海外ETFの「VTI(バンガード・トータル・ストック・マーケット)」についてまとめます。
Vanguard Total Stock Market ETF(VTI) | Vanguard
VTIとS&P500(VOO)のどちらに投資するかでよく迷うところですね。
コロナショック後のパフォーマンスを見ると、相場や景気状況によって、両者の違いがよく表れているように個人的には思っています。なので、この記事はコロナショック後の相場も見ながら、VTIの特徴を語ります。
では、一緒にみていきましょう!
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VTI(バンガード・トータル・ストック・マーケット)とは
米国の全上場企業に投資できる海外ETF
VTIとは米バンガード社(Vanguard)の海外ETFで、米国に上場するすべての株式に投資する海外ETFです。SBI証券の海外ETF週間売買ランキングなどでも上位(2021年6月12日時点)に位置するなど、高い人気を誇る商品ですね。
人気の秘密はパフォーマンスと低コストさ
VTIの人気の理由の1つが「過去のパフォーマンス」になるかと思います。米国市場は2000年代には2度の大幅な下落を記録したものの、リーマンショック以降は世界市場を上回る高いパフォーマンスを出してきました。
この傾向が将来も続くのか、それともどこかで終わってしまうのかはわかりませんが、将来も続くことを期待して投資している方は多いはずです。
VTIが高いパフォーマンスを出せてきた秘訣は、その上位構成銘柄にあります。VTIのファクトシートより、現在のVTIの上位構成銘柄を見ると、いわゆる「GAFAM」が占めています。最近はここにテスラも加わっていますよね。
出典:https://advisors.vanguard.com/iippdf/pdfs/FS970R.pdf
GAFAMのパフォーマンスは「S&P5」と言われるほど、他の銘柄を圧倒してきました。VTIはその恩恵を受けてきたETFの1つです。
また、パフォーマンスとは違う理由の1つの低経費率な点が挙げられます。VTIの経費率は0.03%で他の海外ETFに比べて低いです。低コストの秘密は、安心のバンガードのETFだから。
と、このあたりの話はどこのサイトやブログにも書かれている話なので、多くの方がご存じだと思います。
VTIの特筆すべき特徴
中小型株の特徴に注目する
VTIの特筆すべき特徴は、先ほども述べたように、「全上場企業に投資する」点です。よく比較に挙げられるVOO(S&P500に連動するETF)との違いを意識しながら紹介します。
VTIはたしかに上位構成銘柄はGAFAMに代表される米国の大企業が占めています。しかし、「全上場企業に投資するのか」「S&P500構成銘柄に投資するのか」といった違いから、VTIの全体に占める上位構成銘柄の比率はVOOよりも少し低めです。
大型株(時価総額の大きな株)の比率が低く抑えられている分、中小型株(時価総額の小さな株)が「詰め込まれている」のがVTIですよね。
★上位構成銘柄の比率
- VTI:22.1%
- VOO:26.5%
※2021年6月12日現在
この比率のわずかな違いが、VTIのパフォーマンスを特徴づけます。以下は2020年以降のVTIのパフォーマンスをVOOと比較して表示したものです。
こういうのは切り取る期間次第でも変わるものですが、たぶんこの傾向は将来も変わらないのではと思ってます。
★VTIのパフォーマンスの特徴
- 大きな下落相場では、(S&P500より)下落しやすい
- 景気回復期では、(S&P500より)パフォーマンスが優れやすい
この差異は、VTIに含まれる中小型のパフォーマンスが効いています。一般に、規模の小さい企業ほど景気(や金融緩和等)に対して敏感になりやすいので、「景気後退期にはより大きく売られ、景気回復期ではより値上がりしやすい」のがVTIの特徴です。
以下はS&P500とRussell 2000(小型株指数)のパフォーマンス比を取ったもので、景気後退期(ピンク)の右側でRussell 2000は優れやすく、景気後退期の左側(後退に向かう段階)でS&P500が優れやすい傾向になっています。
昔はVTIもS&P500も変わらんでしょって思ってましたが、詳しく見てみるとびみょーに違いがあるものですね(でも、大局的にはやっぱり変わらないですよね。上位構成銘柄はS&P500と同じなので)。
「S&P500とどちらを選ぶか」問題
好きなほうを選べばよいと思うのですが、「インデックス投資の原則は分散投資」に則るとVTIのほうが妥当だと思っています。
米国ではしばしば大企業の株式がバブル的に買われることがあります。「ニフティフィフティ」、「ITバブル」などがその例ですが、GAFAMもバブル的だと言われますよね。
個人的に、VTIは相対的に大型株の比率が抑えられている分、こういった大型株バブルの相場の影響を軽減できると思っています。
一方で、中小型株はどうしてもボラティリティが大きくなりやすいので、VTIはS&P500よりも値動きが大きい可能性は高いです。結局、「どちらかをとれば、どちらかを諦める」というトレードオフが成立しており、個人の価値観が求められるところではありますね。
VTIの基本的な情報
ティッカー | VTI |
---|---|
投資先 | アメリカの全上場企業 |
ベンチマーク | CRSP US Total Market Index |
価格 | 221ドル |
取引単位 | 1口 |
購入手数料 | 証券会社に依存 |
経費率 | 0.03% |
純資産 | 1.2トリオンドル |
分配頻度 | 年4(3月・6月・9月・12月) |
分配金利回り | 1.23% |
運用会社 | Vanguard |
VTIは楽天証券、およびSBI証券の買い付け手数料無料ETFの1つですね。SBI証券だとドルを買う際の為替コスト(4銭)を支払う以外は手数料なしにVTIを買えるのですから、すごい時代です。
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まとめ
- VTIは米バンガード社の低コストETF。全米株式に広く分散投資できる
- 人気の理由は米国株の最近10年のパフォーマンスや、低経費率である点、そして安心のバンガードのETFである点など
- VTIは時価総額の小さな株も含む点で、S&P500とわずかに成績が異なる
ちなみに、このVTIに低コストで投資できる投資信託が楽天・全米株式インデックス・ファンドやSBI・V・全米株式インデックス・ファンドでしたね。SBI・V・全米株式インデックス・ファンドの登場で選択肢も増えてしまい、ますます商品選びに悩みますね。
大昔はVTIもVOO(S&P500)もよくわかってませんでしたが、今なら少しは語れるようになった気がしますw