サイト内検索で「ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンド(ロイヤル・マイル)」のことを探してる方がいらっしゃったので、記事にしてみます。このファンド、知ってますか??
ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンド(愛称:ロイヤル・マイル) | 三菱UFJ国際投信
2020年のいわゆる巣ごもり相場でものすごいパフォーマンスを出して名前を知った方も結構いらっしゃると思います(わたしがこれ)。というわけで、調べてみたので紹介します。
最初にファンドのコンセプト等を紹介し、その後にパフォーマンスの話を出します。どういうファンドかご存じの方はパフォーマンスのところまですっ飛ばしてご覧ください。
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長期的に成長が期待できる優良銘柄に投資
ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンド(ロイヤル・マイル)は長期的に成長が期待できる優良銘柄に投資するアクティブファンドです。運用会社は三菱UFJ国際投信ですが、実際の運用自体はイギリスの「ベイリー・ギフォード」が行ってます。
ベイリーギフォードでは投機ではなく、長期投資を行います。弊社における株式の投資哲学では成長性に焦点を当て、またグローバルの視点を取り込みます。独自のファンダメンタルズ分析が、長期に亘るボトムアップによる銘柄選択の成功の鍵を握ります。英国エディンバラを本拠に、知的好奇心と厳格さを共存させたアプローチを効果的に実践しています。私たちのプロセスでは、投資アイデアの共有や活発な討論が極めて重要な役割を果たします。
さて、ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンドの投資対象国や銘柄について見てみます。
投資対象国と構成銘柄
このファンドは「日本を含む世界株式の中から優れた銘柄を選んで投資する」というスタイルで運用されています。銘柄選定はボトムアップ方式で行われており、企業が所属する産業の魅力度、その中での企業の競争力、財務基盤の強さ、経営陣の資質、バリュエーション(割安度)等が考慮されているそうです。
運用報告書(2021年1月時点)で確認できる保有銘柄を見ると、比較的少数の銘柄に集中投資していることがわかります。以下は、その投資対象国と銘柄数を落とし込んだものです。
上記は2021年1月時点。
最新の月報(2021年7月時点。下図)では韓国も加えた8か国に投資しています。残念ながら日本株は現状含まれていません。
出典:ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンド(愛称:ロイヤル・マイル) | 三菱UFJ国際投信
この中で特に資産を割り当てているのはアメリカと中国です。
以下は最新の月報から引用した上位組み入れ銘柄とその比率です。比較的知名度の高い銘柄として、モデルナ、アマゾン、テスラ、エヌビディア、アリババ、テンセントなどの名前を確認できますね。
出典:ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンド(愛称:ロイヤル・マイル) | 三菱UFJ国際投信
この月報の時点で、組み入れ銘柄数は37と極めて少ないです。保有銘柄数を絞るとハイリスクハイリターンな成績になりやすい一方で一般的なインデックスファンドの成績を上回る可能性も出てきます。
良い企業だけに投資する。そんな感じですね。
ちなみにファンドの目論見書には「長期的に成長が期待できる優良銘柄を辛抱強く持ち続ける」と書かれており、いわばバフェット的な印象を受けますね。
肝心のパフォーマンスは?
2020年の圧倒的な成績が目を引く
さて、運用方針が魅力的でもパフォーマンスが微妙だとダメですよね。というわけで、ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンドの設定来からの運用成績をチェックしてみました。今回は比較対象としてeMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)と海外ETFのSPY(S&P500)を使ってます。
ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンドが突出する成績を出し始めたのは2020年より少し前のあたりですね。その後、コロナショック、巣ごもり相場と続き、オルカンを圧倒する成績になりました。
この成績差を説明できそうなものとして、以下のグラフを紹介します。ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンドの成績からeMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)の成績を引いたもの(橙)とナスダック100指数のパフォーマンスです。
ナスダック100は米ドル建てのままですwすみませんw
ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンドの保有銘柄はアマゾンやモデルナに代表されるように、現在の社会状況でも成長期待のある銘柄で構成されています。言い換えると、いわゆる「アフターコロナ銘柄」や「バリュー株」が含まれていません。
ということもあって、巣ごもりな状況を追い風に高いリターンを出せたと言えそうです。
手っ取り早く言えば、ファンドに含まれる米国企業はナスダック100の構成銘柄でもある銘柄が多いので、成績も似ているといった感じです。
ちなみにファンドを米国株(S&P500)と比較したものは以下の通り。
ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンドは2021年2月頃をピークに一時的に全世界株式や米国株に劣後しています。これは、中国株のパフォーマンスの劣化や、米国債の金利上昇が原因かもしれませんね。
その後は2020年ほどではないけども、ほぼ指数と同等かそれを少し上回る程度の成績を出せているという感じですね。安定的に米国株を超え続けるのはかなり至難の業なので頑張ってほしいです。
下落率が大きくなりやすい点に注意
ついでにベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンドの下落率も見てみます。
一般に、ファンドの保有銘柄数が少なくなるほど、リスクは大きくなります。上述のとおりに、ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンドは37銘柄しか投資していないので、1銘柄あたりの値動きの影響がかなり出やすいです。
このグラフは2019年以降を見ていますが、それでも1年に数回は10%を超える下落が生じている点に注意してください。
一方、2020年3月の下落はオールカントリーよりも抑えられました。これはもしかしたら、ボトムアップで銘柄を選んでいるメリットが発揮されたのかもしれません。
財務基盤が強い銘柄を選んだことで、過度の値下がりを抑えられた。いわゆるクオリティファクターの効果です。
基本的なデータ
信託報酬など
購入手数料 | 0% (ノーロード) |
信託報酬 実質コスト | 1.6445% 1.84% |
信託財産留保額 | 0% |
換金手数料 | 0% |
運用期限 (償還日) | 2039年 |
基準価額 | 三菱UFJ国際投信 |
純資産 | 687億円 |
分配金は?
ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンドには「ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンド(予想分配金提示型)」という分配金を出すタイプがあります。
ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンド(予想分配金提示型)(愛称:ロイヤル・マイル) | 三菱UFJ国際投信
ここまで紹介したのは無配のほうです。
予想分配金提示型は毎月分配型としてやるみたいですね(下表のように、分配金の目安がすでに決まっています)。
出典:ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンド(予想分配金提示型)(愛称:ロイヤル・マイル) | 三菱UFJ国際投信
仮に毎月100円(1万口あたり)分配した時、年間の利回りが12%を超えないと、11,000円に達しません。基準価額が11,000円に達したら、次は年間24%以上(単純計算で)の利回りがないと基準価額を維持できません。
少なくとも、基準価額が上がり続けて分配金も増え続けるという夢物語はちょっと厳しい気がしますね。
高成長株に投資して、そこから高い分配金を得るってQYLDみたいなやりかたですね。ベイリーギフォードはカバードコールのファンドではないですけど、考え方が似てるなってw
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まとめ
- ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンドは世界の優れた成長株に辛抱強く長期投資して高いリターンを目指すファンド
- 2020年は特別な状況だったこともあって追い風に。2021年は2020年ほどではないものの指数とほぼ同等か少し超える程度の成績
- 保有銘柄数が少ないので、日常的に値動きが大きくなりやすい
コロナがどこで収束して、金利は上がるのかは本商品のパフォーマンスに結構影響を与えると思うんですよね。構成セクターから考えると、今みたいなどっちつかずの状況が一番ダメなのかもしれません。
ちなみにベイリー・ギフォードのファンドにはインパクト投資ファンドという商品もありますね。こちらはそのうち見てみましょう。