この記事では、インデックス投資を通じて目にすることが多い、米国株式の代表的な3つの指数について、1990年7月以降の保有期間リターン等を求めたので紹介します。
★対象の指数
- ダウ平均株価
- S&P500指数
- NASDAQ(ナスダック)総合指数
米国株に関心を持つ方は多いので、体感ではご存じの話だと思いますが、今回改めて数値化してみました。
なお、すべての試算は一括投資したものとして算出しました。
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保有期間リターン
以下は米国株価指数の保有期間リターンのグラフです。横軸は保有年数を示し、縦軸は投資額が何倍になるかを示します。
基本的に、運用年数が長くなるほど、どの指数もまとまったリターンを期待できるようになります。特に新興市場であるNASDAQ総合指数のリターンが大きいですね。
NASDAQ総合指数の場合、20年も継続して投資していると、資産は5倍ぐらい増えていたことを示します。これを見るとQQQとか、iFree NEXT NASDAQインデックスとか、NASDAQ連動の商品を買いたくなります(笑)
一方、ダウ平均株価とS&P500指数のリターンはほぼ同等ですが、15年を超えるとダウ平均株価のパフォーマンスが上回る傾向にあります。日本ではつみたてNISAなどの影響でS&P500指数のほうが(たぶん)人気ですが、ダウ平均株価も案外悪くないですね。
以下は3指数のパフォーマンスをまとめたものです。NASDAQは利回りが少し高めです。
保有年数 | ダウ | S&P500 | NASDAQ |
---|---|---|---|
5年 | 8.8% | 8.9% | 12.0% |
10年 | 5.8% | 6.0% | 8.5% |
15年 | 5.7% | 5.1% | 7.1% |
20年 | 6.7% | 6.1% | 8.1% |
元本割れ確率と損失の継続日数
以下は米国株価指数を長期保有した時の元本割れ確率の推移を示したものです。横軸は保有年数を示し、縦軸は保有年数経過後に元本が割れていた確率を示します。
過去の株価推移に基づく限り、どの株価指数も約15年以上長期保有すると、元本が割れなくなりました。バブルのてっぺんでつかんでも助かったという意味です。
1990年以降というと、2000年頃のITバブル崩壊からリーマンショック終了時までは、米国株式はさえない時代が続きました。
特にNASDAQ市場でのITバブル崩壊の影響は激しく、2000年に株価が崩れ始めてから、次に最高値を更新するまでに約15年(3801営業日)の時間を要しています。加えて株価の最大下落率は80%近くに達しており、バブルの頂上で投資してしまうと結構大変でした。
先ほどは「NASDAQは高いリターンを出した」ことを紹介しましたが、これはハイリスクであることと裏腹ですね。
ちなみに1日当たりの株価変動率の標準偏差でみても、NASDAQ市場はハイリスクハイリターンです(下表)。
ダウ | S&P500 | NASDAQ | |
---|---|---|---|
標準偏差※ | 1.12 | 1.16 | 1.43 |
※数値が小さいほど、株価の変動率は小さい。
ざっくり特徴をまとめると
今回紹介した3つの米国株価指数に投資する時、より値動きを抑えて運用したい場合にはダウ平均株価を、よりハイリターンな成績を期待したいときにはNASDAQ指数を利用します。しかし、現実的には商品選定の都合でダウ平均株価よりもS&P500連動の商品を選ぶ機会が多いかと思います。
現在がバブルなのかどうかはわかりませんが、長い目で見たときにNASDAQ指数を運用に取り入れる価値はあると思います。ただし、NASDAQに端を発するバブルが崩壊した時には年単位で低迷する可能性がありますので、その点にはご留意ください。
バブル崩壊した市場が長期にわたって低い成績になってしまうのはよくある話ですね。
なお、各指数への投資については、以下の記事も併せてご覧ください。
★各指数に「投資」するには
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まとめ
- 米国のダウ平均株価・S&P500指数、NASDAQ総合指数の3つの指数について、1990年以降の長期成績を比較
- 一括投資の保有期間リターンを見ると、NASDAQ総合指数は他の指数よりも利回りが2~3%ほど高い
- 元本割れなど、デメリット要素を見ると、NASDAQ総合指数は他の指数よりも値動きが大きい。ITバブル崩壊の長期低迷も考慮しておきたい
この結果を踏まえると、今からでもQQQとか、iFree NEXT NASDAQインデックスとか、NASDAQ連動の商品を買いたくなります(2回目)。30年ぐらい放置しておけば、1回ぐらいバブルが崩壊しても大丈夫でしょうとw
「2020年3月に買っておけば」と言いたくなりますね(苦笑)
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