グローバル3倍3分法ファンドの最近のパフォーマンスを見てみた

3. 商品選択と組み合わせ




一時期大人気となった「グローバル3倍3分法ファンド(グロ3)」ですが、最近ほとんど話を聞きません。そこで、人気と共にパフォーマンスも落ちてしまったのかを調べました。

グローバル3倍3分法ファンド | 日興アセットマネジメント

理屈上は、レバレッジを掛けた資産同士を保有することでリスクを抑えつつリターンを取り出せるはず。ただ、今回の記事で検証した期間では、グロ3はオールカントリーとさほど変わらない結果になってしまいました

グロ3は人気の低下から資金流出が深刻で、運用成績以上に問題を抱えているように思えます。

2019年に市場の人気が集中した「グローバル3倍3分法ファンド」から資金流出が止まらない事態になっている。2018年10月に設定された同ファンドは、「1年決算型」と「隔月分配型」の2コースがあり、コロナショック直前の2020年2月には2コース合計の純資産残高が約6763億円に達する大規模ファンドになっていた。ところが、2020年5月以降に資金流出に転じてから、2021年3月まで資金流出が止まらない

出典:資金流出が止まらない「グローバル3倍3分法ファンド」 | モーニングスター

以下、詳しく見ていきます。

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「グローバル3倍」のパフォーマンスを比較

有名なインデックスファンドの成績と比較

グローバル3倍3分法ファンドはレバレッジを掛けた資産を複数保有したバランスファンドです。複数の資産を組み合わせることで、リスクの大きさを打ち消し合う効果を期待できます。この2つの比較ファンドよりも効率的にリターンを得られているかが知りたいところです。

では、グローバル3倍3分法ファンドの設定来から2021年8月21日までのパフォーマンスを見てみます。パフォーマンスを比較するために、eMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)を使いました。

グローバル3倍3分法ファンドのパフォーマンス(2018年11月~2021年8月)。比較対象はオールカントリー

一時期はグローバル3倍3分法ファンドが圧倒的なパフォーマンスを出していたものの、最近はオールカントリーに追いつかれています。こういった図は期間の切り取り方にもよりますが、これだと「オルカンでもいいじゃん」ってなるかもしれませんね。

以下はグローバル3倍3分法ファンドの下落率です。コロナ前のグロ3はオルカンよりも穏やかな下落で済んだものの、それ以後はオルカンよりもやや大きめの下落が目立ちますね。

グローバル3倍3分法ファンドのパフォーマンス(下落率)(2018年11月~2021年8月)。比較対象はオールカントリー

では、グローバル3倍3分法ファンドとオルカンの成績差をもう少し詳しく見てみます。

以下はグローバル3倍3分法ファンドの成績からオールカントリーの成績を引いたもので、橙の線が上昇するとグローバル3倍3分法ファンド有利、下落に転ずるとオールカントリー有利となります。

グローバル3倍3分法ファンドのパフォーマンスからオールカントリーの成績を引いたもの。および米国10年債金利の推移(2018年11月~2021年8月)。

グローバル3倍3分法ファンドのパフォーマンスは米国債利回りと逆に動いており、米国債の利回り上昇にともないパフォーマンスが低下しています(厳密には米国債以外の債券との比較も必要です)。

実際、2021年4月時点の月報を見ると、債券部分はマイナスリターンが続いており、特に2月は株式と不動産投信(REIT)を合算した以上の損失を出しています(下表)。世界的にインフレが進み、「利上げ」みたいな話になってるうちは、グローバル3倍3分法ファンドにとって厳しい状況が続きそうな感じですね。

グローバル3倍3分法のパフォーマンス要因

それでもグロ3が優れる部分

上述の通り、この期間のパフォーマンスはグローバル3倍3分法ファンドとオールカントリーとでほぼ同じ成績になってしまいました。しかし、そこに至るまでのパフォーマンスは両者で結構異なります。

以下はグローバル3倍3分法ファンドとオールカントリーの毎日の変動率の絶対値の差です(2018年11月~2021年4月末)。

グローバル3倍3分法からオールカントリーの変動率を引いたもの

この期間、約600日のうち、グローバル3倍3分法ファンドの変動率がオールカントリーより抑えられた日は約400日でした。グローバル3倍3分法ファンドはレバレッジを掛けた資産ではあるものの、価格変動の大きさはオールカントリーより小さかったのです。

パフォーマンスは劣ってきたものの、グローバル3倍3分法ファンドの目指すところは維持されたままです。

今後どうなる?

好景気下で弱く、低金利下(ほどほどの景気後退期)なら強い

グローバル3倍3分法ファンドの過去のパフォーマンスを見る限りは、金利上昇局面では弱く、ほどほどの株安下(金利下落局面)ならまあまあ強いとの関係があるように見えます。

金利が上がるほど、債券のパフォーマンスの低下やレバレッジのコストが増してくるので、景気回復期や高インフレ期にはパフォーマンスが伸びにくくなります。

このあたりはUSA360と同じですね。USA360とグロ3の違いは、資産全体のレバレッジの影響で、本格的に崩れた時の下落は大きくなりやすい点でしょうか。

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資金流出が最大の不安要素に

グローバル3倍3分法ファンドの最大の問題は資金流出です(資金流出をわかりやすく言えば、グロ3を保有する投資家が減ってます)。資金が抜けるファンドは、運用の持続性に不安が生じるので、長期投資に向きません

グローバル3倍3分法の資金流出入の状況

グローバル3倍3分法ファンドは銀行などでも売られていたそうなので、投資に不慣れた人たちがコロナショックでびっくりして売ってる感じでしょうか。

よく「レバレッジを掛けた商品が出るとバブル崩壊は近い」などと揶揄されますが、この商品は登場時期的にもそれを体現してしまった感がありますね(苦笑

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まとめ

  • 2021年4月までのグローバル3倍3分法ファンドのパフォーマンスを検証。期間内の成績はオールカントリーとほぼ同等
  • パフォーマンス悪化の要因は債券金利の上昇が大きい。まだ苦しい状況は続くかもしれない
  • 現在の不安要素は、資金流出が大きすぎる点

おそらく数年後には再び債券金利が下落(価格は上昇)に転じ、グローバル3倍3分法ファンドのパフォーマンスが高まるように思います。

なんとか純資産の減少が止まればいいんですけどね。