファンドにx円積立
  • つみたてNISAで先進国株式ファンドにx円積立
  • iDeCoでバランスファンドにx円積立
  • おまけに特定口座で債券ファンドを随時購入

この場合、前回の検証に基づくと、特定口座よりもつみたてNISA口座のほうが資産の増えていくスピードが速く、結果、アセットアロケーションはよりハイリスクハイリターンなものに近づきます。

投資信託のリバランス(保有比率の調整)の必要性を考えてみる
最初に述べておくと、この記事は半分自分のために書いてるので、何か明確な結論は出ませんw 東北投信では「長期投資」を謳ってるのですが、これまで投資信託のリバランスの話を一切書いてきませんでした。 ...

ですが、ここでノーセルリバランスを行うと、つみたてNISA口座の積み立てを止めることになり、つみたてNISAの非課税枠の満額利用が難しくなります。そのため、あなたが非課税枠を満額利用することを意識する場合には、つみたてNISA口座以外での調整が必要になるのです。

理由2:つみたてNISAの積立額を変えずにリバランスするのはかなり難しい

では、つみたてNISA口座の積み立てを止めずにノーセルリバランスをしようとすると、それはそれで大変です。というのも、つみたてNISA口座の評価額は「r>g」のスピードで増えていくわけですから、そのうち手持ちの現金をすべて使ってもバランスが取れなくなるからです

運用資産が少ないうちはともかく、資産が多くなればなるほど、ノーセルリバランスは難しくなります。もし、現在の積立額に加えて、リバランスのお金を用意するとすれば、最終的には数十万円や数百万円といったお金が必要になるかもしれません。

理由3:今回の検証ではさほど損益が変わらなかった

今回の検証では、リバランスを行っても行わなくても、ほとんど損益は変わりませんでした。たしかにノーセルリバランスを行うことで(今回の資産配分では)下落相場へ備えられました。しかし、それでも15年以上運用した2018年末の相場での下落率の違いは、わずか1%です。

この結果は、あとからリバランスを頑張るよりも、最初の商品選びのほうがおそらく重要で、運用末期に「小手先のテクニック」を駆使しても、あまり意味がないことを示しています。

もちろん、リバランスが必要な時はやったほうがいい

この記事は、「リバランスは絶対に不要」と言い切るものではありません。例えば、リスクを取りすぎていると感じた時やライフスタイルが変わったときには、非課税枠などにこだわらずリバランスを行ったほうが良いです。

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逆に理由のないリバランスはあまり効果が得られないので時間の無駄になることが多い気もします。ここまで述べてきたように、つみたてNISAのリスクを抑えるためにちまちまと債券を買い進めるというのは、実は強い効果は期待できないものだと個人的には感じました。

って、今そういう運用してたんだけど、さーてどうしようかなww

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今回の記事の検証条件

今回の記事では、三井住友TAM外国債券インデックスファンド、三井住友日本債券インデックスファンド、インデックスファンド海外株式(ヘッジなし)の3つの投資信託の2002年以降の基準価額データを利用しました。このデータはSBI証券からダウンロードできます。

リバランスシミュレータは筆者作成のエクセルを利用しており、目標となるポートフォリオ±4%以上の乖離が生じた際に当月の積み立てを停止し、余剰資金をその時点でもっとも比率の少ない資産へ投資するという方式で行いました。比率が目標ポートフォリオ±4%に戻るまでは毎月積み立てを停止したままとしました。

「外部から無制限にお金を持ってくる」といった運用ではなく、毎月の積立額を固定し、その中で調整しています。そのほうが「普通の人の資産形成」に近いはずだからです。

★目標ポートフォリオ

  • 三井住友TAM外国債券インデックスファンド:12%
  • 三井住友日本債券インデックスファンド:12%
  • インデックスファンド海外株式(ヘッジなし):76%

※この目標比率は毎月の積立額の比率とほぼ同じです

まとめ

  • つみたてNISAの運用を模してノーセルリバランスの効果を検証したが、劇的なリスクコントロールは期待できない結果だった(ただし、全く効果が無いわけではない)
  • アセットアロケーションの調整のためにリバランスを行うと非課税枠を使い切れなくなる。もしくは、バランス調整のために用意できないほどのお金が必要になる
  • リスクをコントロールするならば、運用途中でリバランスするよりも、最初の商品選びのほうが大切

というわけで、「中途半端なノーセルリバランスなんて意味ねーよw」ってオチでした。リバランスせずにバイアンドホールドでも大丈夫そうですし、そこに不安を感じるなら商品選びの段からやり直したほうが良いです。

他のリバランスの記事は以下のタグにまとめています。売却を伴う「セルリバランス」についても近いうちに紹介しましょう。

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